近年、「HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)」という言葉を耳にする機会が増えてきました。HSPとは、生まれ持った「非常に繊細で周囲の刺激に敏感な気質」を持つ人を指します。この気質は性格とは異なり、生涯変わることがない核のようなものです。今回は、HSPの具体的な特徴、発達障害(ASDやADHD)との関係性、そしてその共通点について詳しく解説します。
アメリカの心理学者エレイン・アーロン博士が提唱したHSPの特徴は次の四つです。すべてに該当する場合、HSPとされます。
HSPの人は非常に思慮深く、物事の表面的な部分だけでなく、本質的な部分を考えます。例えば、落ち込んでいる人を見ると、「どうして落ち込んでいるのだろう?」と深く考え、その人の気持ちに寄り添おうとします。また、自己内省をすることが多く、「人生の意味」など哲学的な問いに思いを巡らせることもあります。感動しやすい性格でもあり、美しい景色や芸術に触れると強く心を動かされます。
外部からの刺激、特に音・臭い・光に敏感でストレスを感じやすいのもHSPの特徴です。例えば、工事現場の騒音や強い香水の臭い、家電量販店の眩しい照明などが苦手です。この感覚の鋭敏さゆえに、「神経質」と思われることもあります。また、刺激の多い環境では心が疲れやすいため、静かで安心できる場所を好む傾向があります。
HSPの人は相手の表情や声から感情を読み取り、それを自分の感情のように感じることがあります。たとえば、映画やドラマの悲劇に深く共感してしまい、現実と物語をしばらく区別できないこともあります。共感力の高さから、職場や家庭の雰囲気の変化にも敏感で、「空気を読みすぎる」といった悩みを抱えることもあります。
HSPの人は、人の髪型の変化や声のトーンから相手の気持ちを察する力に長けています。そのため、サービス業などでは気配り上手として活躍できます。一方で、細かいことが気になりすぎるという面もあり、時には周囲とズレを感じることもあります。

HSPとよく比較される発達障害には、主にASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如・多動症)があります。それぞれの考え方の特徴を見てみましょう。
アーロン博士は、「HSPとASDは併発しうるが、HSPとADHDは併発しない」としています。ただし、この見解は確定的ではありません。いずれも集団生活でストレスを感じやすく、疲れやすいという共通点があります。
悩み
HSPの人は、自分の特性によって日常生活でつまずきやすく、自己肯定感が下がりやすい傾向があります。例えば、人間関係の中で気を使いすぎたり、些細な失敗に強いストレスを感じたりすることがあります。
希望
一方で、繊細さゆえに他者の痛みに寄り添い、優しく思いやり深い人が多いのもHSPの特徴です。この特性を活かすことで、自分や他者を救うことができます。

HSPの気質は変えることはできませんが、それを受け入れ、自分を活かす努力をすることが大切です。「自分を変える努力」ではなく、「自分を知り、活かす努力」をしてみましょう。その一歩として、自分の特性を知り、適切な環境で力を発揮することがHSPの人にとっての鍵となります。