公共の場でのパニック発作を起こすことについて

公共の場でのパニック発作を起こすことについて

公共の場での過呼吸やパニック発作 ― 迷惑ではなく「人と人が支え合う瞬間」

「せっかく電車の中でリラックスしていたのに、隣の人が過呼吸になってしまって、本当に嫌な気分だ」

果たして、私たちは本当にそう感じるでしょうか。実際にそのような状況に出会ったとき、多くの人はむしろ「大丈夫かな」と心配し、何かできることはないかと自然に考えるのではないでしょうか。

電車や映画館といった公共の場で、過呼吸やパニック発作、突然の体調不良に見舞われる方がいます。そうした方々の中には、「自分が迷惑をかけてしまった」と深く気に病み、外出を避けるようになる方も少なくありません。

しかし、本当に「迷惑」なのでしょうか。むしろ、人は人を助ける存在であり、その行為を通じて互いに支え合うことができるのです。今回は「公共の場で起こるパニック発作や過呼吸と、周囲の反応」について考えていきたいと思います。

人は人を助けることで満たされる存在

人は人を助けることで満たされる存在

私が生きてきた中で痛感してきたのは、「人の役に立つこと」が自分自身の存在価値や充実感につながっているという事実です。

心理学者マズローの「欲求段階説」でも示されているように、人は自己実現や承認を求める存在です。その高次の欲求は、人を助けたり感謝されたりする中でこそ満たされやすい。つまり、人は人を助けることで幸福を感じるようにできているのです。

もちろん、メンタル不調の方を長期的に支え続けるのは容易ではありません。感謝の言葉があれば支える側もやりがいを感じられますが、ときには怒りをぶつけられたり、八つ当たりを受けることもあります。そうした長期的な「伴走」は確かに大変です。

しかし、公共の場で突然困っている人を一時的に支えること――例えば「大丈夫ですか」と声をかけ、手を握る、駅員に知らせる――こうした行為は、多くの人にとって「助けられてよかった」「役に立てた」という満足感につながります。

「限られた範囲での支援」で十分

「限られた範囲での支援」で十分

例えば、飛行機の中で誰かが盲腸の痛みに苦しんでいたとします。周囲の人は最終的に手術までしてあげることはできません。それでも「声をかける」「到着まで寄り添う」「救急隊につなぐ」といった支援は可能です。

過呼吸も同じです。完全に治療して再発を防ぐことまでは難しくても、「今ここで苦しんでいる」状態を和らげることはできます。手を握ったり、落ち着いて声をかけたりするだけでも症状は軽減します。そして、助けられた人は少し落ち着き、助けた人は「良かった」と満たされる。まさに、互いにとって意味のある瞬間なのです。

本当に「迷惑」なのか?

本当に「迷惑」なのか?

では、公共の場での発作は「迷惑」なのでしょうか。

電車が止まれば多少の遅延が生じ、映画館なら一時的に注意がそれるかもしれません。しかし、実際に誰かが体調を崩した場面で「本当に迷惑だ」「楽しみが台無しだ」と思う人はほとんどいません。

むしろ「大変だ、助けてあげよう」と行動する人が多いはずです。映画館で気分が悪くなった人を皆で支えたとして、「映画が台無しになった」と怒る人がどれほどいるでしょうか。ほとんどいないのではないでしょうか。

外に出ることは挑戦であり、回復の一歩

パニック発作を起こしやすい人にとって、外出やイベント参加は大きな挑戦です。「迷惑をかけるかもしれない」という不安と闘いながら、勇気を振り絞って外に出ています。

一度でも遠出ができれば、「これができたのだから、近所のコンビニくらいは大丈夫だ」「駅までなら行ける」と自信につながります。小さな成功体験の積み重ねが、生活機能の維持や回復に欠かせないのです。

逆に「迷惑をかけてしまった」と自己否定に陥り、外出を避け続ければ、心身の機能はどんどん低下してしまいます。だからこそ、「迷惑だから外に出ない方がいい」と考えるのは大きな誤解であり、むしろ回復の妨げになってしまうのです。

助ける側も幸せになる

助ける側も幸せになる

駅員や映画館スタッフなど、職務として対応する人もいます。しかし、彼らも「助けたことで相手が回復した」と実感できると、やはり嬉しいものです。それは職務を超えて「人と人が関わる喜び」です。

助けることは、決して「迷惑を背負わされる」ことではありません。むしろ「自分が人の役に立てた」という大切な経験となります。

ひきこもらず、一歩を踏み出してほしい

「過呼吸を起こして迷惑をかけてしまったから、もう外には出ない」と考えてしまう方がいます。しかし、それはとてももったいないことです。周囲はあなたが思っているほど迷惑だと感じていません。助けた人はむしろ「良かった」と思っています。

だからこそ、必要以上に自分を責めず、ひきこもらないでほしいのです。外に出て、もし何かあっても、それを支えようとする人は必ずいます。そして助けた側もまた、その瞬間に幸福を感じています。

おわりに

公共の場で過呼吸やパニック発作を起こしてしまったとしても、それは「迷惑」ではなく、「人と人が支え合う機会」です。助けられる側はもちろん、助ける側もまた充実感を得ることができます。

だから、どうか「迷惑をかけるから外に出ない」と自分を閉じ込めないでください。あなたの一歩は、周囲の人にとっても価値のある出来事なのです。

人は人を助けることで幸せを感じる生き物です。あなたが外に出て、もし何かあったとしても、その出来事を通して「人のつながり」が生まれます。どうか安心して、日常を歩んでいただきたいと願います。