障害者にとっての自立とは何か

障害者自立観は時代の変遷とともに大きく変わってきました。
今回は障害を持つ人々の自立について考えてみたいと思います。

自立の考え方は、かつての医学モデルによる障害を個人的な問題とする視点から
エコロジカルアプローチによる環境との相互作用を重視する視点へと移行してきました。
今回はまず障害者にとっての自立の概念を理解し、次に本人中心の主体的生活を目指す支援に
ついて考察します。

これまでの概念を覆したのが自立生活運動

これまでの概念を覆したのが自立生活運動

従来の自立のイメージは、一人で身辺自立ができ、生活費を稼ぎ、他の助けを借りずに生活することでした。
このような自立観は、経済効率性や業績主義に基づいており、医学モデルに依存して個人の問題として解決を図ろうとするものでした。
すなわち、障害を診断し治療することで普通の人に近づけようとする手法です。
しかし、重度障害者にとっては、身辺自立職業的自立が難しく、事実上困難でした。
そのため、保護や救済の対象としての生活を余儀なくされました。

これらの概念を覆したのが自立生活運動です。
この運動は、従来の自立観を見直し、たとえ援助を受けていたとしても自己決定権が保障されていれば自立とする考え方です。
エド・ロバーツによれば、自立とは何ができるかではなく、自分の意思主体的に生きること、すなわち心の自立人間としての自立を意味します。

新しい自立観

例えば、他人の助けを借りて15分で衣類を着て仕事に行ける人は、自分で衣類を着るのに2時間かかるために家にいる人よりも自立していると考えられます。
この考え方は、専門職主導の意思決定を批判し、各個人の障害に適した生活全体のQOL(生活の質)を重視する方向性を示しています。

新しい自立観は、自己決定権行使こそが自立とする考え方です。
具体的には、障害者が日常生活で介助を必要としても、自分の人生や生活のあり方を自らの責任で決定し、自ら望む生活目標や生活様式を選択して生きることが自立とされます。
障害者自身が生活の主体者として生きることが理念となります。

完全に自立した人は存在せず、完全に依存した人もいません。
普段使っている道具や交通手段も、多くの人々の手を経て提供されており、これらを使わなければ仕事にも行けません。
産業革命以降、製造や運輸において分業化が進んでおり、私たちが使用する道具も他者に依存していることが理解できます。
社会は共存し合うものであり、依存的自立の状態と考えられます。

自立的依存依存的自立

自立的依存・依存的自立

依存の状態は物理的なものだけでなく、生活の流れにも適用できます。
日常生活はルーティン化されており、物理的依存のみならず、時間の流れにも依存しています。
一般社会では、人々がお互いに切磋琢磨し、依存し合いながら生活しています。
依存のない自立孤立・孤独を意味し、社会環境との相互作用や互恵関係による成長は見込めません。  

自立依存は連続した状態にあり、自立的依存依存的自立の状態が存在しています。
この自立概念の両者は、社会において支え合うことで社会的自立を果たしています。

目的的自立は人間としての人格的自立を指し、手段的・道具的自立は、身辺的・心理的・社会的・経済的自立を指します。
手段的自立はリハビリテーションによって達成されますが、目的的自立は主体的に生きることを意味します。
支援者の主観により支援の目標は異なりますが、一人一人の自立生活をイメージすることが重要です。
生活全体を見た自立生活のために何を支援するかが重要であり、これが達成されなければ計画は机上の空論となります。

まとめ

障害者基本法の改正を経て、現在はすべての国民が障害の有無にかかわらず等しく基本的人権を享有する個人として尊重されることが目的となっています。
これにより、手段的自立から目的的自立への考え方の移行が示されています。

自立支援は、その人らしい主体的生活を支援するための概念です。
日常生活において選択し、決定し、実行するプロセスが自立であり、エンパワメントにつながります。

以上が自立の考え方についての説明です。