社会人にとって、電話対応は避けて通れない大切なスキルです。特に、緊急性のある電話や相手が焦っている状況では、受け手側の冷静な対応がその後の信頼関係を大きく左右します。
今回は「面接に遅刻しそうになった応募者からの電話」を例に、どのように相手を落ち着かせ、必要な情報を確認し、適切に対応していくかを考えてみましょう。

以下は、とある会計事務所にかかってきた一本の電話のやり取りです。
応募者(◇◇様・慌てた様子):
うわー!やっべー!面接遅刻確定じゃーん!とりあえず、電話電話電話…。「今日の10時から、め、面接をやる予定だった、あの~◇◇と申しますけれども…。実は今さっき目が覚めたところでして…。これから車で行きたいとは思っているんですけども、たぶん30分以上かかってしまって…。どうしたらいいでしょうか…?」
担当者(△△):
「お電話ありがとうございます、〇〇会計事務所、△△でございます。◇◇様ですね。本日10時からの面接のご予定、確かに承っております。今はご自宅にいらっしゃる状況でしょうか?」
応募者:
「はい、自宅です…。車で向かうと、30分くらいはかかってしまうと思います。」
担当者:
「承知いたしました。間もなく10時になりますので、面接担当の▲▲には『少し遅れていらっしゃる』と申し伝えておきます。到着予定は10時40分頃ということでよろしいでしょうか?」
応募者:
「あ、はい。ただ…できれば10時45分にしていただけると助かります…。」
担当者:
「かしこまりました。10時45分頃にお越しいただけるということで承知いたしました。どうぞ慌てず、安全にお気を付けてお越しくださいませ。」
応募者:
「ありがとうございます…。本当にご丁寧にすみません、面接なのに遅刻なんて…。申し訳ないです。」
担当者:
「大丈夫ですよ。では、お待ちしておりますので、どうぞお気をつけてお越しください。」
応募者:
「ありがとうございます!すぐ出発します!失礼いたします!」

慌てている応募者に対し、担当者は終始落ち着いた声で対応しています。では、具体的にどのような点が「相手を落ち着かせる」ことにつながっているのでしょうか。
応募者は慌てており、話が前後しがちです。ここで相手の言葉をそのまま受け止めてしまうと、情報が錯綜してしまいます。担当者は、
本日の面接が10時からであること
現在自宅にいること
移動に30分ほどかかること
を一つずつ丁寧に確認しています。これにより、応募者自身も状況を整理しやすくなります。
応募者は「どうしよう」「遅刻するなんて…」と不安げです。ここで「なぜ寝坊したんですか?」などと問い詰めてしまうと、相手はさらに動揺してしまいます。担当者は「承知いたしました」「大丈夫ですよ」と受け止める言葉を繰り返し、安心感を与えています。
単に「遅刻ですね」と告げるのではなく、「10時40分頃到着ということで申し伝えておきます」と、明確な代替案を提示しています。これにより応募者は「どうすればよいか」が見え、行動に移しやすくなります。
「慌てずにお気を付けてお越しください」という一言は、応募者の焦りを和らげます。電話の終わりにこの言葉を添えることで、相手は落ち着きを取り戻しやすくなります。

この事例を通じて見えてくるのは、「冷静に事実を確認し、相手の感情を受け止め、次の行動を明確に示す」という3つの基本姿勢です。
状況確認:焦っている相手の言葉をそのまま信じず、要点を一つずつ確認する。
安心感の提供:「承知しました」「大丈夫です」と、落ち着いたトーンで受け止める。
解決策の提示:代替案を明確に伝え、相手が次にどう行動すればよいか示す。
この流れを守ることで、どんなに慌てた相手でも、電話を切る頃には気持ちが落ち着き、信頼関係が築かれやすくなります。
電話対応は、単なる「情報伝達」ではありません。相手の感情を受け止め、落ち着きを取り戻してもらうことも大切な役割です。特に今回のように面接を控えた応募者は、緊張と焦りで冷静さを失いがちです。そこで担当者が冷静かつ丁寧に対応することで、応募者は「この会社なら安心して任せられる」と感じるでしょう。
まさに「電話対応の極意」とは、相手を落ち着かせ、前向きに次の行動へ導くことです。日々の業務の中でも、ぜひ意識してみてください。