カウンセリングについて

カウンセリングについて

カウンセリングの大切さ ― 薬物療法・生活習慣改善と並ぶ第三の柱

心の不調に悩む方にとって、治療の基本は大きく三つの柱に分けられるといわれている。すなわち「薬物療法」「カウンセリング」「生活習慣の改善」である。この三つはそれぞれが支え合うようにして成り立っているが、実際の現場を見渡すと、カウンセリングだけが十分に活用されていない現状がある。

多くの方はまず薬物療法に頼り、次に生活習慣の改善に意識を向ける。もちろんそれらはとても重要であり、大きな効果をもたらすことも多い。しかし、それだけでは十分に回復しきれないケースが少なくない。その時こそ「カウンセリング」が本来の力を発揮する。

治療がうまく進まないとき

治療がうまく進まないとき

たとえば「やる気がわかない」「生きるのが辛い」といった症状を抱えている方がいるとする。もし薬や生活習慣の改善で回復しているのであれば、何の問題もない。しかし、どんなに努力しても改善が見られない場合がある。

それにはいくつかの理由が考えられる。まず、病そのものが非常に重く、現時点の医学ではどうしても治しきれない場合。病気とは残念ながら、時に「不治のもの」として存在している。次に、薬物療法が合っていないケース。患者自身も「もっと自分に合う薬があるのではないか」と考えることが多い。さらに、生活習慣が改善されていないことも理由のひとつとなるだろう。「鬱で何もできないから生活習慣なんて変えられない」と思う方もいるが、それでも可能な範囲で整えていく努力は欠かせない。

そしてもうひとつ、大きな要因となるのが「自分が抱えている問題が整理されていない」ことである。ここにこそ、カウンセリングの出番がある。

カウンセリングの第一歩 ― 問題を整理する

カウンセリングの第一歩 ― 問題を整理する

カウンセリングの役割は、必ずしも特別な技法や心理療法に限られない。最初のステップとして最も大切なのは、「自分が抱えている問題を整理する」ことである。

やる気が出ない、生きるのが苦しい、死にたいと思ってしまう――。そうした思いの背景には、さまざまな要因が絡み合っている。仕事や家庭の悩み、人間関係、過去のトラウマ、将来への不安。その一つひとつを整理し、見える形にしていくことこそが、カウンセリングの基本である。

もちろん「問題点を整理するだけなら自分でもできる」と考える方もいるだろう。実際にノートに書きだしたり、日記をつけたりして、自分なりに状況を見直している方も少なくない。それはとても良いことだ。しかし、今まさに深い苦しみの中にいる人の場合、その整理が適切にできていないことがある。本人は正しく分析しているつもりでも、客観的に見れば誤った方向に解釈していることもあるのだ。

そのため、今うまくいっていない人こそ、専門家と一緒に問題を整理することが大切になる。カウンセラーは第三者の視点から「今ここで何が起きているのか」を照らし出し、患者自身が気づけない部分を補ってくれる。

自分でできることと、人に任せること

「カウンセリングにお金を払いたくない」という気持ちは多くの人に共通している。なぜなら「問題の整理なら自分でもできる」と思えるからだ。確かに薬の調整や手術といった専門的行為は、自分でできないからこそお金を払う納得感がある。しかし、カウンセリングは「自分でもできそう」と感じる分だけ、投資への躊躇が生まれるのだ。

筆者自身も、例えば税務処理や確定申告など、自分で調べてやれることはできる限り自分で行う。もちろん専門家に任せればより正確で効率的なのかもしれないが、「できることにお金を払いたくない」という気持ちは理解できる。

だが精神疾患に関しては事情が違う。薬物療法を選ぶのは、多くの人にとって「自分では絶対にできないから」である。同じように、現在うまくいっていない人にとっては「自分で問題整理しているつもりでも、実はうまくできていない可能性」が高い。そうであれば、専門家と共に整理し直すことは十分に価値のある行為だといえる。

実際の受診状況と課題

実際の受診状況と課題

現実には、精神科や心療内科に通う人の中で、カウンセリングを併用している人はごく少数だ。あるクリニックでは1割程度にとどまり、残りの9割は薬物療法と生活習慣改善だけで治療を続けている。もちろんそれで良くなる人もいるが、良くならずに苦しみ続けている人も多い。

もしも薬物療法だけで成果が出ていないなら、やはり「まだベストを尽くしていない」と言わざるを得ない。カウンセリングという第三の柱を試していないからだ。

カウンセリングの具体的手法

カウンセリングといっても内容は多岐にわたる。代表的なものに「認知行動療法(CBT)」や「トラウマケア」がある。しかし、最初からそうした専門的技法に入るわけではない。第一歩はあくまで「問題の整理」であり、そこから次のステップに進むための土台をつくる。

つまり「カウンセリング=難しい心理療法」ではなく、「まず自分の現状を整理し直す場」として考えることが重要なのだ。

まとめ ― カウンセリングをためらわないで

まとめ ― カウンセリングをためらわないで

心の病は強大な相手であり、時に薬も生活習慣改善も十分な効果を示さないことがある。そんなときにこそ、第三の柱であるカウンセリングを活用してほしい。

「自分で問題を整理しているから必要ない」と感じている人ほど、実は誤った整理をしている可能性がある。もし今、全体としてうまくいっていないと感じるのであれば、それはカウンセリングを始める大きなサインである。

最初の一歩は「問題点の整理」。それにお金を払う価値はあるのかと迷う人もいるだろう。しかし、今まで試していない手段があるのなら、それを活用しないのはあまりに惜しい。すべてを尽くしてもなお改善しないことはあるが、すべてを試さない限り、良くなる可能性を閉ざしてしまうことにもつながる。

だからこそ――薬物療法、生活習慣改善に加えて、カウンセリングという第三の柱を、ぜひ積極的に取り入れてほしい。