へバーデン結節の話

へバーデン結節とは ― 手指の第一関節に起こる変形性疾患について

へバーデン結節とは ― 手指の第一関節に起こる変形性疾患について

私たちの生活の中で手は非常に重要な役割を担っています。文字を書く、料理をする、物をつかむといった日常動作のほとんどは手指の動きによって支えられています。そのため、手に痛みや変形が生じると生活の質が大きく損なわれてしまいます。本日は、中高年の特に女性に多くみられる「へバーデン結節」について、その症状や原因、経過、そして治療法までを詳しく解説していきたいと思います。

へバーデン結節とは何か

へバーデン結節とは、手指の第一関節(医学的にはDIP関節:Distal Interphalangeal Joint)が徐々に変形し、こぶのように膨らんでくる疾患です。関節の変形は手の甲側に起こり、進行とともに痛みを伴うことが多いのが特徴です。

患者さんの多くは「指の第一関節が腫れてきた」「最近痛みが強くて不安」といった症状を訴えて病院を受診されます。特に40歳以上の女性に多く、日本では約350万人が罹患していると推計されており、決して珍しい病気ではありません。

症状と特徴

へバーデン結節の主な症状と特徴を整理すると、以下のようになります。

第一関節の変形と膨隆

指先の第一関節に骨のこぶのような膨らみが生じます。変形は手の甲側に目立ち、進行するにつれて外観にもはっきり表れます。

痛みの出現

変形の過程では強い痛みを伴うことがあります。赤く腫れ、熱を持つような症状が出る場合もあり、これが受診のきっかけになる方が多いです。

関節の動かしづらさ

完全に動かなくなるわけではありませんが、曲げ伸ばしの際に違和感や制限を感じることがあります。

中高年女性に多い

特に40代以降の女性に発症することが多く、加齢やホルモンバランスの変化も関与していると考えられています。

リウマチとの違い

関節リウマチと混同されやすい病気ですが、へバーデン結節は第一関節だけが障害されます。一方、リウマチは血液検査で異常が見られることが多く、肩や足首など複数の関節に広く炎症が起こるのが特徴です。この違いを知っておくことは非常に重要です。

原因について

残念ながら、へバーデン結節の正確な原因は現在でも解明されていません。血液検査で異常が見つかることもなく、診断は主にレントゲン検査による関節の変形と臨床症状によって行われます。

診断の過程では、他の関節疾患ではないかを慎重に確認する「除外診断」が行われ、最終的にへバーデン結節と判断されるケースが多いのです。

病気の経過

病気の経過

へバーデン結節は、数か月から数年という長い時間をかけて徐々に進行していきます。その経過を大まかに追うと次のようになります。

変形の進行

骨の一部がこぶのように隆起し、徐々に大きくなっていきます。膨らみはある程度のところで成長が止まることが多いとされています。

痛みの増強期

膨らみが大きくなっていく過程では強い痛みを伴うことがあります。赤く腫れたり、熱を持つように感じることも珍しくありません。

痛みの減弱

数年を経て膨らみが完成すると、逆に痛みが軽くなる傾向があります。ただし、関節の変形そのものが元に戻ることはありません。

形態の固定

膨らんだ骨のこぶは一生残るため、昔使えていた指輪がはめられなくなるといった日常生活上の変化が生じることもあります。

発症部位の多様性

親指から小指までどの指にも発症する可能性があります。一本の指だけに起こる場合もあれば、数年のうちに複数の指に広がることもあり、人によって経過はさまざまです。

治療と対処法

へバーデン結節は残念ながら根本的に治す方法はなく、治療の中心は「症状を和らげながら生活の質を維持すること」にあります。

保存的治療

痛み止めの内服薬

湿布薬や塗り薬の外用

関節を冷やす・安静にする

これらを組み合わせ、痛みを和らげながら日常生活を送るのが基本です。

手術的治療

ごくまれに、強い痛みが長期間続いたり、こぶの膨らみが著しく日常生活に支障をきたす場合には外科的治療が検討されます。具体的には、こぶの切除や関節を固定する手術が行われます。ただし、関節を固定すると指の可動性は制限されるため、医師とよく相談したうえで選択することが大切です。

日常生活での工夫

日常生活での工夫

へバーデン結節と付き合っていく上で、日常生活の工夫も重要です。

指に過度な負担をかけないようにする

家事や仕事で長時間手を使う際は休憩をはさむ

痛みが強いときは関節を温めたり冷やしたりして調整する

指輪やアクセサリーは早めに外す

これらの工夫を取り入れることで、症状の悪化を防ぎつつ快適に生活することが可能です。

まとめ

へバーデン結節は、手指の第一関節に起こる変形性疾患であり、中高年の女性に特に多い病気です。原因は明確には解明されていませんが、進行の仕方や治療の基本方針についてはある程度わかっています。

重要なのは、**「痛みは時間とともに軽くなる場合が多いが、変形は元には戻らない」**という点です。そのため、病気を正しく理解し、保存的治療や日常の工夫を通じて上手に付き合っていくことが何よりも大切です。

リウマチと間違われやすい病気ではありますが、性質はまったく異なるため、正確な診断と適切な対応が求められます。症状に不安を感じたら、自己判断せずに整形外科や専門医に相談することをおすすめします。