私たちは誰しも「自分を大切にしたい」「褒められたい」「認められたい」という気持ちを持っています。これは人間にとって自然な感情であり、生きていくうえでの原動力にもなります。ところが、この気持ちが極端な形で現れると、周囲との関係がぎくしゃくしてしまったり、本人自身がとても生きづらさを抱えたりすることがあります。今回は、いわゆる「自己愛が強すぎる人」について考えてみたいと思います。

自己愛が強い人には、大きく分けて三つの特徴があります。
この三つの特徴は、一見するとバラバラに見えますが、実はすべて「自分に自信がない」という根本的な不安からつながっています。

人は子どもの頃、親や周りの大人との関わりの中で「自分は大切にされている」という感覚を育んでいきます。安心できる関わりがあると、少しずつ自分に自信を持てるようになります。
ところが、過去に十分な愛情を受け取れなかったり、逆に過剰に甘やかされて育ったりすると、自分の力で挑戦したり、失敗を経験したりする機会が乏しくなります。結果として「本当の自分には価値がないのでは」という不安を抱えやすくなります。
この不安を隠すために、人前では必要以上に自分を大きく見せたり、人からの称賛を強く求めたりするようになるのです。
「他人への共感が乏しい」と聞くと、似た特徴を持つ他のタイプの人を思い浮かべる方もいるかもしれません。ここでは混同されやすい三つを比べてみましょう。
このように、似たように見える行動でも、その背景や理由は大きく違います。

自己愛が強すぎる人は、ときに周囲を振り回してしまいます。
こうした言動は、周りにとって迷惑に映ることがあります。しかし、本人の内側をよく見ると「ただ自信がなく、不安でたまらない」という心の叫びが隠れています。
このような人が少しでも楽に生きられるようになるには、まず「絶対的に安心できる相手」との出会いが大切です。自分を守るために固い殻をかぶっているので、その殻を外して本音を話せるようになるまでには時間がかかります。
例えば、信頼できるカウンセラーや理解のある家族が「あなたの味方だよ」と感じさせてあげることが、出発点になります。そうして初めて、「本当は自分に自信が持てない」という気持ちを打ち明けることができるのです。
その第一歩を踏み出せれば、少しずつ「じゃあ、この時はどうしたらいいんだろう?」と相談できるようになります。そして、他人を操作しなくても安心できる関係が築けると、自分の不安も和らいでいきます。

自己愛が強すぎる人は、周囲から見ると「迷惑な人」「自己中心的な人」と思われがちです。確かに、嘘をついたり人を利用したりする言動は、他人にとって大きな負担になります。
しかし、その根っこには「自分に自信がなく、不安で仕方がない」という切実な気持ちがあります。このことを理解するだけでも、その人との関わり方は少し変わってくるかもしれません。
周囲の人にとっても、本人にとっても、この問題は決して簡単ではありません。ただし、「安心できる関係」を少しずつ積み重ねていくことで、生きづらさを和らげる道は開けていくのです。