
私たちの体を支え、動かしている「筋肉」。一見すると同じように見える筋肉ですが、実は大きく分けて2種類の筋肉が存在します。それが「赤筋(せっきん)」と「白筋(はっきん)」です。日常生活の動きやスポーツのパフォーマンス、さらには魚や肉の色合いにまで関わっているこの筋肉の違いについて、本日は丁寧に解説していきたいと思います。
人間の体には数百種類もの筋肉がありますが、それらは大きく分けると「赤筋」と「白筋」という2つの性質に分類されます。名前の通り、赤みを帯びた筋肉と白っぽい筋肉で、その色の違いは筋肉内の成分によるものです。さらに細かく言えば、両者の中間的な性質を持つ「ピンク筋」も存在しますが、今回は代表的な赤筋と白筋について焦点を当てます。
たとえば、マグロの身は赤く、ヒラメの身は白っぽいですよね。この違いもまさに赤筋と白筋の割合によるものです。では、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

赤筋は「遅筋(ちきん)」とも呼ばれます。専門的には「TypeⅠ線維」に分類され、以下のような特徴を持ちます。
赤筋は長時間にわたって活動を続けるのに適しているため、マラソンや長距離走といった持久力を必要とする競技で活躍します。酸素を豊富に取り込みやすい性質を持ち、筋肉内にはミオグロビンという赤い色素タンパクが多く含まれるため、見た目も赤みを帯びています。
・マグロ:一日に数百キロも泳ぎ続けるため、持久力が必須。体の大部分が赤筋でできています。
・マラソン選手:長時間走り続けるため、ふくらはぎや大腿の筋肉に赤筋が多い傾向があります。

一方で、白筋は「速筋(そっきん)」とも呼ばれ、「TypeⅡ線維」に分類されます。特徴は赤筋とは対照的です。
白筋は酸素を使ったエネルギー産生が苦手な代わりに、糖をエネルギー源として瞬発的に大きな力を発揮します。したがって、短距離走やジャンプ、重量挙げなど、一瞬の爆発力が必要とされる競技において大きな役割を果たします。筋肉内のミオグロビンが少ないため、色は白っぽく見えます。
・ヒラメ:普段はじっとしていますが、いざとなれば一気に素早く泳ぎ出す。そのため白筋が多い体を持っています。
・短距離走選手・重量挙げ選手:瞬発力を必要とする種目において、白筋の働きが極めて重要です。
筋肉は、さらに細かく見ると「筋原線維」という小さな単位が集まってできています。この筋原線維は「アクチン」と「ミオシン」という2種類のタンパク質によって構成されています。これらが互いにスライドすることで筋肉は収縮し、力を生み出します。
注目すべきは「ミオシン」に2つのタイプがあることです。
つまり、赤筋と白筋の違いは、このミオシンの種類によって生まれているのです。筋肉は赤だけ、白だけでできているわけではなく、両者が混在しています。その割合が人によって異なり、それが持久力型か瞬発力型かの違いを生むのです。

「自分はマラソン向きか、短距離向きか」という疑問を持つ方も多いと思います。実は赤筋と白筋の割合は、先天的にある程度決まっていると考えられています。そのため、トレーニングをしても赤筋が白筋に変わったり、逆に白筋が赤筋に変わったりすることはありません。
しかし、トレーニングによって筋線維を太くすることは可能です。たとえば、白筋を太くすれば瞬発力はさらに強化されますし、赤筋を太くすれば持久力をより発揮しやすくなります。つまり、「筋肉の質」は変えられなくても、「筋肉の量」や「効率」は鍛錬によって改善できるのです。
つまり、私たちの体は誰もが赤筋と白筋の両方を持っており、その割合が競技適性や体質に影響を与えています。努力で筋肉を変化させられる部分と、先天的に決まっている部分を区別して理解することが大切です。
本日の内容を整理すると、次のようになります。
赤筋と白筋を理解することで、自分の体質や運動特性を把握しやすくなります。スポーツ選手であれば競技の選択やトレーニング方針に役立ち、一般の方であっても健康づくりや運動習慣の工夫につながるでしょう。
筋肉は私たちの体を支える大切な存在ですが、その仕組みを理解することで「なぜ自分は持久力があるのか」「なぜ瞬発力に強いのか」といった疑問にも答えが見えてきます。赤筋と白筋の特性を知り、自分に合ったトレーニングや生活習慣を選ぶことが、健康的で充実した毎日を送る第一歩になるのではないでしょうか。