
私たちの体を形づくるうえで、骨は欠かすことのできない存在です。体を支え、内臓を守り、さらには血液を生み出す工場の役割も担っています。これほど大切な骨ですが、年齢や生活習慣によってその強度は大きく変化します。
特に高齢化社会を迎える現代において、骨の強さを維持することは健康寿命を延ばすうえで極めて重要な課題となっています。本稿では、骨の構造や成分、強度を左右する要因、そして骨粗鬆症を中心に、骨の強度に関する理解を深めていきます。
骨は一見すると固い物質の塊のように思えますが、顕微鏡で観察するとスポンジのように無数の小さな空洞が連続している複雑な構造をしています。この網目状の構造が骨の軽さと強さを両立させているのです。
骨を成分ごとに分けると、約70%がカルシウムやリンといった無機質、20%がコラーゲンやプロテオグリカンなどの有機質、そして残り10%が水分です。
無機質は硬さを、有機質はしなやかさを担っており、両者の調和によって折れにくく強靱な骨が成り立っています。
鉄筋コンクリートに例えると理解しやすいでしょう。コンクリートがカルシウム、鉄筋がコラーゲンの役割を担い、両方があって初めて頑丈な建造物が完成します。骨も同様に、硬さだけでなくしなやかさを備えて初めて十分な強度を発揮するのです。

骨の強さは大きく「骨密度」と「骨質」の二つによって決まります。
現在の医療では骨密度を測定する機器は普及していますが、骨質を直接評価する手段はまだ確立されていません。血液検査によって骨を作る働き(骨形成)と壊す働き(骨吸収)のバランスを推定することが、現時点での方法です。
骨は単なる硬い器官ではなく、常に新陳代謝を繰り返す「生きた組織」です。その代謝を担うのが骨芽細胞と破骨細胞という二種類の細胞です。
この二つがバランスよく働くことで、骨は丈夫さを保ちつつ必要に応じて血中カルシウムを調節しています。骨のリモデリング(再構築)は人体のカルシウム貯蔵庫としての役割を果たし、生命活動を支える重要な仕組みなのです。
骨粗鬆症は骨密度の低下と骨質の劣化によって骨がもろくなる疾患で、高齢者に多く見られます。特に女性は閉経によるホルモン変化の影響で、男性の2~3倍も発症しやすいとされます。80歳代の女性の半数以上が骨粗鬆症であるとも言われています。
この病気の最も大きな問題は骨折のリスクです。転倒による大腿骨頸部骨折や、転倒しなくても自重に耐えきれずに生じる背骨の圧迫骨折などは、寝たきりや生活の質の低下につながります。骨折を防ぐためには、骨粗鬆症の早期発見と予防が不可欠です。
病院で行われる代表的な検査が「骨密度測定」です。腰椎や大腿骨をX線で測定するDEXA法が一般的で、骨に含まれるカルシウム量を定量的に評価します。
一方、骨質については直接測る機器が存在しないため、血液検査を利用します。血液中の骨形成マーカー(骨芽細胞の働きを反映)や骨吸収マーカー(破骨細胞の働きを反映)を調べることで、骨の代謝バランスを推定できるのです。
ただし、財布に例えるなら「収入(骨形成)」と「支出(骨吸収)」は測れるものの、実際に財布にいくら残っているか(骨の総合的な強度)は直接は分かりません。そのため、骨強度を完全に評価できる理想的な検査方法は未だ確立されていないのが現状です。

骨の強度を維持するためには、日常生活での工夫が欠かせません。
骨の強度は単なるカルシウム量だけでなく、骨質という見えにくい要素にも大きく左右されます。骨粗鬆症は骨密度低下と骨質劣化の結果として発症し、骨折による生活の質の低下を招く重大な病気です。現代医学では骨密度測定と血液検査を組み合わせることで、骨強度を間接的に評価していますが、まだ完全な方法はありません。
私たちにできる最も有効な対策は、日々の食生活や運動習慣を工夫して骨を育て続けることです。骨は生涯にわたり新陳代謝を繰り返し、努力次第で強さを維持することができます。健康で自立した生活を長く送るために、「骨を大切にする意識」を今日から実践していきましょう。