私たちが「放射線」と呼んでいるものには、実際にはいくつかの種類があります。それぞれの放射線は正体や性質が異なり、物質を突き抜ける力(透過力)や遮蔽に必要なものが大きく異なります。以下に代表的な放射線を整理します。
このように、放射線の種類ごとに正体や透過力の強さ、遮蔽方法は大きく異なります。

放射線を浴びる量は「シーベルト(Sv)」という単位で表されます。日常生活で目にするのはその千分の一である「ミリシーベルト(mSv)」です。これは単なるエネルギー量ではなく、人間の体に与える影響を加味した指標です。
被ばく量と健康影響には目安があります。100mSv以下の被ばくでは臨床症状が認められないとされます。しかし、急性で4000mSvに達すると約半数の人が死亡し、10000mSvに達するとほぼすべての人が致死的影響を受けるとされています。つまり放射線の影響は、被ばく量の大小によって大きく変わるのです。
放射線には人工的に利用されるものと、自然界から浴びるものの両方があります。これを具体的な数値で比較すると、イメージがしやすくなります。
この比較からも分かるように、医療に用いられる放射線は自然界から日常的に受けている量と同じ程度の大きさにあります。特にCT検査はやや高めですが、病気を早期に発見できる利点を考えると、その恩恵は非常に大きいといえます。

放射線を浴びると、DNAに損傷が生じ、結果的にがんの発症リスクが上がるとされています。しかしこのリスク上昇は「量」に大きく依存します。
この数値だけを見ると大きく感じますが、生活習慣によるがんリスクの上昇と比べるとどうでしょうか。例えば、野菜不足で1.06倍、塩分過多で1.11~1.15倍、運動不足で1.15~1.19倍、肥満(BMI30以上)で1.22倍、痩せすぎ(BMI19未満)で1.29倍、そして喫煙・飲酒では1.60倍にもなります。
つまり放射線によるリスクは確かに存在しますが、日常生活の習慣と同等かそれ以下の影響に位置付けられる場合も少なくありません。これは「放射線=特別に危険」という単純なイメージを見直すために重要な視点です。

放射線と聞くと「危険」「被ばく」というイメージが先行しがちですが、実際には私たちの暮らしを大きく支えている存在でもあります。医療、農業、工業、宇宙開発など、さまざまな分野で放射線は欠かせない役割を担っています。
このように、放射線は「危険なもの」という側面だけでなく、「人類の知恵としてコントロールして活用することで役立つもの」という両面を持っています。適切に管理すれば、私たちの生活を豊かにし、安全で便利な社会を実現するための大切なパートナーになるのです。
放射線には種類ごとに特徴があり、その透過力や遮蔽方法は大きく異なります。被ばく量はシーベルトという単位で表され、量によって人体への影響が変わります。医療や自然界から日常的に浴びる放射線はごく少量であり、むしろ健康管理や生活習慣の方ががんリスクに大きな影響を与える場合もあります。そして放射線は危険な側面を持ちながらも、医療や産業、農業、宇宙開発など幅広い分野で人類の生活を支える重要な役割を果たしています。
放射線を正しく理解し、恐れすぎず、過小評価もせず、適切に向き合うことが、私たちの安全で豊かな暮らしにつながるのです。