
仕事をしていると、意外と迷ってしまうのが「どこに座るか」「どこに立つか」といった席次(せきじ)マナーです。
お客様の会社を訪問した際、応接室でどこに座ればいいのか分からなかったり、上司とタクシーに乗ったときに「私はどこに座ればいいんだろう?」と戸惑った経験はありませんか?
実は、こうした場面での立ち居振る舞いには、きちんとしたマナーが存在します。
席次マナーを知らずに行動してしまうと、悪気がなくても「常識のない人だな」と思われてしまうこともあります。
そこで今回は、社会人として知っておくべき席次マナーを、以下の6つの場面に分けて丁寧にご紹介します。
まずは「席次」という言葉の意味から確認しておきましょう。
席次とは、座席や立ち位置における序列のことを指します。つまり、「誰がどの席に座るのがふさわしいか」という考え方です。
ビジネスの場では、社長や役員、上司、部下、そしてお客様など、立場の異なる人々が同席します。
その中で、目上の方やお客様にはできるだけ居心地の良い場所(=上座)をすすめ、
おもてなしをする側や立場の下の人は下座に座るというのが基本の考え方です。
では、なぜ席次があるのでしょうか。
それは、相手に対する敬意やおもてなしの心を形として表すためです。
たとえば、自社にお客様をお迎えする際、「どうぞこちらの座りやすい席へ」と上座をすすめることは、
感謝と敬意の気持ちを表現する行為でもあります。
マナーというのは、単なるルールではなく、「相手を思いやる心」が根本にあります。
ですから、上座・下座の位置を正確に覚えることは大切ですが、何よりも「相手の気持ちを優先する」ことが一番大切です。
相手がすでに座っている場所が下座であっても、無理に移動をお願いするのはかえって失礼になる場合もあります。
状況に応じて、臨機応変に対応することが本当のマナーなのです。

次に、応接室での席次についてです。
基本的に、入口から一番遠い席が上座、入口に近い席が下座になります。
一般的な応接室では、2人以上が座れる長ソファーが上座に配置されており、
入口に近い1人掛けのソファーが下座になります。
たとえば、入口から見て奥の長ソファーに3人掛けがある場合、
奥の左側から順に「1番」「2番」「3番」と上座になります。
入口近くの1人掛けソファーが「4番」「5番」というイメージです。
ただし、家具の配置によっては、1人掛けソファーが上座側に置かれている場合もあります。
その場合も、入口から遠い方が上座という原則は変わりません。
また、お客様が誤って下座に座ってしまった場合でも、
「こちらが上座ですので、どうぞこちらへ」と移動を促すのは避けた方がよいでしょう。
お客様に恥をかかせてしまうおそれがあるからです。
お客様が落ち着いて座っておられる場合は、そのままの位置でおもてなしをしましょう。
続いて、タクシーや車での席次です。
タクシーに乗る際、基本的には次のようになります。
新人や部下の立場であれば、④の助手席に座るのが基本です。
そして、最も目上の方を①の運転席後ろにご案内します。
ただし、運転する人が社内の上司などの場合は席次が変わります。
たとえば、部長が運転する場合は、助手席が上座になります。
つまり、
となります。
また、乗り降りのしやすさも考慮することが大切です。
タクシーのドアは左側から乗ることが多く、奥の席(①)は乗りにくい場合があります。
そのため、目上の方が「助手席の方が乗りやすい」とおっしゃった場合は、
無理に奥の席をすすめず、相手の希望を尊重することがマナーです。
エレベーターにも席次があります。
入って左奥が上座、操作パネルの前が下座です。
つまり、入口から遠い場所ほど上座、近い場所ほど下座となります。
番号で表すと以下のようになります。
お客様をご案内する際に、「どうぞ左奥へ」などと誘導する必要はありません。
お客様が自由に立たれる位置を尊重し、自分は最後に乗り込み、操作パネルの前や出入口付近に立つようにしましょう。
また、混雑している場合には臨機応変に立ち位置を変える柔軟さも大切です。
お茶を出す順番も、実は席次と関係しています。
上座の方からお茶を出すのが基本です。
順番としては、
の順にお出しします。
この順番を間違えると、場合によっては失礼に感じられることもあります。
細かなことではありますが、相手を大切に思う姿勢として、しっかり意識しておきましょう。
最後に、意外と迷うのが玄関での靴の置き方です。
これはビジネスだけでなく、プライベートでも役立つマナーです。
まず基本は、入口から遠い方が上座、入口に近い方が下座です。
また、玄関の中央や、お花・置物が飾られている飾り棚の前も上座とされます。
下駄箱が飾り棚を兼ねている場合は、その前が上座です。
一方で、下駄箱のみで飾りのない場合は、下駄箱側が下座になります。
少しややこしいですが、飾り棚があるかどうかで判断すると覚えやすいです。
靴の向きは、基本的に帰るときにすぐ履ける向きにそろえます。
ただし、靴が多く並んで置けない場合は、横向きに置いてもかまいません。
この場合も、状況に合わせて柔軟に対応することが大切です。
下駄箱も飾り棚もない場合には、入口に最も近い場所が下座となります。
その位置に自分の靴を置くようにしましょう。

ここまで、応接室・車・エレベーター・お茶の出し方・玄関など、さまざまな場面の席次マナーをご紹介してきました。
席次には明確なルールが存在しますが、最も大切なのは「相手を思いやる心」です。
相手がどんな場所であっても心地よく過ごせるように配慮することこそが、真のマナーと言えるでしょう。
社会人として働く上で、こうした細やかな心配りは信頼を生み、あなたの印象をぐっと良くします。
ぜひ日々の仕事の中で意識してみてください。