ASDのこだわりの正体とは?
ASD(自閉症スペクトラム)の方々が持つ「こだわり」。
これは単なる「頑固さ」や「融通が利かない」といったものではなく、独自の特性に根ざしたものです。今回の記事では、ASDに見られるこだわりの正体について、その特徴や社会生活への影響、さらにこだわりを強みに変える方法を解説します。

ASDの方にはいくつかの特性が見られますが、その中で代表的なものに以下のような特徴があります。
これらの特徴に加え、ASDの方には「こだわりが強い」という特性もあります。
これはASDの方々を理解するうえで非常に重要なポイントです。
ASDの人とASDではない人のこだわりの違い
ASDの方とそうでない方の「こだわり」の違いを一言で表すなら、それは「心の移動ができるかどうか」です。
例えば、以下のエピソードを考えてみましょう。
ASDのAさんは、土曜日に家族で遊園地に行く予定を立てていました。
しかし、当日は雨で寒かったため、妻が「来週に延期しよう」と提案しました。
それでもAさんは予定通り遊園地に行こうとしました。
Aさんの中では、「土曜日に遊園地に行く」という計画が既に固定化されており、それを変更するという心の移動ができなかったのです。
このような「心の移動の難しさ」は、以下の状況でも見られることがあります。
ASDのこだわりが強くなる理由としては、「自分が予測できる範囲で行動することに安心感を覚える」という心理が挙げられます。
逆に、予定変更など予測できない出来事は不安感を増幅させるトリガーとなりやすいのです。

ASDの方のこだわりは、時に社会生活において「生きづらさ」をもたらします。
こだわりの強さが周囲から「融通が利かない」「頑固だ」と捉えられ、結果として人間関係に摩擦が生じることがあります。
これが積み重なると、相手との距離が生まれやすくなり、孤立感を覚えることも少なくありません。
ASDの方自身も、こだわりの強さを自覚していることが多いです。
そのため、「柔軟に対応できない自分」を責め、自己嫌悪や自己否定感に陥ることがあります。
ASDの方にとって、こだわりは「心の安定剤」といえる存在です。こだわりが崩れると、頭の中で描いていた計画が白紙になるような感覚に陥り、強い不安や混乱を感じるのです。
ASDのこだわりは、必ずしもネガティブな要素ではありません。
むしろ、それを活かすことで強みに変えることができます。
ASDの方は、特定の興味対象に対して強い探求心を持つ傾向があります。
例えば、歴史や趣味に深い知識を持つ方が多く、時には専門家顔負けの知識を発揮することもあります。このように、興味のある分野を掘り下げる能力は、大きな武器になります。
ASDの方は「変化を嫌う」特性を持ちますが、それゆえに、同じ作業を続けることに対して高い集中力を発揮することができます。
例えば、マニュアルやルールに基づいた業務では特に力を発揮することが多いです。
環境さえ整えば、ASDのこだわりは大きな生産性を生み出します。
こだわりを受け入れ、付き合い方を工夫することで、生きやすさを向上させることが可能です。
まずは、自分がどのような場面で「こだわり」を感じるのかを明確にしましょう。
予測できない出来事に直面したときの代替案をあらかじめ用意するなどの工夫も効果的です。
感情が高ぶったときは、一人で過ごす時間を確保してクールダウンすることが大切です。
また、信頼できる人に話を聞いてもらい、気持ちを言語化することも役立ちます。
こだわりを活かせる環境を選ぶことで、ストレスを軽減し、強みを発揮しやすくなります。
特に、基準が明確な仕事やルーティンのある生活はASDの方に適している場合が多いです。
ASDのこだわりは、単なる「頑固さ」や「融通が利かない」という印象だけで片付けられるものではありません。その背景には、不安を和らげようとする心の動きや、安心感を得るための努力があります。
こだわりが強みとして活かせる環境を整え、自分自身や周囲の人々と共に向き合うことで、より良い生活が実現できるはずです。
自分自身の特性を理解し、受け入れることから始めましょう。