
私たちの暮らしの中で、季節の変わり目や一日の中の気温差に戸惑うことは少なくありません。特に春や秋は、朝晩は冷え込むのに昼間は汗ばむほどの暑さになる日もあり、体調を崩す人が増えます。こうした寒暖差は、体だけでなく心の健康にも大きな影響を与えることが知られています。今回は「寒暖差とメンタル疾患」について、その原因と対策を整理してみたいと思います。
人間の体には「自律神経」という、無意識のうちに体を調整してくれる神経があります。心臓を動かしたり、血圧を調整したり、体温を保ったりと、生命維持に欠かせない働きを担っています。
ところが気温の変化が激しいと、この自律神経がフル稼働する必要が出てきます。暑ければ血管を広げて汗をかかせ、寒ければ血管を収縮させて熱を体にため込みます。寒暖差が大きいと、この調整を繰り返さなければならず、自律神経が疲れてしまうのです。
その結果、動悸や息切れ、体が急に熱くなるホットフラッシュのような症状、さらにはパニック発作に近い状態が起きることもあります。こうした体の変化についていけなくなり、心まで疲れてしまうことが、メンタル不調の大きな要因となります。
心の安定には質のよい睡眠が欠かせません。けれども、寒暖差が激しいと寝つきにくくなったり、夜中に目が覚めやすくなったりします。
人間は体温が下がるときに眠気が訪れる仕組みを持っています。入眠前に40℃程度のお風呂で半身浴をし、体を一時的に温めると、その後に体温が下がるタイミングで自然と眠りにつきやすくなります。しかし、外気温が寒すぎたり暑すぎたりすると、体温調整がうまくいかず、寝つきが悪くなったり、汗ばんで途中で目が覚めてしまったりするのです。
「寒いから布団をかぶったのに、途中で暑くなって布団をはいでしまい、今度は寒くなって起きる」といった経験をした人も多いのではないでしょうか。このような中途覚醒が増えると、眠りのリズムが乱れ、翌日も疲れが抜けにくくなります。結果として気分が落ち込みやすくなり、メンタル面にも悪影響が及びます。
血液の流れも、寒暖差の影響を大きく受けます。暖かいと末端の血管が広がり、寒いと収縮します。そのため、手足に流れる血液量と体の中心部に流れる血液量のバランスが常に変化してしまいます。
脳に送られる血液も、この影響を受けます。血流が安定しなければ脳の働きも不安定になり、集中力の低下や気分の落ち込みを招きます。メンタルは脳の状態に直結するため、血流の乱れが心の不調へとつながるのです。
では、寒暖差によるメンタルへの影響を少しでも和らげるためには、どのような工夫ができるでしょうか。大きく3つの視点から考えてみましょう。

自律神経を鍛えるためには、あえて寒暖差に体を慣らす方法が有効です。サウナや温冷交代浴がその一例です。熱いサウナでしっかり体を温めた後、冷たい水風呂に入る。このように人工的に寒暖差を体験することで、自律神経は少しずつ順応しやすくなります。
また、軽い運動やストレッチも効果的です。筋肉を動かすことで血流が促され、自律神経の働きが整いやすくなります。

睡眠の質を高めるためには、環境づくりが重要です。
特に、就寝前のスマホ使用は強い光刺激で脳を覚醒させてしまうため、避けたほうが無難です。

外気温の変化を完全にコントロールすることはできませんが、室内環境を整えることで寒暖差の負担を減らすことは可能です。暖房や冷房を適切に利用し、急激な気温差を避けるよう心がけましょう。
特に、夜間は室温を一定にしておくことが大切です。外出を控えられる時間帯は、家の中を快適な温度に保つことで睡眠の質も安定しやすくなります。

寒暖差がメンタルに悪影響を与えるのは、
この3つが大きな理由です。
寒暖差そのものを避けることは難しいですが、日常生活の工夫で影響を軽減することはできます。サウナや温冷交代浴などで自律神経を慣らすこと、半身浴や室温調整で睡眠の質を高めること、そして無理のない範囲で規則正しい生活を送ること。これらを意識するだけでも、メンタルの安定につながります。
季節の変わり目や気温の激しい変化に負けず、心身のバランスを保つために、ぜひ取り入れてみてください。