
人の体の中で大切な役割を担っている腎臓。実は、この腎臓と心の状態、つまりメンタルの調子には深い関係があると近年注目されています。そしてその鍵を握っているのが「腸内環境」です。今回は、腸の状態と心、さらには腎臓の健康がどのようにつながっているのかを考えながら、日常生活で取り入れやすい食べ物についても紹介していきます。
赤ちゃんはお母さんのお腹の中では「無菌状態」で過ごしています。羊水というきれいな液体を飲んでは吐き出しながら育ち、その中には細菌はいません。生まれて外の世界に出てきた瞬間から、初めて腸の中に菌が入り込み、そこから腸内細菌の世界――いわゆる「腸内フローラ」が作られていきます。
腸内フローラは、私たちの体や心の健康に大きな影響を与えていることが分かってきました。中でも心の状態との結びつきはとても強く、今では「腸は第二の脳」とも呼ばれるほどです。
心の不調と聞くと、うつ状態や不安感、パニックのような症状を思い浮かべる人も多いでしょう。実際に「腸」と「脳」はお互いに影響し合っており、その関係は「腸脳相関」と呼ばれています。
たとえば気持ちを安定させる働きを持つ「セロトニン」という物質。実は脳の中で作られるだけでなく、その多くが腸内細菌によって作られています。腸の環境が整っていないと、セロトニンが十分に作られず、気分が落ち込みやすくなることもあるのです。つまり、心の健康は腸内細菌の働きに大きく左右されるというわけです。
では、腸内環境は腎臓にどう関わっているのでしょうか。日本や海外での研究によると、便秘や下痢が続く人は、長い目で見て腎臓の働きが弱まりやすいことが分かってきました。特に便秘があると、腎臓の病気になるリスクが高まるという報告もあります。
腸の調子が悪いと、体の中で炎症が起こりやすくなります。この炎症が腎臓や心臓、さらには気分の落ち込みにもつながると考えられています。つまり腸を整えることは、腎臓を守るだけでなく、心の健康を守ることにもつながるのです。
健康なうちはなかなか意識しにくい腸の働き。しかし毎日の積み重ねで腸の状態は変わります。特に食べ物の影響は大きく、腸内細菌を喜ばせる食事を心がけることが大切です。
ここからは「心にも腸にもやさしい食べ物ベスト5」を紹介します。
日本を代表する発酵食品で、腸内細菌のエサになる成分が豊富。昔から日本人に親しまれてきただけあって、体質に合う人が多い食品です。朝でも夜でも、好きなタイミングで取り入れてみましょう。
韓国の伝統的な発酵食品で、善玉菌が豊富。ただし唐辛子の刺激が強いので体質によっては合わない人もいます。納豆と組み合わせると味わいも栄養効果もアップ。塩分控えめで無添加のものを選ぶとより安心です。
ヨーロッパの発酵食品の代表格。種類も豊富で、手軽に食卓に取り入れられます。小さな一切れを習慣にすると腸内環境が整いやすくなります。キムチと合わせると意外な美味しさも楽しめます。
善玉菌を効率よく取り入れられる王道食品。毎日少しずつ続けることが大切です。最近は菌の種類や数を強調した商品も多く出ています。無糖タイプを選び、果物や蜂蜜を加えて楽しむのもおすすめです。
小さな一本の中に乳酸菌がぎゅっと詰まった飲み物。気分がすぐれないときでも飲みやすく、続けやすいのが魅力です。飲みすぎは糖分が気になりますが、毎日の習慣に取り入れると腸を元気にしてくれる心強い味方になります。
一方で、腸や心にあまり良くない食べ物もあります。
まず注意したいのが「加工食品」。ハムやソーセージ、ベーコン、ハンバーガーなどは、塩分や脂質が多く、腸内環境を乱しやすいとされています。
またアルコールも腸に大きな影響を与えます。飲みすぎると善玉菌が減り、腸内のバランスが崩れてしまいます。どうしても飲みたいときは、水を一緒に飲んでアルコールを薄める工夫をしましょう。強いお酒をそのまま飲むのではなく、薄めて楽しむことが大切です。
健康や食生活を意識すると、どうしても「がんばらなきゃ」という気持ちになりがちです。しかし人は完璧に続けることはできません。だからこそ、自分を少し甘やかす時間や習慣を持つことも大切です。
たとえば「今日はヤクルトを飲んでホッとしよう」という小さな楽しみでも構いません。そうした工夫が、心の余裕を生み、結果的に体全体の健康を守る力にもつながります。

腸内環境は、心の状態にも腎臓の働きにも深く関わっています。発酵食品を中心に腸にやさしい食べ物を取り入れること、加工食品やアルコールを控えること。それだけで未来の心と体の健康は大きく変わっていくでしょう。
腸を整えることは「心を整えること」。そして腎臓を守ることにも直結しています。毎日の小さな食習慣から、自分の体と心にやさしい選択をしていきましょう。