統合失調症は、日本の人口の約100人に1人が発症するといわれる比較的身近な病気です。
しかし、その症状は多岐にわたり、他の精神疾患や物質使用による精神症状と似ていることも少なくありません。
そのため、ときに「統合失調症」と誤解・誤診されてしまうケースが存在します。
この記事では、統合失調症とは何かを改めて確認しつつ、誤解されやすい病気や状態について解説していきます。

統合失調症は「特別な人だけがなる病気」ではありません。
人間なら誰しも持っている神経伝達物質「ドーパミン」が大きく関わっていると考えられています。
ドーパミンは、喜びや快楽、やる気と関係する物質ですが、過剰に分泌されると感覚が過敏になったり、物事を誤って受け取ったりする原因になります。
例えば、三日三晩眠らずに過ごすと、誰でも音や光に敏感になり、物音が気になって仕方なくなります。
さらに極度のストレスが加わると、「誰かが自分を悪く言っているのではないか」といった被害的な考えや、存在しない声が聞こえる「幻聴」が出ることもあります。
つまり統合失調症は、もともとの体質によって「ドーパミンが過剰に出やすい」ために、
比較的軽いストレスや睡眠不足でも症状が出てしまう病気だと理解できます。
多くの人は三日徹夜して初めて感覚の過敏や被害的な思考が出るのに対し、統合失調症の方は
一晩の徹夜で同じような症状が出る、といった違いです。
要するに「程度問題」であり、特別な病態というより「負荷への反応の出やすさ」による違いといえます。

統合失調症と似た症状を示し、誤診されやすい病気や状態には大きく2つのパターンがあります。
外部から取り込むアルコールや薬物が原因で、ドーパミンが過剰に分泌されて統合失調症に似た症状を呈することがあります。
代表的なものは以下の通りです。
これらは「体質ではなく外部の物質による刺激」で起こるものであり、治療の基本は薬物使用をやめることにあります。
抗精神病薬を使っても、原因となる物質の影響が続けば十分な改善は期待できません。
もう一つのパターンは、発達障害や知的障害といった発達特性が背景にあるケースです。
発達障害や知的障害があると、情報処理の幅が狭く、状況を柔軟に理解することが難しい場合があります。
そのためにストレスを過剰に感じやすく、結果的にドーパミンが出すぎてしまい、統合失調症に似た症状が現れることがあります。
例:
特に小児期に幻聴や妄想を訴える場合、多くは統合失調症ではなく、発達障害や環境要因によるストレス反応である可能性が高いのです。

統合失調症と他の病気を見分けるためには、丁寧な問診や検査が欠かせません。

統合失調症は「体質によってドーパミンが過剰に出やすい状態」が背景にある病気です。
しかし、似たような症状を示す疾患や状態は他にも存在します。
特に誤解されやすいのは以下の2つのパターンです。
診断を誤ると、適切な対応が遅れてしまいます。
物質使用歴を確認すること、発達特性の有無を把握すること、この2点を常に念頭に置くことが大切です。
統合失調症に似た症状が見られても、すぐに「統合失調症」と決めつけるのではなく、背景にある要因を幅広く検討することが、本人にとっても周囲にとっても適切な支援につながるのです。