「い抜き」「ら抜き」「れ入れ」言葉にご注意【正しい言葉遣い】

「い抜き」「ら抜き」「れ入れ」言葉──正しい日本語を意識する第一歩

皆さんは日常の会話や文章の中で、「い抜き」「ら抜き」「れ入れ」と呼ばれる言葉を使っていませんか?
実は私たちは無意識のうちに、こうした“正しくない日本語”を使ってしまっていることがあります。普段は気づかないものの、ビジネスの場や目上の方との会話では、印象を左右する大切な要素になるのです。

今回は、「い抜き」「ら抜き」「れ入れ」言葉とは何か、そしてどのように直せばよいのかを、具体例を交えながらご紹介していきます。

私が気づかされた「ら抜き言葉」の指摘

私が気づかされた「ら抜き言葉」の指摘

私自身、研修講師として活動を始めた当初、受講者の方からアンケートで「ら抜き言葉が気になりました」とご指摘をいただいたことがあります。
それまで私は、敬語や言葉遣いには気を配っているつもりでした。けれど、まさか自分が誤った日本語を使っていたとは思いもよらず、非常に恥ずかしい思いをしました。

その経験がきっかけで、自分の話し方や文章を見直すようになりました。
振り返ってみると、「い抜き」や「ら抜き」「れ入れ」などの言葉は、日常会話ではあまり違和感がないため、無意識に使ってしまいがちなのです。
しかし、仕事の場面では「きちんとした言葉遣い」が信頼を生む大切な要素になります。だからこそ、こうした細かな言葉のクセにも注意を向けたいですね。

「い抜き」「ら抜き」「れ入れ」言葉とは?

「い抜き」「ら抜き」「れ入れ」言葉とは?

まず、それぞれの意味を整理してみましょう。

「い抜き」言葉

本来「い」が入るべき箇所から「い」が抜けている言葉のことです。
例えば次のような言い方をしたことはありませんか?

  • × 「話してた」 → 〇 「話していた」
  • × 「思ってます」 → 〇 「思っています」
  • × 「対応してます」 → 〇 「対応しています」

会話の中では違和感が少なく、親しみやすい印象を与えることもあります。
しかしビジネス文書やメールの中で使うと、砕けた印象になってしまいます。たとえば「いつもお世話になってます」とメールに書く方は多いですが、正しくは「いつもお世話になっています」です。
わずか一文字の違いですが、丁寧さがぐっと変わります。

「ら抜き」言葉

本来「ら」が入るべき場所から「ら」が抜けている言葉を指します。
可能の意味を表す助動詞「られる」の「ら」を抜いてしまうため、「ら抜き」と呼ばれます。

たとえば次のような使い方です。

  • × 「食べれる」 → 〇 「食べられる」
  • × 「見れる」 → 〇 「見られる」
  • × 「来れますか?」 → 〇 「来られますか?」
  • × 「考えれない」 → 〇 「考えられない」

「ら抜き」言葉も、会話ではよく耳にしますね。
ですが、「ら」を抜くことで、言葉が軽く聞こえたり、誤った印象を与えることがあります。
たとえばお客様とのやりとりで「本社まで来れますか?」と言うと、どうしてもくだけた印象になってしまいます。
「本社まで来られますか?」と丁寧に言うことで、相手への敬意が感じられる表現になります。

「れ入れ」言葉

これは、「れ」を入れる必要がない場所に入れてしまう言葉です。
たとえば次のような言葉を聞いたことがありませんか?

  • × 「行けれる」 → 〇 「行ける」
  • × 「飲めれる」 → 〇 「飲める」
  • × 「決めれる」 → 〇 「決める」
  • × 「話せれるように」 → 〇 「話せるように」

「れ」が加わることで、一見丁寧そうに感じる方もいますが、実は誤用です。
耳で聞いても少し違和感がある言葉ですね。
たとえば「明日なるべく早く行けれるようにいたします」という表現も、「行けるようにいたします」が正しい形です。
「れ入れ」は特に若い世代の会話で広がりつつありますが、ビジネスの場では避けるようにしましょう。

実際の会話・メールでの使い方

実際の会話・メールでの使い方

ここまでの内容を、実際のビジネスシーンでの例を交えて整理してみましょう。

誤った表現正しい表現
いつもお世話になってますいつもお世話になっています
本社まで来れますか?本社まで来られますか?
今日中に感想文を書けれます今日中に感想文を書けます
明日なるべく早く行けれるようにいたします明日なるべく早く行けるようにいたします

このように見比べてみると、正しい表現のほうが落ち着いていて、きちんとした印象を与えることがわかります。
特にビジネスメールでは、一つひとつの言葉遣いが相手の信頼感に直結します。
普段の会話で使ってしまっても、文章では意識的に正しい形を選ぶように心がけることが大切です。

言葉遣いの変化と今後

言葉は時代とともに変化するものです。
例えば、「い抜き」言葉や「ら抜き」言葉も、すでに多くの人が日常的に使っています。もし将来、日本人のほとんどが「食べれる」「話してます」という言葉を自然に使うようになれば、それが新しい“正しい日本語”として定着する日が来るかもしれません。

しかし現時点(文化庁の2021年度調査)では、これらは「誤った言葉遣い」とされています。
特にビジネスや公的な場では、相手に対して敬意を示すためにも、正しい表現を意識することが求められます。
一方で、友人との会話などカジュアルな場面では、無理に正す必要はありません。
大切なのは「TPOに応じて使い分ける」ことなのです。

まとめ:言葉遣いは「信頼」の第一印象

まとめ:言葉遣いは「信頼」の第一印象

「い抜き」「ら抜き」「れ入れ」言葉は、ほんの一文字の違いですが、その印象は大きく変わります。
相手に丁寧さや誠実さを伝えるためには、正しい日本語を意識することが何より大切です。

特に電話対応やビジネスメールなど、顔の見えないコミュニケーションでは、言葉がすべてを伝える手段です。
だからこそ、「思っています」「来られます」「行ける」など、正しい形を丁寧に使うことを習慣づけましょう。

言葉遣いを見直すことは、自分自身を見つめ直すことでもあります。
私自身、受講者の方からの指摘をきっかけに、この大切さを学びました。
皆さんもぜひ今日から、「い抜き」「ら抜き」「れ入れ」言葉に少しだけ注意を向けてみてください。
その小さな意識が、きっとあなたの印象をより良いものにしてくれるはずです。