患者医師の信頼関係を樹立する秘訣とは?

患者医師の信頼関係を樹立する秘訣とは?

ひとりで抱え込まないために ―支援者とともに歩むということ―

生きているのが苦しい、朝が来るのが怖い。そんな気持ちに押しつぶされそうになるとき、私たちはどうしても自分の殻に閉じこもりがちです。「誰にもわかってもらえない」「どうせ同じだ」と思えば思うほど、人の言葉に耳を貸す気持ちもなくなってしまいます。

けれども、そういう時こそ本当に大切なのは、支援者とともに歩むことです。医師や心理士、看護師といった人たちとつながり続けることが、つらい心を抱えながら生きるうえで欠かせない支えになります。

不思議なことに、処方される薬や行われるカウンセリングの内容は、どの支援者に出会っても大きな違いはありません。皆同じような教育を受け、国家試験を経て知識を身につけています。つまり治療の“やり方”は似ているのです。けれど、あなたがその治療を受け入れられるかどうかは、ただ一つ。「その人の言葉を信じてみよう」と思えるかどうか。人と人との関係性にすべてがかかっているのです。

努力の背景にあるもの

努力の背景にあるもの

医師になるには、青春の大部分を勉強に費やさなければなりません。朝から晩まで机に向かい続け、ようやく医学部に入り、そこからも解剖実習や国家試験という過酷な壁が立ちはだかります。そして研修医になれば、患者さんの命を預かるという重責を負う。夜中に急変した患者の前に立ち、最初の判断を自分一人で下さなければならない状況もあります。その緊張感の中で、彼らは必死に成長していきます。

看護師もまた、尊敬に値する存在です。昼夜逆転のような生活を余儀なくされながら、患者の小さな変化を見逃さないために、心と体を酷使し続けています。心理士も同じです。患者の心に寄り添いすぎて自分を見失う危うさを抱えながら、それでも冷静に伴走していく。その姿勢は本当に強い覚悟がなければ続けられません。

こうした背景を知ると、たとえ目の前の支援者が少し不器用に見えたり、言葉足らずに感じられたりしても、その背後に積み重ねられた努力を尊敬せずにはいられません。

患者の声から見えるもの

患者の声から見えるもの

ここで、ある患者さんの体験談を紹介します。

「初めて心療内科に行ったとき、正直、半信半疑でした。薬をもらったところで何が変わるんだろう、と。先生は淡々と症状を聞いて、処方を書くだけに思えました。でも、帰り際に『ここまで来るの、大変でしたね。次はもっと楽に来られますように』と言ってくれたんです。その一言が心に残って、薬もきちんと飲んでみようと思えました。」

「私は長いあいだ病院を転々としていました。どの先生も同じことを言うように感じて、通う意味があるのかわからなかったんです。でもある先生が『治療は一緒に試行錯誤していくものですよ』と笑って言ってくれたんです。その言葉がきっかけで、やっと通院を続けられるようになったんです。」

「カウンセリングを受けていて、なかなか言葉が出てこないことがありました。沈黙が続いて焦っていると、心理士さんが『言葉にできない時間も、あなたにとって大切なんですよ』と教えてくれました。無理に話そうとしなくていいんだと安心して、少しずつ気持ちを話せるようになりました。」

こうした声からもわかるように、治療を続ける力は薬や技術そのものではなく、人と人のあいだに生まれる温かい関係性によって支えられているのです。

関係を育てるために

関係を育てるために

では、どうすれば支援者と良い関係を築けるのでしょうか。答えは案外シンプルです。相手の「良いところを探す」こと。

例えば、あなたの担当医が学会でどんな研究を発表しているか、心理士がどんなテーマを大事にしてきたのか、調べれば知ることができます。SNSや動画で発信している人も少なくありません。その姿を知ることで、「この人はこういう信念で働いているんだ」と理解できると、ぐっと身近に感じられるようになります。

また、日常の小さなやり取りにも目を向けてみてください。「お待たせしました」「暑い中ありがとうございます」といった一言。そんな気遣いの中に、その人の人柄が表れます。支援者を“推し”のように思える瞬間があれば、それが治療の原動力にもなります。薬を飲むのも、生活習慣を整えるのも、「推しの言葉だから」と思えたら、不思議と続けられるのです。

支援者も人間であるということ

支援者は、決して完璧な存在ではありません。患者の話を聞くことで元気をもらったり、学びを得たりすることもあります。人間関係は一方的に与えるものではなく、お互いの歩み寄りで成り立っているのです。

もちろん、つらさの真っただ中にいるときに「歩み寄れ」と言われても、そんな余裕はないでしょう。それでいいのです。少しずつ病状が落ち着いてきたときに、「この人と一緒にやっていこう」と思える関係を育てていけばいいのです。

結びに

結びに

医療の内容は、誰に診てもらっても大きくは変わりません。けれども、その医療をどう受け止め、どう続けていけるかは、支援者との人間関係に大きく左右されます。お互いに尊敬できる部分を見つけ合い、信頼し合える関係を築くこと。それがあなたの回復に向けた歩みを支える、大きな力になるはずです。

生きるのがつらいとき、どうか一人で抱え込まないでください。あなたのそばには、伴走しようと待っている人がいます。医師も、看護師も、心理士も。彼らはあなたの命と心を支えるために、これまでの人生をかけてきた人たちです。その存在を信じ、少しずつ歩み寄ってみてください。きっと、あなたの道が今よりも少しずつ歩きやすくなると思います。