
「甘いものは体に悪い」という言葉を耳にしたことがある人は多いでしょう。確かに、砂糖を中心とする糖類の過剰摂取は、肥満や糖尿病だけでなく、がんを含めた多くの生活習慣病のリスクを高めると考えられています。特に清涼飲料水や菓子類などに多く含まれる精製糖(白砂糖や果糖ブドウ糖液糖など)は、血糖値を急激に上昇させるだけでなく、インスリンの過剰分泌を招き、結果的に細胞のがん化を後押しする危険性があることが、近年の研究でも指摘されています。
また、人工甘味料に関しても議論は絶えません。アスパルテームやサッカリン、スクラロースといった甘味料は低カロリーで「砂糖の代わり」として広く利用されていますが、一部の研究では発がん性の可能性が報告されており、安心して摂取できるかどうかには不安が残るのが現状です。
では、甘いものをすべて断つしかないのでしょうか。実際には、そうとは限りません。甘さを楽しみながらも、むしろ健康にプラスとなり、がんのリスクを下げる可能性を持つ甘味料が存在します。本記事では、その代表例として「アルロース」「ステビア」「オリゴ糖」の3種類を紹介し、研究成果や活用方法を含めて詳しく解説していきます。
アルロースは、イチジクやレーズン、さらにはズイナという植物の葉に微量に含まれる天然の糖で、「希少糖」とも呼ばれています。自然界にはほとんど存在しないため、かつては入手が難しかったのですが、近年の技術進歩によって量産が可能となり、食品業界でも注目を集めています。
アルロースの大きな特徴は「甘さがありながらカロリーがほぼゼロ」である点です。砂糖に比べて約7割程度の甘味を持ちつつ、体内でほとんど代謝されないため、摂取しても血糖値の急激な上昇を招きません。さらに、脂肪の蓄積を抑え、脂肪燃焼を促進する効果が報告されており、ダイエット志向の人々にも支持されています。
注目すべきは、がんとの関連です。2009年、香川大学の研究チームが頭頸部がん細胞にアルロースを加える実験を行ったところ、細胞の増殖が抑制されることが確認されました。これはまだ基礎研究段階であり、臨床試験での応用は進んでいませんが、がん予防の観点から期待が持てる成果です。
また、血糖値の安定化や肥満防止といった作用そのものが、がんのリスクを下げる方向に働く可能性もあります。アルロースを上手に取り入れることで、「甘いものを楽しみながらがんを寄せつけない食生活」が実現できるかもしれません。
ステビアは南米原産のキク科の植物で、その葉から抽出された甘味成分は砂糖の200〜300倍という強い甘さを持ちながら、カロリーはほぼゼロという優れた特徴を持っています。日本ではすでに清涼飲料水や菓子類、健康食品など幅広い分野で利用されており、「天然由来のゼロカロリー甘味料」として広く知られるようになりました。
ステビアが注目される理由は、単に砂糖代替としての役割にとどまらない点です。2022年に科学雑誌 Molecules に掲載された総説論文によれば、ステビアには複数のがん細胞に対して抗腫瘍効果を示す可能性があることが報告されています。具体的には、乳がん・胃がん・大腸がん・肝臓がん・すい臓がんなどに対し、細胞の増殖抑制やアポトーシス(プログラム細胞死)の誘導を促す作用が見られたのです。
このような働きは、単なる「血糖値を上げない甘味料」というレベルを超え、治療や予防に役立つ可能性を示しています。もちろん、現時点では動物実験や細胞実験の段階が中心であり、人間に対する効果を断定できる段階にはありません。しかし、砂糖をやめてステビアに切り替えることは、少なくともカロリー制限や肥満予防につながり、がんをはじめとする生活習慣病のリスク低下に寄与する可能性が高いと考えられます。
最後に紹介するのがオリゴ糖です。オリゴ糖は、2〜10個程度の単糖類が結合した「少糖類」に分類され、砂糖や果糖のような単糖類とは異なる特徴を持っています。最大のポイントは、大腸に届いて善玉菌、特に乳酸菌やビフィズス菌のエサになるという点です。そのため「プレバイオティクス食品」とも呼ばれ、腸内環境を改善する働きが期待されています。
腸内環境の良し悪しは免疫機能や発がんリスクに直結します。イタリアから報告された疫学研究では、ガラクトオリゴ糖を多く摂取する人は、大腸がんのリスクが27%低下していたとされています。さらに、ケストースなど特定のオリゴ糖が、がんの成長や進行を抑制する可能性も示されています。
腸は「第二の脳」と呼ばれるほど全身の健康に影響を及ぼす臓器です。腸内環境を整えることは、免疫力を高め、炎症を抑え、がん細胞の発生や増殖を防ぐ土台を作ることにつながります。その意味で、日常生活の中でオリゴ糖を積極的に取り入れることは、非常に有効な予防法の一つと言えるでしょう。
ここまで紹介したアルロース、ステビア、オリゴ糖はいずれも、従来の砂糖や一部の人工甘味料とは異なり、がんのリスク低下に寄与する可能性が報告されています。もちろん「これさえ摂れば絶対にがんにならない」というものではありません。しかし、甘いものを我慢するのではなく、賢く選び、置き換えることで、健康と楽しみを両立させることができるのです。
実際に取り入れる際には、以下のような工夫がおすすめです。
日々の小さな工夫の積み重ねが、将来の健康に大きく影響します。

「甘いもの=体に悪い」というイメージは強いですが、すべての甘味料が健康に害を及ぼすわけではありません。アルロース、ステビア、オリゴ糖の3つは、それぞれ異なるメカニズムでがん予防や健康維持に役立つ可能性があり、砂糖の代替として注目されています。
今後さらに研究が進めば、これらの甘味料は「単なる代用品」ではなく「健康を守る食品成分」としての地位を確立していくでしょう。私たちも、ただ甘さを楽しむのではなく、体にやさしい甘味料を上手に取り入れることで、がんを寄せつけないライフスタイルを実現していきたいものです。