具だくさん味噌汁でがん撃退!イソフラボンの健康効果

具だくさん味噌汁でがんを遠ざける!

具だくさん味噌汁でがんを遠ざける!

みなさんは、毎日の食事に「みそ汁」を取り入れていますか?
最近、改めて和食の良さ、そして大豆を使った食品の健康効果に注目が集まっています。なかでもみそ汁は、世界でも「ヘルシーなスープ」として人気が高く、海外のレストランでも見かけるようになりました。外国の味噌スープの写真を見ると、具材の種類もさまざまで、とても楽しそうです。

みそや納豆、豆腐といった大豆食品には、「イソフラボン」という成分が含まれています。イソフラボンには、骨を丈夫に保ったり、更年期の不調をやわらげたりする働きがあるといわれています。そして近年、このイソフラボンを含む大豆食品には、がんのリスクを減らす可能性があることも分かってきました。

私の患者さんの中にも、すい臓がんの手術を受けた後、再発が確認されたものの、食事や生活習慣を工夫しながら何年も元気に過ごしている方がいらっしゃいます。その方の毎朝の習慣が「具だくさん味噌汁」を作ること。野菜がたっぷり入ったみそ汁を毎日欠かさないのだそうです。
そこで今回は、「大豆食品とがんの関係」について、研究結果を交えながらわかりやすく紹介していきます。

1. 大豆食品でがんのリスクが減る?

まずは、大豆食品をよく食べる人ほど、がんになりにくいという報告についてご紹介します。

2022年に発表された、世界中の研究をまとめた大規模な調査があります。81件の研究をもとにしたもので、そのうち多くは日本や中国などアジアで行われたものです。その結果、大豆をたくさん食べている人は、ほとんどの種類のがんの発症リスクが約10%低いということがわかりました。
また、大豆の摂取量が1日25グラム増えるごとに、がんのリスクが4%ずつ減っていたという結果も出ています。

さらに別の調査では、大豆を食べている人はがんによる死亡リスクも低く、とくに胃がんでは約半分、卵巣がんで48%、大腸がんで41%も低くなっていたと報告されています。

では、日本人の場合はどうでしょうか?
2020年に行われた大規模な日本人対象の調査では、「大豆を食べる量」と「がんの発症リスク」にははっきりした関係は見られませんでした。しかし、納豆などの“発酵した大豆食品”をよく食べる人は、がんを含むあらゆる病気による死亡リスクが下がっていたのです。
さらに、別の研究では「味噌汁や大豆食品をよく食べる人は、胃がんになっても生存率が高い」という結果も報告されています。つまり、大豆食品はがんを予防するだけでなく、がんになってからの回復や長生きにも関係している可能性があるということです。

ただし、ひとつ注意点があります。日本人9万人以上を対象にした調査では、「豆腐などを多く食べる人ほど、すい臓がんのリスクがやや高い」という結果もありました。ただし、味噌や納豆ではそのような傾向は見られませんでした。ですから、やはり発酵大豆食品をバランスよく取り入れるのが良いのかもしれません。

2. イソフラボンと乳がんの関係

2. イソフラボンと乳がんの関係

大豆に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンの「エストロゲン」とよく似た構造を持っています。そのため、「大豆を食べると乳がんのリスクが上がるのでは?」と心配する声もあります。
しかし、実際の研究ではまったく逆の結果が出ています。

2021年に発表された研究では、1480人の乳がん患者さんを対象に、大豆を食べる量と生存率の関係を調べました。その結果、乳がんの診断前に大豆をよく食べていた人は、そうでない人に比べて死亡リスクが64%も低かったのです。また、診断後も大豆食品を積極的に摂っていた人は、死亡リスクが51%低下していました。
つまり、大豆を食べることで乳がんの進行を防ぎ、再発のリスクを減らす可能性があるのです。

日本人を対象にした研究でも、味噌汁をよく飲む女性ほど乳がんになりにくいという結果が出ています。
「大豆を食べると乳がんが進行する」という心配は不要で、むしろ健康的に食生活を支える強い味方といえそうです。

3. 大豆食品ががんを防ぐしくみ

それでは、大豆食品がどのようにしてがんを防ぐのでしょうか。

ひとつは、大豆に含まれる「ゲニステイン」という成分の働きです。
がんが成長するためには、栄養を届ける新しい血管をたくさん作る必要があります。ゲニステインには、この血管を作る働きを抑える作用があるといわれています。そのため、がん細胞が大きくなるスピードを抑える可能性があるのです。

もうひとつは、腸内環境を整える効果です。
味噌や納豆などの発酵食品には、腸の中の“善玉菌”を増やす成分がたっぷり含まれています。腸内環境が整うと、免疫のバランスも良くなり、体全体が病気に強くなると考えられています。
さらに、味噌汁の具材に根菜や海藻、きのこなどを加えると、食物繊維もたっぷり摂れます。食物繊維は善玉菌のエサになってくれるので、腸の調子をさらに良くしてくれます。
こうした“腸の健康”が、結果的にがんの予防にもつながっていると考えられています。

4. 「具だくさん味噌汁」で健康習慣を

4. 「具だくさん味噌汁」で健康習慣を

みそ汁には、がんのリスクを下げる可能性があるだけでなく、野菜や海藻などを一度にたくさん摂れるというメリットもあります。
とくにおすすめなのが、「具だくさん味噌汁」。
冷蔵庫にある野菜やきのこ、豆腐、海藻、いも類などを自由に組み合わせて、自分だけの“健康スープ”を作ってみてください。

例えば、
・キャベツ、にんじん、ごぼうなどの根菜類
・豆腐や油揚げなどの大豆食品
・わかめ、ひじきなどの海藻類
・しいたけ、しめじなどのきのこ類
こうした具材を入れるだけで、食物繊維やビタミン、ミネラル、たんぱく質までバランスよく摂ることができます。

みそ汁は、忙しい朝でも簡単に作れる「日本のスーパーフード」です。
毎日少しずつ続けることで、体の中からじわじわと健康が積み重なっていきます。
大豆の力、発酵の力、そして野菜の力。これらを一杯の味噌汁でまとめていただくことができるのです。

まとめ

・大豆食品をよく食べる人は、がんの発症リスクや死亡リスクが低い。
・イソフラボンは乳がんを悪化させるどころか、再発や死亡リスクを下げる。
・味噌や納豆などの発酵大豆食品は、腸内環境を整え、体全体の免疫をサポートする。
・野菜やきのこ、海藻を入れた「具だくさん味噌汁」は、毎日の健康づくりにぴったり。

今日の食卓に、いつもの味噌汁をもう少しだけ「具だくさん」にしてみませんか?
その一杯が、あなたの体をゆっくりと、確実に元気にしてくれるはずです。