【真実】辛い時間の始まり…。発達障害とお昼休憩の話

発達障害とお昼休憩の課題:繊細な時間がもたらすストレスと解決へのヒント

 働く上で、「お昼休憩」は、多くの人々にとって疲れを癒し、午後の活力を取り戻すための重要な時間です。しかし、発達障害を持つ方々にとって、この時間は必ずしもリフレッシュの場になるわけではありません。むしろ、大きなストレスや疲労感を生む原因となることがあります。

 この記事では、発達障害を持つ方が抱える「お昼休憩の課題」を深掘りし、職場全体で考えるべき解決策について具体的に解説します。
 発達障害の当事者の方だけではなく、一緒に働く方にも読んでいただきたい内容です。発達障害の方の休憩時間の過ごし方についてぜひ理解を深めていただきたいと思います。
(※発達障害の特性は人それぞれ異なるので、中には誰かと雑談をして過ごしたいと思っている方もいらっしゃいます。ですので、あくまで傾向としてそういった方たちが多いということを理解してください。)


発達障害の人にとって、お昼休憩とは?

 発達障害を持つ方々にとって、お昼休憩は単に「食事をとる時間」ではなく、午前中の疲れをリカバリして午後にパフォーマンスを発揮するための極めて大切な時間です。この点では、定型発達の方々と目的は同じです。

 しかし、「どのように過ごせば回復できるか」という方法において、大きな違いがあります。

 定型発達の方であれば、例えば、雑談をしながら二人以上で食事をとることに何ら抵抗感のない方も多いのではないでしょうか?毎日難なく楽しそうに集団ランチをする方もいらっしゃいますよね。そして食事をとった後も雑談をしたり、軽く仕事の話をしたりすることってありませんか?このように誰かとコミュニケーションをとってリフレッシュを図ります。

 しかし、発達障害の方が定型発達の方と同じような感覚で休憩時間を過ごしてしまうと、大きなストレスを感じ、疲労がたまることになります。そして休憩時間が休憩ではなくなってしまうのです。誰かと一緒にいるだけで、休憩時間も仕事中と同じようにスイッチが入っている状態になってしまうのです。人によっては仕事中よりも休憩時間の方が気疲れすることが多いと思います。
 お昼を一人で過ごせないことで、ストレス、疲労がたまってしまうと、仕事のパフォーマンスが低下したり、うつ病などの二次障害を発症したり、また会社を退職する場合もあります。


「一人で過ごしたい」という声の裏側

「一人で過ごしたい」という声の裏側

発達障害の方々の多くが「お昼休憩を一人で過ごしたい」と感じています。この傾向には、以下のような理由があります:

1.集団でいることがストレスになる

 発達障害の特性として、人と一緒にいること自体がストレスや疲労感をもたらすことがあります。職場の人々と良好な関係を築いていたとしても、その人たちと一緒に過ごすことが必ずしもリラックスにつながるわけではありません。
 これは、相手を嫌っているわけではなく、集団行動に際して緊張感や不安感を人一倍感じやすいという特性が背景にあるために、ストレスとなってしまっているのです。
 また、プライベートに踏み込んだ話題は、避けたいと感じる人も多くいらっしゃいます。

2.気を使い続ける疲労

 休憩時間に雑談をしたり、食事を共にしたりすることは、発達障害の方々にとって「休憩」ではなく「労働」と感じられることがあります。人と話をするだけで疲れを感じる人も多く、特に昼食時のようにカジュアルな場面では、逆に「何を話すべきか」「どのように振る舞うべきか」に気を使いすぎてしまうのです。


職場環境が与える影響

 職場の文化や環境によっては、休憩時間を一人で過ごすことが難しい場合があります。例えば、以下のような状況です:

1.「みんなで食べるのが当たり前」という文化

 特に女性が多い職場や、社員同士のコミュニケーションを重視する企業文化では、一人で過ごすことが「浮いている」と見なされることがあります。このような雰囲気の中では、一人で過ごしたいという意向を伝えることが難しくなります。

2.休憩スペースが限られている

 物理的に一人になれる場所がない場合も、発達障害の方にとっては大きなストレス要因です。

3.暗黙のプレッシャー

 「どうして一人でいるの?」という視線や、同僚からの誘いを断ることへのプレッシャーが、本人のストレスをさらに増幅させることがあります。


理想的な休憩時間の過ごし方とは?

理想的な休憩時間の過ごし方とは?

 発達障害の方々にとって、理想的な休憩時間とはどのようなものでしょうか?

 また、職場全体としてどのような取り組みが求められるのでしょうか?

1.一人で過ごす自由を確保する

 一人で静かに過ごせる場所を用意することは、発達障害の方に限らず、多くの社員にとってメリットがあります。例えば、専用の休憩室や仮眠スペースの提供が有効です。

2.「お昼休憩は自由でいい」という文化を作る

 「一人で過ごしても良いし、誰かと一緒にいても良い」といった柔軟性のある職場環境を作ることが大切です。暗黙のルールがプレッシャーにならないよう、リーダーシップを持つ人がその姿勢を示すことが求められます。

3.短時間の仮眠の推奨

 NASAの研究によると、26分の仮眠をとることで注意力が54%も向上することが分かっています。食後の短時間の仮眠を推奨することで、心身の回復効果を最大化できます。

4.相談しやすい環境作り

 「困っていることを言いやすい雰囲気」を作ることが重要です。発達障害の方が自分のニーズを職場に伝えやすい環境が整っていることが理想的です。

 この記事を読んでいる皆様の中には自分から伝えるのが大事と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?もちろん大事です。

 ただ、自分から困っていることを発信しやすい環境でなかった場合はどうでしょうか?本人のみをクローズアップするのではなく、困っていることを言いやすい環境かどうかを振り返ることも大切ですよね。

 また、発達障害の方は根がまじめな方が多いので、職場でのコミュニケーションを頑張ろうとして本当は一人で過ごしたいけど、断れない方も多くいらっしゃいますので、相談しやすい環境を作っていくことは本当に大切です。


職場全体で考える「休憩時間の価値」

 お昼休憩が働く人々にとってどれほど重要かを再認識することが必要です。特に、発達障害を持つ方々にとって、この時間がストレスの原因ではなく、回復とリフレッシュの場となるよう、職場全体で取り組む姿勢が求められます。
 「一人でいることを尊重する文化」を職場に根付かせることは、発達障害の方々だけでなく、全ての社員が自分らしく働ける環境作りにつながります。発達障害の特性を理解し、その人たちに寄り添う姿勢を持つことが、結果として組織全体の活力を高める鍵となるでしょう。


まとめ:お昼休憩の見直しが生む新しい職場文化

 発達障害の方々にとって、お昼休憩は心身の回復に欠かせない時間です。一方で、集団で過ごすことが当たり前という文化や、相談しづらい環境が、その重要な時間をストレスの源に変えてしまうこともあります。
 休憩時間のあり方を見直し、個々のニーズに応える柔軟な職場環境を作ることは、発達障害の方々だけでなく、全ての働く人々にとっても大きな意味を持ちます。

この機会に、自分や同僚の休憩時間について、改めて考えてみてはいかがでしょうか?