はじめに
日常生活で感じる思考の癖。たとえば、物事を「良いか悪いか」「好きか嫌いか」といった極端な形で捉えることに心当たりはありませんか?
これは「白黒思考」と呼ばれる考え方の一種で、特にASD(自閉症スペクトラム症)の方に多い特徴とされています。本記事では、白黒思考が引き起こす3つの辛さと、その対策について、具体例を交えてご紹介します。
白黒思考とは、物事を中間の「グレーゾーン」を持たずに、極端に捉える考え方のことを指します。この思考には、以下のような特徴があります:
白黒思考は良い面もある一方で、以下のような辛さを引き起こすことがあります。
白黒思考の方は、物事を「良いか悪いか」で判断するため、ネガティブな出来事に遭遇すると、極端に自分を否定しやすくなります。
例:
友人の健太さん(仮名)は上司に提出した資料について「この資料はわかりにくいね」と言われただけで、「自分は仕事ができない」「何をしてもダメなんだ」と、全人格を否定するような思考に陥りました。

対策:
ネガティブな出来事が起きた時、その原因を「行為」か「人格」かに分けて考えましょう。資料がわかりにくかったのは「行為」の問題であって、健太さんの「人格」を否定しているわけではないのです。こうして整理するだけで、気持ちが軽くなることがあります。
白黒思考は対人関係にも影響を及ぼします。
例:
ある日、上司から強い口調で注意されたことで、その上司を「悪い人」と判断し、関係をリセットしてしまったという経験があります。しかし、その結果、職場の空気が気まずくなり、仕事がしづらくなってしまいました。
対策:
相手への印象を「良い」「悪い」だけで判断せず、円グラフにしてみましょう。相手の良い面や日頃の親切を可視化することで、偏った印象を修正できます。ネガティブな感情を抱いた時こそ、一度立ち止まって、全体像を振り返ることが重要です。
白黒思考では、「自分の考え」を曲げにくいため、他人との意見の食い違いから孤独や葛藤を感じることが多くなります。特に、曖昧なルールや解釈が求められる場面では、困難が生じやすい傾向にあります。
例:
会社のルールや文化に対して「理にかなわない」と感じた場合、その矛盾を受け入れられず、感情を溜め込みやすくなります。
対策:
感情が溢れた時は、「相手がなぜそう考えるのか」を多角的に捉える練習をしましょう。特に、「自動思考」と「スキーマ」を活用することが有効です。
「自動思考」とは、出来事に対して瞬間的に浮かぶ思考のことです。その背景には、個々の経験や信念から形成された「スキーマ(思考の土台)」が存在します。
例:
太郎さんがデートの待ち合わせに遅れた時、

同じ出来事でも、受け取り方が異なるのは、各自のスキーマが違うためです。
応用:
白黒思考で苦しくなった時、「自分のスキーマはどう影響しているのか?」と振り返りましょう。これにより、物事を多角的に捉えやすくなり、白黒思考から抜け出す助けになります。
白黒思考は、自分や周囲に対して厳しい視点を持つ一方で、大切な価値観や軸をしっかり持っている証でもあります。しかし、辛さが生じた時は、今回紹介した方法を試してみてください。
物事の間にある「グレーゾーン」を意識することで、新たな視点や心の軽さを得られるかもしれません。
自分自身を少しだけ許しながら、毎日をより楽に過ごしていきましょう。