精神障害者の就労、仕事‪

精神障害者の就労、仕事‪

精神疾患を抱えながら働くということ

私たちのまわりには、統合失調症やうつ病といった精神疾患を抱えながら生活している人が少なくありません。これらの病気は風邪のように数日で治るものではなく、薬を飲んだり生活リズムを整えたりしながら、長くつき合っていく必要がある病気です。そのため、ときに「ハンディキャップ」と感じることもあるでしょう。けれども、工夫や支えがあれば働き続けることは十分に可能です。ここでは、精神疾患を持つ方の就労について、少し柔らかく考えてみたいと思います。

病気の特徴と「波」

病気の特徴と「波」

統合失調症やうつ病の大きな特徴のひとつに「波」があります。調子がいいときには活動的で前向きになれる一方、調子が悪いときには気力が出なかったり、仕事に手がつかなかったりします。国際的な病気の分類(ICD-10)でも、こうした疾患は「気分やエネルギーに波が出やすい」とされているほどです。

この「波」は本人にとっても職場にとっても大きな課題ですが、逆にいえば「波がある」という特性を前提にすれば、働き方は工夫できるのです。

一般就労のむずかしさ

一般就労のむずかしさ

事務や販売のように、毎日決まった時間に同じパフォーマンスを求められる仕事では、どうしても調子の波がハンディキャップになりがちです。例えば、月に一度でも体調不良で休んでしまうと、職場の雰囲気が気まずくなってしまうこともあります。

一般就労を目指すときには、薬や生活習慣のコントロールをしっかり行い、自分自身も周囲も「今日は調子がいい/悪い」を理解していることが大切です。雇用者や同僚がその波を分かっていれば、無理をしない働き方につながります。

障害者雇用という選択肢

障害者雇用枠での就労は、精神疾患のある方にとって安心できる働き方のひとつです。ここでは「調子の波」があることを前提にして業務や人員配置が組まれているため、不調による休みや作業効率の低下に過度なプレッシャーがかかりにくいのです。

統合失調症やうつ病、双極性障害などの症状がある方にとっては、まずこの枠での就労を考えてみるのも良い方法でしょう。周囲の理解を得やすく、「悪意にさらされにくい」というメリットもあります。

成果報酬型の仕事という選択

成果報酬型の仕事という選択

もうひとつ注目したいのが「成果報酬型」の働き方です。決められた時間に勤務するのではなく、一定の期限までに成果物を仕上げるスタイルですね。動画編集や翻訳、システムエンジニアのような仕事はこの形にあたります。

例えば動画編集なら「10日後までに仕上げてほしい」という依頼に対して、自分のペースで作業を進め、期日までに完成させれば大丈夫。翻訳の仕事も、締め切りの範囲内で体調に合わせて作業できるので、気分の波がある人にとっては働きやすいのです。

芸術分野の仕事も同じで、ミュージシャンや画家は「決まった時間」よりも「良い作品を作ること」が評価されます。調子の良いときに力を発揮できれば、大きな強みになるのです。

自分に合った働き方を見つける

大切なのは、自分の症状の特徴をきちんと理解し、それを周囲と共有することです。自分の「波」を自分も知っていて、周りも知っている。そんな環境なら無理なく働けます。

一般就労に挑戦するのか、障害者雇用を選ぶのか、あるいは成果報酬型で働くのか。どの選択が正解というわけではなく、自分の体調や生活リズムに合った方法を見つけることが一番のポイントです。

「自分に合った働き方」で生活が好転した一例

統合失調症と向き合いながら、在宅ワークで安心

私は20代男性で、統合失調症と診断されてから人との関わりに大きなストレスを感じるようになりました。アルバイトをしても対人関係で疲れ果ててしまい、長く続きませんでした。

そんなときに挑戦したのが在宅ワーク。クラウドソーシングのサイトを通じて、データ入力や簡単な文章作成の仕事を始めました。パソコンとネット環境さえあれば、自分の部屋で安心して作業できますし、体調が悪い日は休むこともできます。収入は多くありませんが、「自分でも仕事ができる」という自信を取り戻せたのが何より大きいです。今は少しずつスキルを磨き、翻訳やライティングの仕事にも挑戦しています。

双極性障害でも、自分のペースで成果を出す

私は40代で双極性障害を抱えています。調子がいいときは驚くほど集中できるのですが、悪いときは何も手につきません。以前は一般企業で働いていましたが、どうしても波が原因で迷惑をかけてしまい、辞めざるを得ませんでした。

そんな私に合っていたのが、成果報酬型の仕事でした。今は動画編集や記事ライティングの仕事を請け負い、納期さえ守れば働く時間は自由です。体調がいいときに一気に作業を進め、不調のときは休養にあてています。

「調子の波は欠点だ」と思い込んでいた私ですが、今は「波に合わせて働ける」という形を見つけられたことで、むしろ強みとして活かせるようになりました。

まとめ

まとめ

精神疾患は確かにハンディキャップになる部分があります。でも「働けない」と決めつける必要はありません。工夫や支援を得ながら、できる形で働いていくことができます。

障害者雇用で安心を優先するのもいいですし、自分のペースを大事にできる成果報酬型の仕事に挑戦するのも良いでしょう。大切なのは、自分の特性に合った働き方を見つけること。そして、無理をせず長く続けられる働き方を選ぶことです。

精神疾患とともに生きることは、決して「働くことを諦める」ことではありません。自分に合った形で社会とつながり、少しずつでも前に進んでいく。その積み重ねが、きっと自分らしい働き方につながるはずです。