アキレス腱とは?構造と役割を解説|理学療法士 国家試験対策

皆さんも一度は耳にしたことがある

「アキレス腱」

スポーツのニュースなどで

「アキレス腱を断裂して長期離脱」


といった言葉を聞いたことがある
方も多いのではないでしょうか。

このアキレス腱は、人体の中でも特に強く太い腱であり、

私たちが歩いたり、走ったり、ジャンプ
したりするときに欠かせない存在です。

今回は、そのアキレス腱の構造や役割、
そしてケガの仕組みまでを
できるだけわかりやすく説明していきます。

1. アキレス腱はどこにあるのか?

1. アキレス腱はどこにあるのか?

まずは位置の確認から始めましょう。
アキレス腱は、脚のかかとの後ろ側

つまり足首の後面にある
太くて丈夫なスジのような部分です。

実際に自分の足を触ってみると、かかとの少し上あたりに

“硬い帯のようなもの”

が指先に感じられると思います。
それがまさにアキレス腱です。

この腱は「踵骨(しょうこつ)」と
呼ばれるかかとの骨に付着しています。

医学的には「踵骨腱(しょうこつけん)」とも呼ばれますが、
一般的には「アキレス腱」という名前で知られています。


この名称は、ギリシャ神話に登場する
英雄アキレスに由来しています。

彼の弱点が「かかと」であったことから、この部位が
「アキレス腱」と呼ばれるようになりました。

2. 腱とは何をしているのか?

では、そもそも「腱」とは何でしょうか?
腱は、筋肉と骨をつなぐ強靭な組織です。

筋肉が収縮したとき、その力を骨に伝えることで、
関節を動かす役割を果たしています。

つまり、

「筋肉がエンジン」




「腱が伝達装置」


のようなものです。

たとえば、腕を曲げたり足を蹴り出したりするとき、
実際に動いているのは筋肉ですが、その力を
骨まで正確に伝えるのが腱の仕事です。

腱がなければ、筋肉がどれだけ力を
出しても骨を動かすことはできません。

3. アキレス腱につながる二つの筋肉

アキレス腱は、単独で存在しているわけではなく、
**ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)**と密接につながっています。

この下腿三頭筋は、大きく分けて「腓腹筋(ひふくきん)」と
「ヒラメ筋」という二つの筋肉から構成されています。

■ 腓腹筋(ひふくきん)

ふくらはぎの表面にある大きな筋肉で、
いわゆる“ふくらはぎの盛り上がり”を作っている部分です。

膝の裏側から始まり、下へ伸びてアキレス腱へと移行しています。
この腓腹筋は、ジャンプやダッシュなど

「瞬発的な動作」

で強く働きます。

■ ヒラメ筋

腓腹筋のさらに奥にある、薄くて広がった筋肉です。
名前の通り、ヒラメのような形を
していることからこの名前がつきました。

こちらは長時間立っているときなど、
姿勢を保つ働きを担っています。

この2つの筋肉が合流し、一つの太い腱となって
踵骨につながっているのが「アキレス腱」です。

つまり、ふくらはぎの筋肉全体がアキレス腱を介して
かかとの骨に連結しており、その力で足首を動かしています。

4. アキレス腱の働き

アキレス腱は、主に**足首を下に動かす(底屈)**ときに働きます。
たとえば、ジャンプの踏み切り、ダッシュのスタート、

階段を上がる動作などでは、かかとを上げて
つま先で地面を押す力が必要になります。

その動きを実現しているのが、
腓腹筋とヒラメ筋、そしてアキレス腱の連携です。

筋肉が収縮すると、その力がアキレス腱を通じて
かかとの骨に伝わり、足首が下へ動きます。

この仕組みによって、人は地面を蹴って前へ進むことができるのです。

つまり、アキレス腱は「歩く・走る・跳ぶ」という
人間の基本的な動作のすべてに関わっており、日常生活に
おいても非常に重要な役割を担っています。

5. アキレス腱断裂とは?

5. アキレス腱断裂とは?

アキレス腱は非常に強靭ですが、それでも
時に「断裂」してしまうことがあります。

特にスポーツ選手や運動習慣のある人
に多いのが、「アキレス腱断裂」です。

これは、筋肉が急激に強く収縮したときに、
腱がその力に耐えきれず切れてしまう状態を指します。

たとえば、

  • 急にダッシュしたとき
  • ジャンプから着地したとき
  • バドミントンやテニスで踏み込んだ瞬間
    などに起こりやすいとされています。

断裂すると、「バチッ」という音が聞こえることもあり、
激しい痛みとともに歩行が困難になります。

一見すると軽い肉離れのようにも感じますが、放置すると
回復が難しくなるため、早急な医療処置が必要です。

治療法は、一般的に

手術で切れた腱を縫い合わせる方法


が取られます。

近年ではリハビリ技術も進歩しており、
手術後の適切なリハビリを行えば、スポーツ復帰も十分可能です。

6. アキレス腱を守るために

アキレス腱は、私たちの動作を支える

「縁の下の力持ち」


です。
一度損傷すると回復までに
長い時間を要するため、日頃のケアがとても大切です。

次のような点に注意すると、アキレス腱のトラブルを防ぐことができます。

  • スポーツの前には必ずストレッチを行う
  • 冷えた状態で急な運動を始めない
  • 履き慣れない靴やヒールの高い靴で長時間歩かない
  • 少しでも違和感があれば無理をせず休む

特に中高年の方では、加齢とともに腱の柔軟性が低下し、
断裂リスクが高まります。


ウォーキングやストレッチを習慣にし、ふくらはぎの筋肉を
適度に動かしておくことが予防につながります。

まとめ

まとめ

アキレス腱は、かかとの骨(踵骨)と
ふくらはぎの筋肉(腓腹筋・ヒラメ筋)
をつなぐ、人体最大の腱です。


私たちが歩く、走る、ジャンプする、
そのすべての動作を陰で支えています。

この腱があるからこそ、人は
地面を強く蹴り出し、軽快に動くことができます。


一方で、その分だけ大きな負荷がかかるため、スポーツや
急な動作の際には断裂などのトラブルも起こりやすい部位です。

「アキレス腱」という名前は、神話の英雄アキレスの
かかとに由来していますが、まさに

“人間の弱点にもなりうる強い部分”

と言えるでしょう。

普段は意識することの少ないアキレス腱ですが、
その存在を知り、いたわることで、
これからの健康な身体づくりにも役立てていきたいものです。