【注意】その「胃薬」大丈夫?・・・プロトンポンプ阻害剤(PPI)による「がん」と「認知症」その他の健康リスクについて解説!

胃の不快感や胸やけ、逆流性食道炎などに
悩む人にとって、「胃薬」はとても身近な存在です。

なかでも「プロトンポンプ阻害剤(PPI:Proton Pump Inhibitor)」は、
強力に胃酸の分泌を抑えることができる薬として、現在広く使われています。

病院で「タケプロン」「オメプラール」「パリエット」「ネキシウム」などの
名前を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

これらはいずれもプロトンポンプ阻害剤(PPI)に分類される薬で、

胃や十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、ヘリコバクター・ピロリ除菌治療

などに用いられています。

PPIは非常に効果が高く、胃酸過多による痛みや胸やけを
短期間で改善してくれるため、「よく効く薬」
として多くの患者さんに支持されています。

しかし近年、この薬を

長期的に服用することで思わぬリスクが生じる

という報告が、国内外で相次いでいます。

プロトンポンプ阻害剤とはどんな薬?

プロトンポンプ阻害剤とはどんな薬?

私たちの胃の中では、食べ物を消化するために「胃酸」
と呼ばれる強力な酸が分泌されています。

胃酸は本来、食物中の細菌を殺菌したり、消化を
助けたりする大切な働きをしていますが、

過剰に分泌されると、胃の粘膜を傷つけ、
潰瘍や逆流性食道炎などを引き起こす原因にもなります。

プロトンポンプ阻害剤は、この胃酸を出す最終段階に
関わる「水素イオンポンプ(プロトンポンプ)」という
酵素を直接ブロックすることで、胃酸の分泌を強力に抑える薬です。

従来の胃薬よりも作用が長く、1日1回の服用で症状が
安定しやすいことから、慢性的に飲み続ける人も少なくありません。

ところが──長期服用で「がんのリスク」が?

PPIは即効性と効果の持続性に優れていますが、

長期的に服用することで、がんのリスクが高まる可能性が指摘されています。

2020年にスウェーデンの研究チームが発表した論文では、
国民80万人を対象にした大規模調査の結果、

180日(約6か月)以上PPIを服用していた人は、
膵がんを発症するリスクが2.2倍に上昇


していたと報告されています。

さらに、40歳以下の比較的若い世代では、
なんと8.9倍にも増えていたという衝撃的な結果も示されました。

また、他の研究でも、PPIの長期使用は膵がんだけでなく、

**胃がん・大腸がん・胆道がん(胆管がん・胆嚢がん)**

など、消化器系のがん全般のリスク上昇と
関連している可能性があると報告されています。

がん治療の「効き目」にも影響?

がん治療の「効き目」にも影響?

さらに注目すべきは、PPIが

がん治療の効果そのものを下げてしまう可能性

があるという点です。

2021年に日本の研究チームが発表した報告によると、
免疫チェックポイント阻害薬という最新の抗がん剤治療
を受けている患者のうち、PPIを併用していた人は、

そうでない人に比べて生存期間が短い傾向が見られたといいます。
同様の結果は、尿路上皮がんだけでなく、
肺がんや頭頸部がんの患者でも確認されています。

免疫チェックポイント阻害薬は、体の免疫力を
活性化してがんを攻撃する仕組みの薬です。

PPIによってその効果が弱まるとすれば、治療の成果を
大きく左右する可能性があります。

なぜPPIがこのような影響を及ぼすのか?

では、なぜ胃酸を抑える薬が、がんのリスクや
治療効果にまで影響するのでしょうか。
その大きな要因の一つとして、

腸内環境の変化

が考えられています。

本来、胃酸は口から入った細菌を殺菌する働きを持っています。
しかし、PPIを長期間服用して胃酸の分泌が極端に抑えられると、

通常であれば死滅していた菌が生き残り、小腸や大腸に流れ込みます。
その結果、腸内細菌のバランスが崩れ、腸内環境が悪化してしまうのです。

腸内環境は、免疫機能や代謝の調整に深く関わっており、
乱れることで免疫力が低下し、炎症やがん化のリスクが高まると考えられています。

つまり、PPIの長期服用は、

「胃酸を抑える代償として、腸内環境を壊してしまう」


可能性があるということです。

認知症や骨折など、他のリスクも報告

PPIのリスクは、がんだけではありません。
最近では、

認知症の発症率が高まる

という報告も注目を集めています。

アメリカで5000人以上の高齢者を対象に行われた調査では、

4年以上PPIを服用していた人は、
使用していない人に比べて認知症のリスクが33%高かった


という結果が出ました。

なぜ胃薬と脳の機能が関係するのかは完全には解明
されていませんが、腸内環境の変化や、

ビタミンB12などの吸収低下が
関係しているのではないかと考えられています。

さらに、心筋梗塞などの

心血管疾患や、骨粗しょう症・骨折

のリスク上昇を示す報告もあり、全身の健康に
影響する可能性が指摘されています。

「漫然と続けない」ことが大切

「漫然と続けない」ことが大切

もちろん、PPIは非常に優れた薬であり、適切に使えば
多くの患者の症状を和らげ、生活の質を改善することができます。
問題は、医師の指示なしに「なんとなく飲み続けてしまう」ケースがあることです。

症状が落ち着いた後も習慣的に服用していたり、ドラッグストアなどで
市販薬を自己判断で続けていたりすると、知らないうちに
リスクが高まってしまう可能性があります。

したがって、長期間服用している方は一度、医師に相談することが大切です。
場合によっては、薬を減らしたり、よりマイルドな作用の
胃薬(H₂ブロッカーなど)に切り替えたりすることも検討できます。

まとめ:薬との「付き合い方」を見直す時期

プロトンポンプ阻害剤は、強力で効果的な「胃薬」である一方、

長期にわたって使用すると

がん・認知症・骨折・心疾患などのリスクが高まる

可能性があることが分かってきました。

こうした副作用は、服用期間が長くなるほど
リスクが上昇する傾向があります。

薬の恩恵(ベネフィット)とリスクを
正しく理解し、必要な期間だけ、適切な量で使うことが何よりも大切です。

「今の自分に本当にこの薬が必要なのか?」

──そう感じたときは、自己判断でやめたり
減らしたりせず、必ず主治医に相談しましょう。

「よく効く胃薬」だからこそ、慎重に使う。
その一歩が、あなたの未来の健康を守ることにつながります。