「痛風(つうふう)」という病名を耳にされたことがある方は多いのではないでしょうか。その名の通り、風に吹かれただけでも痛むほどの激しい関節痛を特徴とする病気です。実際に発作が起こると、鎮痛薬を服用してもなかなか痛みが引かず、日常生活に大きな支障をきたすことも少なくありません。ここでは、痛風という病気の成り立ちや原因、症状、治療法、そして予防のために気をつけるべき生活習慣について、できるだけわかりやすくご紹介します。
日本において痛風が広く認識されるようになったのは、実は比較的最近のことです。記録によれば、明治以前にはほとんど報告がなく、急激に増加し始めたのは1960年代以降とされています。これは食生活の欧米化と深い関係があります。動物性たんぱく質やアルコールの摂取が増えた結果、尿酸値が高くなる人が増え、現在では全国で数十万人規模の患者が存在すると言われています。
痛風の原因は「尿酸」という物質が体内に過剰にたまることです。イメージしやすい例として、水に粉末を溶かす場面を思い浮かべてください。最初は粉が溶けていきますが、限界を超えると底に沈殿します。痛風も同じ仕組みで、血液中に尿酸が溶けきれなくなると、余分が関節に沈着し、やがて「尿酸結晶」として蓄積します。この結晶が関節に強い炎症を引き起こし、激しい痛みを伴う「痛風発作」となるのです。
尿酸値が高すぎる状態を「高尿酸血症」と呼びます。これは痛風発作の直接的な原因であり、放置すると腎障害など他の合併症を引き起こす可能性もあります。
尿酸は「プリン体」という物質が体内で分解されることで生成されます。プリン体は細胞の核酸に由来するため、細胞数の多い食品、すなわち魚卵や内臓肉などに多く含まれます。プリン体の摂取が増えると、それに比例して尿酸も増加し、痛風リスクが高まります。
公益財団法人 痛風・尿酸財団では、尿酸摂取量は1日400mgまでが望ましいとされています。以下は代表的な食品の100gあたりの尿酸含有量です。
これらの食品は栄養価も高いのですが、摂りすぎには注意が必要です。

アルコールは痛風発作を誘発しやすい因子の一つです。特にビールはプリン体を多く含むため注意が必要です。100mlあたりの尿酸含有量をみると、焼酎やウイスキー、ブランデーはほとんど含まれていませんが、ビールは2.8〜6.9mg、地ビールではさらに多く16mg近く含まれることもあります。
「プリン体ゼロ」とうたわれた商品でも、アルコールそのものが尿酸の排泄を妨げるため、飲みすぎは痛風悪化の一因となります。

関節に蓄積した尿酸結晶は、強い炎症反応を引き起こします。その結果、関節が赤く腫れあがり、夜眠れないほどの激痛に襲われることがあります。痛風の典型的な初発部位は足の親指の付け根(母趾MP関節)ですが、そのほか足の甲、足関節、膝関節、手関節、肘関節などにも発症する可能性があります。

痛風が疑われる場合、血液検査で尿酸値を測定し、関節の腫れや痛みの症状と照らし合わせて診断が行われます。治療は大きく2つの柱があります。
これらの薬は長期的に服用し、尿酸値を安定させることで発作の再発を予防します。副作用の可能性もあるため、必ず医師と相談しながら服薬することが重要です。
薬による治療と並行して、生活習慣の改善も欠かせません。
これらを継続することで、尿酸値のコントロールが可能となり、痛風発作の予防につながります。
痛風は「風に吹かれても痛い」と表現されるほど、発作時の痛みが強烈な病気です。その背景には高尿酸血症があり、現代の食生活や飲酒習慣が大きな要因となっています。
しかし、正しい知識を持ち、食生活の改善や適切な薬物治療を受けることで、発作のコントロールや再発予防は十分可能です。もし関節の強い痛みや腫れが現れた場合は、早めに内科や整形外科を受診し、適切な診断と治療を受けることをおすすめします。
痛風は一度かかると長く付き合っていく必要がある病気ですが、生活習慣の工夫と医療の力で、快適な日常を取り戻すことができるのです。