
~実例から学ぶ丁寧なコミュニケーション~
はじめに
現代のビジネスシーンにおいて、電話応対は依然として重要なコミュニケーション手段です。メールやチャットが主流になりつつある中でも、「声」を通じたやり取りには、相手の状況や感情が伝わりやすいという利点があります。そのため、電話応対の仕方一つで相手に与える印象は大きく変わります。特に「伝言を預かる」場面は、正しく受け取り、間違いなく伝えることが求められるため、基本的なマナーを理解しておく必要があります。
今回は、ある電話応対のやり取りを例に、伝言を預かる際に注意すべき点や、適切な対応の方法について解説していきます。
実際の会話例
ある日、株式会社△△経営の担当者が取引先へ電話をかけました。
「いつもお世話になっております。私、株式会社△△経営の○○と申します。□□様はいらっしゃいますでしょうか。」
「あー□□さんですか。いますけど、僕じゃダメですか?」
「できれば□□様に直接お話しできればと思います。」
「□□さん、忙しいと思いますよ。」
担当者が不在、または対応できない場合、相手はこうして別の方が電話を受けることになります。この時にスムーズな伝言のやり取りができるかどうかが、信頼感を大きく左右します。
「□□さんに伝言をお願いできますでしょうか。――一週間前に発注を予定していた商品の数量を、400個から500個に増やして発注したい、とお伝えください。」
ここで問題が生じました。受け手側がメモを取らず、内容を聞き逃してしまったのです。
「え、すみません。もう一度お願いします。聞いていませんでした。」
発注数量という重要な情報を伝える場面で、聞き返しが複数回発生してしまうと、相手に不安や不信感を与えかねません。

こうした状況を防ぐためには、次の基本的なマナーを押さえておくことが大切です。
1. メモを必ず取る
電話応対において、最も大切なのは「記録を残すこと」です。特に発注数量や日付などの数字は、一度聞き逃すだけで大きなトラブルにつながります。ペンとメモを常に手元に置き、電話が鳴ったらすぐに記録できる体制を整えておきましょう。
2. 復唱して確認する
メモを取っただけでは安心できません。
「400個から500個に変更して発注希望、□□様への伝言でよろしいですね」
といった具合に、相手の言葉を復唱し確認を取ることで、正確さが増します。相手も「きちんと伝わっている」と感じ、安心感を得られるのです。
3. 伝える相手を確認する
「誰にお伝えすればよろしいでしょうか」と必ず確認し、伝言の宛先を明確にします。組織の中では複数の関係者がいることが多いため、伝えるべき相手を取り違えると、社内で混乱を招く恐れがあります。
4. 不要な雑談は控える
会話例では、「一週間前は水曜日ですか?」「いや火曜日です」といったやり取りが挟まれました。しかし発注内容を伝える上では不要であり、相手の時間を奪ってしまいます。電話はできるだけ簡潔に、要点を押さえて対応することが望まれます。

伝言を受ける側が意識すべきなのは、「自分は相手と担当者の橋渡しをしている」という責任感です。たとえ自分が担当者でなくても、対応の仕方によって会社全体の印象が決まってしまいます。
丁寧な言葉遣い:「~でござる?」といった冗談交じりの表現は避け、常に敬語を意識する。
真摯な姿勢:相手が大切な情報を預けているのだという意識を持つ。
迅速な伝達:伝言は受けたその日のうちに必ず担当者へ届ける。
これらを徹底することで、社内外の信頼関係は大きく向上します。
実務でよくあるトラブルと防止策
電話での伝言対応において、よく起こりがちなトラブルは以下の通りです。
数字の聞き間違い
例:400個を「40個」と聞き違える。
→ 対策:復唱して確認、桁を強調して伝える。
日付の取り違え
例:「火曜日」を「水曜日」と記録してしまう。
→ 対策:必ず曜日と日付を併記して確認する。
伝える相手を間違える
例:別の担当者に伝言を渡してしまう。
→ 対策:宛先の氏名を必ず復唱して確認。
伝言を忘れる
→ 対策:伝言メモを専用のフォーマットで残し、確実に担当者のデスクやメールに届ける。
今回の事例から学べるのは、「電話での伝言対応は単なる作業ではなく、信頼を築くための大切なコミュニケーションである」という点です。
メモを取る
復唱して確認する
宛先を明確にする
簡潔かつ丁寧に応対する
これらを徹底することで、取引先に「この会社は安心して任せられる」という印象を与えることができます。
電話応対は、会社の顔です。小さな一つひとつのやり取りが積み重なって、信頼関係を築いていきます。今日からぜひ、自分自身の電話対応を振り返り、改善に取り組んでみてください。