がんを遠ざける、毎日とりたい糖質3選:研究からわかった「がん」のリスクを低下させる糖(糖質)とは?

私たちの体に欠かせない「糖質」。しかし、糖質という言葉を聞くと、多くの人が「太る」「糖尿病になる」「健康によくない」といったイメージを思い浮かべるのではないでしょうか。たしかに、砂糖や精製された炭水化物の摂り過ぎは、肥満や生活習慣病の原因になるといわれています。けれども、糖質にはさまざまな種類があり、すべてが体に悪いわけではありません。なかには、がんのリスクを下げる働きが期待されている糖質もあるのです。

今回は、「がんを遠ざける」可能性を秘めた糖質を3つご紹介します。

1. オリゴ糖

1. オリゴ糖

まず1つ目は「オリゴ糖」です。
オリゴ糖は、糖が2〜10個ほどつながった「少糖類」というグループに属しています。ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖など、いくつかの種類があります。

オリゴ糖の最大の特徴は、胃や小腸で分解されずに大腸まで届くこと。そのため、腸内で乳酸菌やビフィズス菌などの“善玉菌”のエサとなり、腸内環境を整える働きをします。いわゆる「プレバイオティクス」として注目されている理由です。

実際、オリゴ糖をよく摂っている人では、がんの発症リスクが低いことが報告されています。たとえばイタリアの研究では、ガラクトオリゴ糖を多く摂っている人は、大腸がんのリスクが約27%低かったという結果が出ています。

また、日本の藤田医科大学では、すい臓がんの患者さんを対象に、オリゴ糖の一種である「ケストース」を使った臨床研究が行われました。抗がん剤治療を受けている患者さんに、12週間にわたってケストースを1日9グラム摂ってもらったところ、腸内環境が改善し、大腸菌が減少。さらに血液中のがんマーカー(CA19-9)が下がり、栄養状態もよくなっていたのです。炎症のサインを示す数値も抑えられており、全身の状態が安定する傾向が見られました。

このような結果から、オリゴ糖は腸内のバランスを整えることで、がんの予防や治療のサポートにつながる可能性があると考えられています。

2. 黒糖

2. 黒糖

2つ目は「黒糖」です。
黒糖は、サトウキビのしぼり汁を煮詰めて固めたもので、精製された白砂糖とちがって、ミネラルやポリフェノールなどの栄養成分がそのまま残っています。そのため、「含蜜糖(がんみつとう)」と呼ばれる天然に近い糖に分類されます。

黒糖は「甘い砂糖の仲間」というイメージがありますが、実は健康面でのうれしい研究結果が報告されています。鹿児島県の奄美大島に住む約5,000人を対象に行われた調査では、黒糖をよく食べる人ほどがんになりにくいことがわかりました。

10年にわたる追跡調査の結果、黒糖をもっとも多く摂っていたグループは、もっとも少なかったグループに比べて、がんの発症リスクがなんと約40%も低かったのです。とくに胃がんと乳がんのリスクが下がる傾向が見られました。

これは、黒糖に含まれるポリフェノールなどの抗酸化成分が、体の細胞を守り、がんの原因となる酸化ストレスを抑えてくれるためと考えられています。
つまり、白砂糖のように精製しすぎた糖は健康にマイナスに働くことがある一方で、自然に近い黒糖には体を守る働きがあるということです。

もちろん、黒糖も砂糖ですから、摂りすぎは禁物ですが、料理やお菓子作りの甘味料として上手に使えば、健康的な選択になります。

3. レジスタントスターチ

3. レジスタントスターチ

最後の3つ目は「レジスタントスターチ(難消化性でんぷん)」です。
でんぷんと聞くと、「太る」「糖質が多い」と思うかもしれません。しかし、レジスタントスターチはほかの糖質とは少しちがいます。体の中の消化酵素では分解されにくく、大腸まで届くという特徴を持っています。

このため、オリゴ糖と同じように、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整える働きがあります。食物繊維のような性質を持っており、腸の調子を整える「プレバイオティクス」として注目されています。

レジスタントスターチは、豆類(とくにインゲン豆など)や、じゃがいも、さつまいも、米などの穀物に多く含まれています。興味深いのは、これらの食べものをいったん加熱してから冷やすと、レジスタントスターチの量が増えるという点です。たとえば、冷やご飯やポテトサラダにはこの「難消化性でんぷん」が多く含まれています。

2022年に発表されたアメリカの研究では、4万人以上の人を対象に、レジスタントスターチの摂取量とがんによる死亡率との関係を調べました。その結果、摂取量が多い人ほどがんによる死亡リスクが低かったという報告があります。

つまり、レジスタントスターチは「太る糖質」ではなく、「腸を整えて体を守る糖質」なのです。ご飯やいも類を冷やして食べることで、がんを防ぐ一助になるかもしれません。

糖質=悪者ではない

糖質というと、どうしても「控えなければ」と思いがちですが、今回ご紹介した3つの糖質——オリゴ糖、黒糖、レジスタントスターチ——には、腸内環境を整えたり、抗酸化作用を発揮したりと、体を守る力があります。

ただし、どんなに体に良いものでも「摂りすぎ」はよくありません。甘いものを食べるときには、量を意識しながら、こうした“質の良い糖”を選ぶようにすることが大切です。

食事は毎日の積み重ねです。
腸をいたわり、体の中から健康を育てるために、ぜひ今回紹介した糖質をうまく生活に取り入れてみてください。

「甘いもの=悪いもの」と決めつけず、自然の力を上手に味方につけて、がんを遠ざける食習慣を続けていきましょう。