医者と合わない時はどうしたらいいのか?

医者と合わない時はどうしたらいいのか?

はじめに

日々の診療の中で「先生となんだか合わない」「どうも話しにくい」と感じることは珍しくありません。特に精神科の場合、医師との関係性が治療の大切な部分を占めているため、相性の問題は患者さんにとって深刻な悩みになりがちです。今日は「精神科のお医者さんと合わないと感じたとき」に考えられる理由と、そのときの対応について整理していきたいと思います。

医者と合わない理由は何か?

医者と合わない理由は何か?

まず「合わない」と一口にいっても、その背景はさまざまです。主に次のような要素が考えられます。

  1. 生理的に人として合わない
     これは誰にでもある自然な感覚です。医師も一人の人間ですから、どうしても「この人とは合わないな」と感じることがあります。お見合いのように複数の候補から相手を選べるわけではなく、偶然出会った相手としばらく付き合っていかなければならないのが現実です。そのため、最初の印象だけで「無理」と感じることもあるでしょう。
  1. 医師としての力量に不満を感じる
     診断や説明が曖昧に思えたり、治療法が自分の期待に沿わなかったりすると、「この先生は腕がないのでは」と疑念が湧きます。最初の数回では気づかなかったものの、通ううちに「思ったほど頼りにならない」と感じる場合もあります。
  1. 患者への対応が雑に感じられる
     立地条件などで患者が自然と集まる環境にいる医師の中には、態度が横柄になってしまう人もいます。短時間で診察を終わらせたり、質問をはぐらかしたりすると「ぞんざいに扱われている」と感じやすくなります。
  1. 精神医学そのものの限界
     統合失調症、双極性障害、うつ病といった代表的な疾患は、現代医学でも「完治させる」ことが難しいのが現実です。薬やカウンセリングで症状が改善する人もいれば、なかなか効果が出にくい人もいます。そのギャップが「医者が悪い」「合わない」と感じる原因になることがあります。
  1. 意思疎通のミスマッチ
     患者は「もっと早く薬を変えてほしい」と思っているのに、医師は「今は少しずつ良くなっているから続けたい」と考えている。このように、双方の見方の違いからすれ違いが起きることも少なくありません。

合わないと感じたときに試したい工夫

合わないと感じたときに試したい工夫

では、実際に「この先生とは合わない」と思ったとき、すぐに病院を変えるべきでしょうか。実はその前にできることがいくつかあります。

  1. 同伴者と一緒に受診してみる

自分と同じ価値観の友人よりも、あえて違う視点を持つ人と一緒に行くのがおすすめです。訪問看護師さんや保健師さん、作業所のスタッフなど専門職に同席してもらうのも有効です。第三者から「先生は意外とちゃんと説明しているよ」と言われれば、生理的な違和感だったと気づけるかもしれませんし、逆に「確かに態度が雑だね」と共感してもらえることもあります。

  • 質問や要望を率直に伝える

「薬の副作用が不安です」「別の方法はありませんか」など、自分の気持ちを具体的に言葉にするだけで印象は変わります。医師は患者の本音を汲み取れていないこともあるため、まずははっきり伝えることが大切です。

  • メモを活用する

診察時間は限られています。症状の変化や気になる点を事前にまとめておけば、短時間でも効率的に相談できます。

  • 何度か続けて受診してみる

お見合いに例えるなら「最低でも4〜5回は会ってみる」ことが重要です。最初の印象だけで判断せず、ある程度の期間をかけて様子を見れば、相性や治療方針についてより冷静に判断できます。

どうしても合わない場合の選択肢

どうしても合わない場合の選択肢

工夫を重ねても改善が見られない場合は、病院や医師を変えることを検討して構いません。

  • 紹介状を依頼する
     これまでの診療経過を新しい医師に伝えるためにも紹介状は不可欠です。
  • 新しい医師との相性を確認する
     口コミや評判も参考にはなりますが、最終的には自分自身の感覚で判断しましょう。
  • 転院の経験を次に活かす
     「前の先生とはここまで歩み寄ってみたが合わなかった」と整理しておけば、次の医師とよりよい関係を築く助けになります。

大切なのは「自分のせいで合わなかったのでは」と過度に責めないことです。医師との相性は人間関係の一部にすぎず、合わないのは誰にでも起こり得る自然なことだからです。

まとめ

精神科のお医者さんと合わない理由は、①生理的な相性、②医師の力量、③対応の問題、④医学の限界、⑤意思疎通のずれ――大きく分けるとこの5つに整理できます。

まずは同伴者に意見を求めたり、率直に要望を伝えたり、メモを活用するなど、できる範囲で改善を試みましょう。その上でどうしても難しい場合には、紹介状をもらって別の医師を探すことも自然な選択です。

「医師と合わない」と悩むことは恥ずかしいことではありません。むしろ自分の治療に真剣に向き合っている証拠です。患者が安心して通える環境を整えることこそ、回復への第一歩になります。