こんにちは。
今回は、
「躁うつ病(双極性障害)」の治療で用いられる主な薬について
丁寧に整理していきたいと思います。
「躁うつ病」と聞くと、「気分の波が激しい病気」
というイメージを持つ方が多いかもしれません。
実際、気分の高揚(躁)と落ち込み(うつ)が繰り返し現れるのが
特徴ですが、その治療には慎重な薬の使い分けが求められます。

躁うつ病では、症状を抑えるだけでなく、
「再発を防ぎ、安定した日々を維持すること」
が治療の大きな目的になります。
そのために使われるのが、主に以下の3つのタイプの薬です。
ただし、抗うつ薬は躁うつ病では
「気分の波を乱すリスク」
があるため、原則として単独では使わないのが基本です。

① 炭酸リチウム
もっとも代表的な気分安定薬です。
躁の状態を落ち着かせ、うつの時期にも効果があるため、
「再発を防ぐ維持療法」として長く使われることもあります。
ただし、量が多すぎると「リチウム中毒」といって手の震えや
吐き気などの副作用が出ることがあります。
そのため、血中濃度(薬の量)を定期的に測る検査が欠かせません。
また、妊娠中の使用には注意が必要とされているため、
医師と相談の上で薬を調整することになります。
② バルプロ酸
「イライラしやすい躁」や「不機嫌な高揚状態」に効果が期待できる薬です。
うつ状態への効果はやや弱めですが、気分の極端な波を抑えるのに役立ちます。
こちらも血中濃度のチェックが必要で、妊娠時にはリスクがあるため慎重に扱われます。
③ ラモトリギン
こちらは「うつの改善」に強みを持つ気分安定薬です。
副作用を避けるために少量からゆっくり増やしていくのが
特徴で、「薬疹」と呼ばれる発疹が出た場合にはすぐ中止することが大切です。
特に、うつ状態が長く続くタイプの双極性障害では、この薬が選ばれることがあります。
④ カルバマゼピン
主に「躁状態を鎮める」ことを目的とする薬です。
再発予防の効果はやや弱いとされ、副作用や他の薬との相互作用にも注意が必要です。
こちらも薬疹のリスクがあり、定期的な検査が行われます。
以前はよく使われていましたが、最近では他の薬が選ばれることも増えています。

⑤ オランザピン
もともとは統合失調症に使われていた薬ですが、躁うつ病にも有効です。
躁とうつの両方を安定させ、再発を防ぐ効果も期待できます。
ただし、副作用として体重増加や血糖値上昇が起こりやすく、
生活習慣病のリスクがあるため、定期的なチェックが欠かせません。
⑥ アリピプラゾール
少量では「うつ」の改善を、多めに使うと「躁」の落ち着きに効果を発揮します。
体重増加が少なく、妊娠時のリスクも低めですが、人によっては
不安定感が出る場合もあるため、医師の管理下で慎重に調整されます。
⑦ クエチアピン徐放錠
躁・うつ両方へのバランスの良い効果を持ち、再発予防にも使われます。
眠気が強く出やすいことがあり、
「夜眠れない人には合うけれど、日中眠気が続く人もいる」
といった特徴があります。
血糖値や体重への影響はありますが、オランザピンより軽めとされています。
⑧ ルラシドン
「うつの改善」に特化した新しめの抗精神病薬です。
体重増加や代謝への影響が少なく、妊娠時のリスクも低いのが利点です。
ただし、躁の症状や再発防止にはやや弱い部分があるため、
他の薬と併用することもあります。
⑨ ハロペリドール
古くからある薬で、「躁の興奮を抑える」効果があります。
ただし、多い量で使うと筋肉のこわばりや震え(パーキンソン症状)など
が出やすいため、低用量で短期間のみ使うことが多いです。
躁が落ち着いたら、減量や中止が検討されます。

ここまで紹介してきた薬には、それぞれ役割があります。
大きく分けると次の3つです。
治療の流れとしては、まず「現在の症状を整える」ことを
目標にし、症状が落ち着いたら「再発を防ぐ維持療法」へと移っていきます。
そのため、薬の種類や量は症状の経過に応じて少しずつ変わっていくのが一般的です。

躁うつ病の治療に使われる薬は、どれも
**「気分の波を穏やかにし、再発を防ぐ」**
という目的を持っています。
ただ、薬だけで全てが解決するわけではありません。
生活リズムを整えたり、睡眠やストレス管理を
意識したりと、薬と生活のバランスがとても大切です。
医師と相談しながら、焦らず少しずつ自分に合った治療を見つけていくこと。
それが、安定した心の回復への一歩につながります。