日々の診療の中で「先生となんだか合わない」「どうも話しにくい」と感じることは珍しくありません。特に精神科の場合、医師との関係性が治療の大切な部分を占めているため、相性の問題は患者さんにとって深刻な悩みになりがちです。今日は「精神科のお医者さんと合わないと感じたとき」に考えられる理由と、そのときの対応について整理していきたいと思います。

まず「合わない」と一口にいっても、その背景はさまざまです。主に次のような要素が考えられます。

では、実際に「この先生とは合わない」と思ったとき、すぐに病院を変えるべきでしょうか。実はその前にできることがいくつかあります。
自分と同じ価値観の友人よりも、あえて違う視点を持つ人と一緒に行くのがおすすめです。訪問看護師さんや保健師さん、作業所のスタッフなど専門職に同席してもらうのも有効です。第三者から「先生は意外とちゃんと説明しているよ」と言われれば、生理的な違和感だったと気づけるかもしれませんし、逆に「確かに態度が雑だね」と共感してもらえることもあります。
「薬の副作用が不安です」「別の方法はありませんか」など、自分の気持ちを具体的に言葉にするだけで印象は変わります。医師は患者の本音を汲み取れていないこともあるため、まずははっきり伝えることが大切です。
診察時間は限られています。症状の変化や気になる点を事前にまとめておけば、短時間でも効率的に相談できます。
お見合いに例えるなら「最低でも4〜5回は会ってみる」ことが重要です。最初の印象だけで判断せず、ある程度の期間をかけて様子を見れば、相性や治療方針についてより冷静に判断できます。

工夫を重ねても改善が見られない場合は、病院や医師を変えることを検討して構いません。
大切なのは「自分のせいで合わなかったのでは」と過度に責めないことです。医師との相性は人間関係の一部にすぎず、合わないのは誰にでも起こり得る自然なことだからです。
精神科のお医者さんと合わない理由は、①生理的な相性、②医師の力量、③対応の問題、④医学の限界、⑤意思疎通のずれ――大きく分けるとこの5つに整理できます。
まずは同伴者に意見を求めたり、率直に要望を伝えたり、メモを活用するなど、できる範囲で改善を試みましょう。その上でどうしても難しい場合には、紹介状をもらって別の医師を探すことも自然な選択です。
「医師と合わない」と悩むことは恥ずかしいことではありません。むしろ自分の治療に真剣に向き合っている証拠です。患者が安心して通える環境を整えることこそ、回復への第一歩になります。