発達障害のことを正しく理解【特徴/種類/制度/支援】

今回は発達障害について説明します。

まず初めに、発達障害とは何か、その定義を発達障害者支援法を交えて解説し、発達障害の具体的な内容や支援方法について詳しく見ていきたいと思います。

発達障害の定義

まず発達障害の定義についてですが、発達障害には様々な定義があり、明確な定義がまだ確立されていないのが現状です。

最初に発達障害という言葉を使用したアメリカでは、
「18歳以前に知的障害に近い神経学的状態にあり、その障害は恒久的にあるいは長期にわたるもの」
とされ、知的障害、脳性麻痺、てんかん、自閉症などの障害を含むものでした。

日本では、2005年度から発達障害支援法が施行されています。
この法律では発達障害とは、
「自閉症、アスペルガー症候群、その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能の障害であって、その状態が通常低年齢において発現するもの(第2条)
と定義されています。

このように、アメリカの定義とは異なります。
これは「知的障害者福祉法」や「身体障害者福祉法」によって、知的障害者や身体障害者が対象とされていた中で、従来の法律でカバーされていなかった障害を補完する目的があったためです。

発達障害者支援法により定義されている障害は、次の図のようにまとめることができます。
【自閉症スペクトラム障害(ASD)】

『アスペルガー症候群』
〇基本的に言葉の発達の遅れはない
〇コミュニケーションの障害
〇対人関係・社会性の障害
〇パターン化した行動、興味関心の偏り
〇不器用(言語発達に比べて)

『自閉症』
〇言葉の発達の遅れ
〇コミュニケーションの障害
〇対人関係・社会性の障害
〇パターン化した行動、こだわり

【ADHD(注意欠如多動障害)】     
〇不注意(集中できない)                                
〇多動・多弁(じっとしていられない        
〇衝動的に行動する(考えるよりも先に動く)    

【学習障害(LD)】
〇「読む」「書く」「計算する」等の能力が、全体的な知的発達に比べて極端に苦手

〈知的な遅れを伴うこともあります(知的障害等)〉

発達障害の具体的な内容

次に、発達障害者支援法で定義されている発達障害の特徴について具体的に説明します。

自閉症スペクトラム障害(ASD)

自閉症スペクトラム障害は、自閉症やアスペルガー症候群、広汎性発達障害などが統合されてできた診断名です。

主な特徴として、
社会的コミュニケーションや対人関係の困難さ
限定された行動、興味、反復行動
などがあり、感覚に関する過敏性や鈍感性を伴うこともあります。

具体的には、
・「視線が合わない」「仲間を作ることができない」などの社会性の障害
・「言葉が出ない」「会話が続かない」などのコミュニケーションの障害
・「同じことを繰り返す」「こだわりがある」などの想像力の障害
などがあります。

この3つの特徴を、ローナ・ウィングは自閉症の“3つ組”の特徴として提唱しています。

学習障害(LD)

次に、学習障害(LD)についてです。

1999年(平成11年)の文部省(現文部科学省)は学習障害を 、
「基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する、又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す様々な状態を指すもの」
と定義しています。
困難さを感じる特徴によって「ディスレクシア(読字障害)」「ディスグラフィア(書字障害)」「ディスカリキュリア(算数障害)」と呼ばれることもあります。
これらの障害に加え、社会性の困難さ、運動の困難さ、情緒面での困難さも抱えている場合が多いです。

注意欠陥多動性障害(ADHD)

次に、注意欠陥多動性障害(ADHD)についてです。

ADHDは、注意欠如・多動症、注意欠如・多動性障害とも呼ばれます。
その特徴として、
・不注意(集中できない)
・多動性(じっとしていられない)
・衝動性(考えるよりも先に動く)
が挙げられます。
以前は「注意欠陥・多動性障害」という診断名でしたが、2013年に刊行された「DSM-5」で、注意欠如・多動症、注意欠如・多動性障害に変更されました。

自閉症スペクトラム障害(ASD)と注意欠陥多動性障害(ADHD)

ASDとADHDに知的障害を併存している人もいます。

光や音、味や匂い、触り心地などに敏感な感覚過敏や、逆に痛みや五感への刺激の反応が鈍い感覚鈍麻のある人も多いです。
他にも、言語発達遅滞(言語の発達の遅れ)、発達協調性運動障害、てんかん、チックなどの併存が見られることもあります。

発達障害の困難と周囲の理解

発達障害は、コミュニケーションなどの社会性の障害が基本にあるため、現代社会では様々な生活の困難さを伴う障害と言えます。
また、外見からは分かりにくいので誤解されやすい障害でもあります。
本人の障害の原因を、意欲不足、努力不足、しつけの問題と捉えるのではなく、周囲の無理解や誤解、偏見、差別、いじめなどが生活の困難さを増幅させていると理解することが求められます。

発達障害の支援機関

発達障害者については、都道府県単位で発達障害者支援センターが設置されています。
センターの業務内容は以下の通りです。
・相談支援
・発達支援
・就労支援
・関係施設・機関等に対する普及啓発・研修
これらの支援を通じて、発達障害者とその家族がより良い生活を送れるようサポートしています。

グレーゾーン

発達障害の特性があっても診断基準を満たさない状態を「グレーゾーン」と言います。
発達障害かどうかは数値で判断できるわけではないため、見極めが難しい場合があります。
診断基準を満たす人に比べ、困難が少ないと誤解されがちですが、理解や支援が得られにくいことから、グレーゾーン特有の悩みも存在します。

発達障害者への支援

最近では、発達が気になる子どもに対して早期療育を行うことが増えています。
早期から適切な環境で学ぶことで、必要なスキルを身につけやすくなり、抑うつなどの二次的な問題の予防にもつながります。

発達障害は生まれつきの脳機能の偏りによる障害です。
得意・不得意の特性と、その人が置かれた環境や周囲の人との関わりが合わないことで、社会生活に困難が生じます。
発達障害は外見からは分かりにくく、その症状や困りごとは個々に異なります。
しかし、環境を調整し、特性に合った学びの機会を提供することで、困難さを軽減することができます。
周囲の人がその人の個性や能力、希望を理解し、適切なサポートを提供することが重要です。

最後に

以上が発達障害の定義、具体的な内容、そして発達障害者への支援についての説明でした。

この記事が学びとなり、支援に役立つことを願っています。
参考になりましたら、家族や友人、大切な人にこの記事の内容を共有してください。