肘の痛みと一口にいっても、原因となるものは実にさまざまです。しかしその中でも圧倒的に多くの人が経験するのが「テニス肘」と呼ばれる状態です。正式な名前は「上腕骨外側上顆炎」といいますが、ここでは専門的な言葉はできるだけ避けて、日常生活で分かりやすい形で説明していきます。

まず、肘がどんなつくりをしているのかを簡単に確認しておきましょう。
上腕には1本の長い骨(上腕骨)があり、その下には前腕を形づくる2本の骨(橈骨と尺骨)があります。この3本の骨が組み合わさって、肘はちょうどドアの蝶つがいのように曲げたり伸ばしたりできる仕組みになっています。
テニス肘が起こるのは、この肘の「外側」、つまり腕の外側の出っ張った骨の部分です。実際に自分の肘を触ってみると、外側に少し突き出した骨を感じると思います。このあたりを押すと痛みが出る場合、テニス肘の可能性が高いといえます。
肘の外側には、手首や指を動かすための筋肉が骨にくっついています。特に「指を伸ばす」「手首を上に反らす」動きをする筋肉です。
この筋肉は普段から大活躍しています。例えば、パソコンのキーボードを打つ、マグカップを持ち上げる、買い物袋を手に提げる――そんな動作すべてに関わっています。
筋肉は骨に直接つながっているわけではなく、その先が腱という強い組織に変わって骨に付着します。この「筋肉と骨をつなぐ部分」に負担がかかり続けると炎症が起きてしまい、これが痛みのもとになります。これがまさにテニス肘の正体なのです。

テニス肘は名前の通りテニス選手に多いことから広まりましたが、実際にはテニスをしていない人にも非常によく起こります。
典型的なのは次のような動作です。
こうした動作で肘の外側にズキッと痛みが走るのが特徴です。指や手首を動かしているつもりなのに、実際にはその動きに関わる筋肉が肘に強い力を加えてしまうため、肘が痛むのです。
「テニス肘」という名前を聞くと、「テニスなんてしていないのに、なぜ自分が?」と思う人も多いでしょう。
実際のところ、この痛みはテニスに限らず、料理や掃除、パソコン作業、楽器の演奏、荷物の持ち運びなど、手や腕をよく使う人なら誰にでも起こります。
医学的には「上腕骨外側上顆炎」と呼ばれます。これは「腕の骨の外側にある出っ張った部分に炎症が起きている」という意味です。名前が少し難しいですが、要するに「手首や指を動かす筋肉が骨につながる場所に炎症が起きて痛みが出ている」ということです。
肘の痛みと聞くと、「もしかして手術が必要なのでは?」と不安になる方もいるかもしれません。しかし、テニス肘は基本的に手術を行うことはありません。
ただし、治りがゆっくりなのも特徴で、場合によっては半年から1年ほど痛みが続くことも珍しくありません。これは、手や腕を日常的に使うため、完全に安静にすることが難しいからです。日常生活を送る中でどうしても手首や指を動かしてしまい、そのたびに炎症部分に負担がかかってしまうのです。

一番の治療は「手や腕を休ませること」です。しかし完全に使わないわけにはいきません。そこで「無理をしない範囲でできるだけ休ませる」という姿勢が大切になります。
例えば、重たいものを持つときは両手を使う、手のひらを上にして持つ、休憩をこまめに入れるといった工夫が役立ちます。
痛みが強い時期には、飲み薬や湿布で和らげる方法があります。あくまで症状を抑えるものですが、日常生活を過ごしやすくする助けになります。
市販のサポーターや専用のバンドも効果的です。これは肘ではなく、少し手首に近い場所に巻くことで、筋肉の力が骨に直接伝わりにくくなり、炎症部分を休ませる役割を果たします。見た目はシンプルですが、知らず知らずのうちに肘にかかる負担を減らしてくれる便利な道具です。
場合によっては温めたり、低周波治療などのリハビリを行うこともあります。また、痛みが落ち着いてきたらストレッチや軽い運動を取り入れることで、筋肉の柔軟性を取り戻し再発を防ぐこともできます。
肘の痛みの中で最も多いのが「テニス肘」です。
完治までに時間がかかることも多いですが、基本的には自然に治っていくものです。焦らず、肘に優しい生活を心がけながら少しずつ回復を目指しましょう。