
最近、スーパーでお米の値段を見てびっくりされた方も多いのではないでしょうか。
私も先日買い物に行った際、以前の2倍近くになっているように感じました。
このまま上がり続けると、日本人の主食であるお米が「高級食材」になってしまうかもしれません。
もちろん、「お米よりパンや麺のほうが好き」という方もいらっしゃると思います。
実際、忙しい毎日の中で、朝はトースト、お昼はパスタ、夜はうどんという食生活の方も少なくありません。
しかし、お米は私たち日本人の体に合った、非常に優れた食べ物でもあります。
今回は、「お米を食べることが健康、特に“がんの予防”につながるかもしれない」というお話をしたいと思います。
お米には「レジスタントスターチ」と呼ばれる成分が含まれています。
少し難しい言葉ですが、簡単に言うと「消化されにくいでんぷん」のこと。
通常のごはんは小腸で分解・吸収されて体のエネルギーになりますが、このレジスタントスターチは小腸を通り抜けて、大腸まで届く特徴があります。
大腸に届いたレジスタントスターチは、腸の中で“善玉菌”のエサになります。
善玉菌が増えることで腸内のバランスが整い、便通がよくなったり、体の中の炎症が抑えられたりすることがわかっています。
逆に、腸内の悪玉菌が増えてバランスが崩れると、体の中に炎症が起こりやすくなり、免疫の働きが弱まって、病気にかかりやすくなることがあります。
つまり、レジスタントスターチを含むお米を食べることで、腸が元気になり、結果的に病気を防ぐ力が高まる――そんな可能性があるのです。
海外の研究では、レジスタントスターチを多く摂っている人ほど、がんによる死亡のリスクが低いという結果が報告されています。
この研究では、レジスタントスターチが腸の中で善玉菌を増やし、体に悪影響を与える物質の発生を抑えている可能性があると考えられています。
「腸をきれいに保つこと」が、全身の健康を守るカギであることは、多くの研究で示されています。
お米をしっかり食べることは、その“腸の健康づくり”にとても役立つのです。
2025年1月に発表された日本の研究では、お米の摂取量と「大腸の健康」との関係を詳しく調べました。
対象は若い日本人女性63人。
彼女たちの食事内容を詳しく調べたうえで、便の中に含まれる“胆汁酸(たんじゅうさん)”という物質の量を測定しました。
この胆汁酸は、脂肪を消化するために必要なものですが、腸内で変化して「二次胆汁酸」という形になると、体にとってあまりよくない働きをすることがあります。
特に、この二次胆汁酸が増えると、大腸がんなどのリスクが高まるといわれています。
研究の結果、食事の内容によってこの二次胆汁酸の量が大きく変わることがわかりました。
とくに、
この2つのグループでは、発がん性が高いとされる二次胆汁酸の量が少なかったのです。
つまり、お米をしっかり食べる人は、腸の中の環境が整い、がんの原因となる物質ができにくくなっている――そんな可能性が示されたわけです。
お米に含まれるレジスタントスターチが、腸の中の善玉菌を増やしてくれることで、結果的に“体に悪い物質”が減ったのではないかと考えられています。
おもしろいことに、このレジスタントスターチは「ごはんを冷ます」と増えることがわかっています。
炊きたてのごはんを一度冷ましてから食べると、レジスタントスターチの量がアップ。
おにぎりや冷ごはんのお弁当などは、実は腸にとってとても良い食べ方なんですね。
昔の日本人は、お弁当やおにぎりを持って外で働くことが当たり前でした。
そのころの食生活は、今よりずっと腸にやさしかったのかもしれません。
一方で、最近ではカップ麺や調理パンなど、手軽に食べられるものに頼る人が増えています。
こうした食生活の変化が、若い世代で大腸がんが増えている一因かもしれない、という専門家もいます。
今回の研究をふまえると、日本人の健康を守るためには、やはり「お米を食べること」がとても大切だと感じます。
日本人の体は、長い歴史の中でお米を主食としてきたため、パンやパスタよりもお米のほうが消化・吸収しやすく、腸にもやさしいのです。
もちろん、食べすぎには注意が必要です。
海外の研究では、白米を極端に食べすぎると、糖尿病のリスクが少し上がるという報告もあります。
大切なのは、「適量を、バランスよく」。
お米を中心にしながら、野菜や魚、大豆製品などを組み合わせることで、理想的な日本の伝統的な食事になります。

お米の値段が高騰している今、「節約のためにお米を減らそう」と考える人もいるかもしれません。
しかし、お米は単なる主食ではなく、私たちの体を守る“健康の源”でもあります。
とくに腸を整える力があることを考えると、「日本人の健康はお米が支えてきた」と言っても過言ではありません。
お米を食べることが、がんをはじめとする病気の予防につながる――
そんな研究が次々と出てきている今こそ、日本の食文化の原点である「ごはん」をもう一度見直してみてはいかがでしょうか。
一日一膳。
毎日の食卓に温かいごはんを取り戻すことが、何よりの健康法かもしれません。