自分で気付く躁状態のサイン6つ

躁(そう)状態というのは、双極性障害(躁うつ病)
で見られる“気分の高まり”の状態を指します。

一見すると

「元気が出た」
「前向きになった」


ように見えるため、
周囲からも本人からも“良い変化”と思われることがあります。

しかし、躁状態が進行してしまうと、判断力が低下したり、
対人トラブルや浪費などの問題が起こったりすることもあります。

一度ひどくなってしまうと、落ち着かせるまでに時間がかかるため、
早い段階で気づき、対策を取ることがとても大切です。

では、どのようにすれば「自分で躁状態に気づく」ことができるのでしょうか。
今回は、日常の中で気づける**「躁状態の6つのサイン」**について、順に見ていきましょう。

① 急に前向きになる ― 「躁転」に注意

① 急に前向きになる ― 「躁転」に注意

最初のサインは、「急に前向きになる」という変化です。

うつ状態から抜け出して気分が明るくなるのは本来良いことですが、
“急に”スイッチが入ったように前向きになるときは注意が必要です。
これは、うつから躁へと切り替わる「躁転(そうてん)」と呼ばれる現象の可能性があります。

たとえば、昨日まで落ち込んでいたのに、突然

「なんでもできる気がする」
「人生が楽しくなってきた」


と感じるような場合です。

周囲から見ても「ようやく元気になった」と見えるため見逃されがちですが、
実際には気分の異常な高揚が始まっているサインかもしれません。

一時的な改善と誤解されやすいところですが、過活動や衝動的な
行動につながるリスクがあるため、慎重に見守る必要があります。

② 気分が高まりすぎる ― 「高揚気分」と「誇大性」

次のサインは、「高揚気分(こうようきぶん)」です。
これは、気分が必要以上に高まり、

「何でもできる」
「自分は特別だ」


と感じる状態を指します。

普段なら不安や悩みを感じるようなことも、急に
「大丈夫、心配ない」と軽く思えてしまうことがあります。

また、自分の能力を実際以上に感じてしまう
「誇大性(こだいせい)」が現れることもあります。

たとえば、急に大きな計画を立てて実行しようとしたり、
周囲に対して自信満々に話し始めたりするなどです。

このような高揚状態は、本人が心地よく感じる反面、周囲との温度差を生み、
後で大きなトラブルに発展することもあります。

③ 動きたくて仕方がない ― 「過活動」のサイン

うつのときには体が重く、何もしたくないという状態が特徴的です。
しかし躁状態になると、逆に「動きたくて仕方がない」状態に変わります。

家事や仕事をどんどん進めたり、人と話したくなったり、じっとしていられなくなることがあります。
このように活動量が増えることを「過活動(かかつどう)」といいます。

本人は「調子がいい」と感じるかもしれませんが、実際には体と
心が過剰に興奮しており、エネルギーを使い果たしてしまうリスクがあります。

疲れを感じにくくなるため、睡眠不足のまま活動を続けてしまい、
結果的に体調を崩すこともあります。

④ 寝なくても大丈夫 ― 「睡眠欲求の減少」

躁状態の代表的なサインの一つが、「寝なくても平気になる」ことです。
うつのときも不眠が出ることがありますが、その内容はまったく異なります。

うつ状態では、眠りたいのに眠れない「苦しい不眠」です。
一方、躁状態では、「眠らなくても元気」「3時間眠れば十分」
と感じるような睡眠欲求の減少が見られます。

朝早く目が覚めても、「もっと活動したい」と
思って動き出してしまうことが多く、昼間の活動量もむしろ増えます。

この状態が続くと、体も心もオーバーヒートしてしまうため、
休息を意識的に取ることが大切です。

⑤ アイデアが止まらない ― 「観念奔逸」と多弁

⑤ アイデアが止まらない ― 「観念奔逸」と多弁

5つ目のサインは、「アイデアが次々と浮かぶ」ことです。
頭の中で考えが次々にあふれ、止めようとしても止まらない状態を、
専門的には「観念奔逸(かんねんほんいつ)」といいます。

考えが飛び交うため、話す内容もどんどん変わり、周囲からは

「話がまとまらない」
「少し落ち着きがない」


と見られることもあります。
また、言葉数が増える「多弁(たべん)」の傾向も出てきます。

仕事や創作などでアイデアが湧くのは良いことですが、

自分でもコントロールできないほど考えが止まらない状態

になったときは、躁のサインかもしれません。

⑥ お金の使い方が荒くなる ― 「浪費」や「衝動買い」

⑥ お金の使い方が荒くなる ― 「浪費」や「衝動買い」

最後のサインは、「お金を使いすぎる」ことです。

普段は慎重な人でも、躁状態では判断力が低下し、
「今ならいける」「これは絶対に得だ」
といった衝動的な気持ちから高額な買い物をしてしまうことがあります。
中には、借金をしてまで投資やギャンブルを行い、
後で大きなトラブルに発展するケースもあります。

このような浪費の背景には、先ほど触れた
「誇大性」「衝動性」「過度な楽観性」
などが関係しています。
もし

「最近、いつもよりお金を使っている」
「気づいたら財布が空になっている」


と感じるときは、気分の波に注意が必要です。

番外:周囲へのイライラが強くなる

もう一つ見逃せないのが、「周囲に対するイライラ」が増えることです。
躁状態では、刺激に敏感になり、他人のペースが
遅く見えたり、自分の意見が受け入れられないことに
強く腹を立てたりすることがあります。

このような状態は「不機嫌躁(ふきげんそう)」とも呼ばれます。
誇大性が強いと、「自分のほうが正しい」「相手が理解してくれない」
と思いやすくなり、結果的に言葉が荒くなったり、人間関係のトラブル
が起きたりすることもあります。

早めに気づき、早めに休む勇気を

躁状態は、最初のうちは「調子が良い」と感じることが多く、
気づかないまま進行してしまうことがあります。

しかし、状態が強まると生活や人間関係、
金銭面に深刻な影響を及ぼすこともあります。

大切なのは、「おかしい」と気づいたときに無理をしないことです。
もし今回紹介した6つのサインが複数当てはまるようであれば、
一度医療機関や専門家に相談してみましょう。

気分の波を穏やかに保つためには、十分な睡眠と休養、
規則正しい生活、そして信頼できる人とのつながりが大切です。

躁のサインに早く気づき、適切に対処することで、再発を防ぎながら
穏やかな日常を取り戻すことができます。

まとめ

自分で気づく躁状態の6つのサイン

  1. 急に前向きになる
  2. 気分が高まりすぎる(高揚気分・誇大性)
  3. 動きたくて仕方がない(過活動)
  4. 寝なくても大丈夫になる(睡眠欲求の減少)
  5. アイデアが止まらない(観念奔逸)
  6. お金を使いすぎる(浪費・衝動買い)

これらの変化は「心が元気になったサイン」と誤解されやすいものですが、
実は体が無理をしているSOSかもしれません。