
ASD(自閉症スペクトラム)は、「こだわりの強さ」と「対人関係の難しさ」が特徴とされる発達障害の一つです。
一口にASDといっても、その表れ方は人によってさまざまで、「性格が違う」「感じ方が違う」「関係の取り方が違う」といった多様性があります。
ある人は強く主張しすぎてトラブルを招く一方で、別の人は周囲に合わせすぎて疲弊してしまうこともあります。
このように、ASDのタイプを理解することは、本人が生きやすくなるだけでなく、周囲が適切に関わる上でも大きな助けになります。
今回は、代表的な「ASDの3つの基本タイプ」と、「特殊タイプ2つ」を加えた「ASDのタイプ3+2」について詳しく見ていきましょう。

ASD(自閉症スペクトラム)は、発達の過程で社会性や柔軟性の面に特徴が現れる状態を指します。
主な特徴は次の2点です。
これらは幼少期から見られることが多いですが、軽度の場合は思春期や成人してからわかるケースもあります。
同じASDでも「積極的に人に関わるタイプ」「誰にも関わらないタイプ」「控えめで目立たないタイプ」など、表れ方は実に多様です。
そのため、支援や対策は一律ではなく、「タイプに応じた関わり方」が重要となります。

このタイプは「人に積極的に関わろうとするが、空回りしやすい」特徴があります。
自分のペースやルールに従って人に話しかけるため、しばしば一方的な印象を与えてしまいます。
行動力はある反面、相手の反応を読み取りにくく、無意識に押しつけがましく見えてしまうこともあります。
結果として人間関係のトラブルを起こしやすく、誤解されることも少なくありません。
「おとなしく、受け身なタイプ」がこの受動型です。
自分の意見や意思をはっきり示すことが苦手で、相手に合わせすぎてしまう傾向があります。
一見穏やかで周囲からは問題がないように見えますが、実は人に流されやすく、利用されたり、過剰に我慢してしまったりすることもあります。
特に女性に多いとされ、思春期以降に人間関係の難しさやストレスが原因で、うつ状態などを発症して気づかれるケースもあります。
「自分の世界の中で生きる」タイプです。
他者との関わりをあまり必要とせず、興味や関心が自分の好きなことに集中する傾向があります。
会話は必要最低限で、雑談や感情の共有が苦手です。
服装や趣味が独特で、周囲からは「マイペース」「変わっている」と見られることもあります。
男女差はあまりなく、比較的症状が目立つことが多いです。

基本の3タイプに加えて、特徴的な出方をするASDとして「尊大型」と「大仰型」の2つがあります。
このタイプは「他者を見下すような言動」が目立ちます。
強いこだわりや自信が背景にあり、相手の意見を受け入れず、上から目線になってしまうことがあるのです。
純粋なASDというより、ASDに「自己愛性パーソナリティ特性」が加わったような状態と考えられます。
職場や学校などでトラブルを起こしやすく、周囲との関係構築が難しいタイプです。
対策としては、「自分の発言や態度が相手にどう影響するか」を冷静に振り返ることが重要です。
また、組織側も「チームとして冷静に対応し、個人攻撃を避ける」「奪い合いではなく公正なルールを共有する」ことが求められます。
一見すると礼儀正しく丁寧なタイプですが、どこか不自然さが残るのが特徴です。
「周囲に合わせよう」「うまく適応しよう」という努力の結果として、過剰に丁寧になりすぎることがあります。
このタイプは「過剰適応」と呼ばれ、ストレスや疲労をため込みやすい傾向があります。
努力家である反面、自分を追い詰めてしまうことがあるため、「自分を認め、休む勇気を持つこと」が大切です。
ストレスマネジメントを意識しながら、無理のないコミュニケーションスキルを身につけていくことが改善の鍵となります。

ASDの各タイプには、それぞれに合ったサポートの方法があります。
「話す前に一呼吸置く」練習を重ねましょう。
他人の会話の流れやタイミングを観察し、必要に応じて「黙る」スキルを身につけることで、対話のトラブルが減ります。
「嫌なことを断る」練習をすることが第一歩です。
少人数でも良いので、安心できる友人関係を築き、自分のペースで人と関わることが安定につながります。
「最低限の社会的スキル」を身につけましょう。
完全に一人で生きることは難しいため、挨拶や報連相など、基本的な交流だけでも意識して習慣化することが大切です。
また、自分のこだわりが社会に貢献できる形を見つけられれば、大きな強みとなります。
「信頼残高」という考え方が有効です。
相手を尊重する姿勢を保つことで、自分にも信頼が返ってくるという社会のルールを意識することが重要です。
まず、自分が頑張って適応してきたことを認めること。
そのうえで、「無理をしていないか」「自分のストレスが溜まっていないか」を定期的にチェックし、心身のバランスを保つようにしましょう。

ASD(自閉症スペクトラム)は、以下の5つのタイプに分けて理解すると、その多様性が見えてきます。
タイプごとに困りごとは異なりますが、対策の方向性も存在します。
大切なのは「自分の特性を正しく理解し、無理のない範囲で工夫していくこと」です。
ASDは決して「欠点」ではなく、「特徴」であり「個性の一部」です。
その特性を理解し、支援と自己理解を重ねていくことで、より生きやすい毎日を送ることができるでしょう。