
近年、「腸内環境を整えることが健康の基本」と言われるようになりました。
実際に、腸の状態が体全体の健康と深く関わっていることは、多くの研究で明らかになっています。
腸内のバランスがくずれると、免疫力が下がり、風邪などの感染症にかかりやすくなったり、炎症が起きやすくなったりします。さらに、生活習慣病やがんのリスクが高まることもわかっています。
では、腸の環境をよくすることで、がんを予防することはできるのでしょうか?
今回ご紹介するのは、「食物繊維」と「ヨーグルト」に注目した研究です。どちらも身近な食品ですが、実はがんの予防に関係しているという興味深い結果が報告されています。
まず、がんの人と健康な人の腸内環境を比べた研究があります。
その結果、がんの人では腸内の細菌の種類が少なくなっており、特定の悪玉菌が増えていることがわかりました。
腸には何百種類もの細菌が住んでいて、これらがバランスを保つことで健康が保たれています。
腸内の多様性が失われると、免疫の働きが乱れ、体の中で炎症が起こりやすくなります。こうした状態が続くと、がんの発生を促してしまう可能性があるのです。
つまり、「腸内の環境を整えること」が、がんを防ぐうえで重要な鍵になると考えられています。
アメリカ、ヨーロッパ、アジアの研究チームが行った調査では、60万人以上の男性と80万人以上の女性、合計約140万人を対象に、食物繊維やヨーグルトの摂取量と肺がんの発症との関係を調べました。
観察期間はおよそ8年半。この間に約1万8千人が肺がんと診断され、そのデータをもとに解析が行われました。
喫煙や年齢、生活習慣などの要因を考慮したうえで比較すると、
さらに、ヨーグルトも食物繊維も両方しっかり摂っていた人では、肺がんのリスクが33%も低かったのです。
つまり、この2つを同時にとることで、より強い予防効果が期待できることが示されました。
肺がんと聞くと、まず思い浮かぶのは「たばこ」かもしれません。
しかし、この研究では、現在喫煙している人、過去に喫煙していた人、そして一度も喫煙したことがない人のいずれのグループでも、食物繊維とヨーグルトの効果が確認されています。
つまり、たばこを吸うかどうかに関係なく、腸の環境を整えることががんの予防に役立つ可能性があるというわけです。
この研究結果は、「プレバイオティクス」と「プロバイオティクス」の重要性を改めて示しています。
少し聞き慣れない言葉ですが、簡単に言うと次のような意味です。
腸内環境を良くするためには、善玉菌だけでなく、その「エサ」も同時にとることが大切です。
この2つを組み合わせることで、腸の中の善玉菌が元気になり、腸内バランスが整いやすくなります。
たとえば、朝食やおやつにプレーンヨーグルトにオリゴ糖を少しかけ、キウイやバナナをのせて食べる。
これだけで、プロバイオティクス(ヨーグルト)とプレバイオティクス(フルーツ・オリゴ糖)を一緒にとることができます。
とても簡単でおいしい、理想的な腸活メニューです。
また、夕食では、味噌汁や納豆を取り入れるのもおすすめです。
和食には発酵食品や食物繊維が多く含まれており、自然と腸にやさしい食事になるのです。
腸内環境が整うと、便通がよくなるだけでなく、免疫力の向上、肌の調子の改善、さらにはメンタルの安定にも関係していることがわかっています。
腸は「第二の脳」と呼ばれることもあり、ストレスや気分にも影響を与えるといわれています。
つまり、腸を整えることは「心と体の両方を整える」ことにもつながるのです。
そして、今回の研究が示すように、がんの予防という大きな効果まで期待できるのですから、日々の食生活で意識しない手はありません。
特別なサプリメントを使わなくても、日常の食事で十分に腸内環境は整えられます。
次のポイントを意識してみましょう。

「がんの予防」というと、つい難しく考えてしまいがちですが、毎日の食事の積み重ねが大きな力になります。
腸内環境を整える食物繊維とヨーグルト。この2つは手軽に続けられる最強の組み合わせです。
「善玉菌」と「そのエサ」を意識してとることで、腸の中から体を守る力が高まり、免疫の働きもスムーズになります。
そして、その結果として、がんのリスクを減らすことができる可能性があるのです。
健康の基本は、日々の小さな習慣から。
今日の食卓に、ヨーグルトと野菜、そして発酵食品を少しずつ取り入れて、腸から元気な体を育てていきましょう。