【発見!】当てはまる?発達障害の方が持つ「あぶり出し型脳」

 日常生活で「あとになってから気づく」という経験はありませんか?
 職場で注意を受けた際に、その場ではなぜ怒られたのか分からず、家に帰ってからその理由が浮かんでくる。面接で適切な回答が思い浮かばず、翌日になって妙案を思いつく――そんなことが頻繁に起こるなら、もしかするとあなたは「あぶり出し型脳」という特性を持っているのかもしれません。


 「あぶり出し型脳」とは、発達障害考察ブログ「HYOGOKURUMI」の執筆者が名付けた脳の特性の名称です。この言葉は、発達障害のある方の中でも、特に「思考や答えが後から浮かび上がる感覚」をうまく表現しています。専門家の方たちの中ではこれを「情報のまとめ上げ困難」とも言っています。
 今回は親しみやすい「あぶり出し型脳」の名称を使って解説していきます。

 あぶり出し型脳の特性とは何か、どのように向き合うべきか、さらにはその特性の持つメリットについて、じっくりと考えてみましょう。


あぶり出し型脳とは?

 「あぶり出し型脳」とは、何かを考えたり悩んだりした際、答えがすぐに出るのではなく、時間をおいてから突然浮かび上がるように思いつく脳の特性を指します。

 この特性を持つ方は、考えをまとめるための時間が長くかかるのが特徴です。そのため、日常生活や仕事の場面で「後になってから気づく」ということが頻繁に起こります。


① Aさんのエピソード
 Aさんは、上司から「研修レポートをA4用紙1枚にまとめて提出してください」と指示されました。その場では、どの項目を入れるべきか、フォーマットはどうするか、フォントの種類にルールはあるのか、と考え込んでしまい、結局終業時間まで手を付けられませんでした。ところが、帰宅途中の電車内で突然「あのやり方でまとめればよかったんだ!」とひらめいたそうです。


② Bさんのエピソード
 Bさんのラインに夕食後、友人のCさんからメッセージが来ました。1時間2時間考えても思い浮かばず、その日はもう寝ようと、布団に入りました。そして、眠る直前になって、3行、4行でまとめられる内容だと気付き、そのまま携帯を取り出して打ち始めました。

――こんな経験が当てはまる方は、あぶり出し型脳の特性を持っている可能性があります。


思考プロセスの違い

あぶり出し型脳の特性をより分かりやすく説明するために、以下のような思考プロセスの違いを見てみましょう。

思考プロセスの流れ

 • A: 指示や課題を認識する段階
 • B: 記憶や知識を検証し、整理する段階
 • C: 実行に移す段階

 • 定型発達の方
 A/B/C/A/B/A/C/A/B/C…といった形で、A(認識)からC(実行)にスムーズに移行します。途中で新しい指示が入っても、別々の指示として並行して処理し、柔軟に切り替えながら作業を進められることが多いです。
 • 非定型発達の方(あぶり出し型脳)
 A/BBBBBBBBB/C…のように、Bの段階に多くの時間を費やします。そのため、答えや最善策が浮かぶのが遅れることがあり、複数の指示が重なると混乱しがちです。これは「マルチタスクが苦手」と言われる理由でもあります。


 例えば、研修レポートの例では、上司から「作成してください」と指示(A)を受けた後、書き方やフォーマットを記憶から引っ張り出し、整理する(B)段階で時間がかかります。その間に別の指示が入ると、何から手を付けて良いのか分からなくなってしまうことがあります。

 ちなみに発達障害の特性の現れ方は人それぞれに違いますので、すべての人が当てはまるという話ではありません。ですので、あくまで今回紹介している内容は傾向としてそういった方が多いということを前提にご理解ください。


あぶり出し型脳との付き合い方

「あぶり出し型脳」の特性を持つ方が効率的に日常生活や仕事をこなすためには、以下のような方法が有効です。

1.成功パターンのマニュアルを作る

思考に時間がかかるBのプロセスを短縮するには、成功パターンのマニュアルを作成するのが効果的です。
例1: 研修レポートの場合
• 書くべき項目(例: 背景、目的、結果)を明確化する
• フォントやフォーマットのルールを事前に決める
• 過去に成功した例を参考に、テンプレートを用意する
例2:発注先に送るメールの場合
①相手の名前②冒頭のあいさつ③発注品目と数量④納品希望日⑤自分の名前、これらをテンプレートとしてあらかじめ準備しておき、このパターンで送っておけば間違いないという基本を自分専用のマニュアルとして用意しておきます。
こうしたマニュアルを用意することで、考える時間が短縮され、スムーズに実行(C)に移れます。

2.チャンク化(タスク分割)を意識する

タスクを小さな単位に分割して処理する方法も有効です。一度に全てをやろうとせず、一つ一つ着実に進めることで、混乱を防ぐことができます。

3.外部ツールを活用する

メモ帳やToDoリスト、タイマーなどを活用して、忘れてしまいがちなアイデアやタスクを補助する環境を整えましょう。手書きでもデジタルでも、自分に合った方法を選び、日々活用することが重要です。

 マニュアルを作成し、ツールを準備するには多少、時間が必要になります。仕事の復習、自分の勉強そして今後の仕事を円滑に進めるための下準備だと思って割り切ってやる必要があります。

最初は大変だと思いますが、積み重ねることで仕事の正確さという武器を手に入れることができます。


あぶり出し型脳のメリット

 あぶり出し型脳の特性にはデメリットだけでなく、素晴らしいメリットもあります。例えば、他の人が気づかない問題点にいち早く気づく力です。職場での業務フローの非効率や設備の不具合などに敏感な方も多く、こうした特性が組織全体の改善に役立つことがあります。
 また、深く考える時間が長いからこそ、アイデアの質が高いという利点もあります。一見非効率に思える特性が、結果的には斬新な視点や細部へのこだわりを生み出すことにつながります。


柔軟な環境で特性を活かす

 「あぶり出し型脳」の特性を活かすには、働く環境も重要です。柔軟な見方をしてくれる組織だと、あぶり出し型脳のメリットを評価してもらえる可能性が高まります。また、自分の特性を共有しやすく、仕事も進めやすくなります。


まとめ

 「あぶり出し型脳」は、後から答えが浮かび上がる特性を持つ脳です。この特性に悩む方も多いかもしれませんが、工夫次第で大きな強みに変えることができます。
 自分に合ったマニュアルを作成し、特性を理解してくれる環境を選びながら、思考のプロセスを最適化していきましょう。「あぶり出し型脳」は、決して弱点ではなく、独自の価値を持つ特性です。それを理解し、活かすことで、より充実した生活や仕事が実現できます。