【緊急報告】呼吸するだけで「がん」が増加?「たばこ」よりこわい発がん物質「PM2.5」と関連する5つの「がん」

私たちは毎日、何気なく呼吸をしています。けれども、その「息を吸う」という当たり前の行為の中に、がんのリスクが潜んでいるとしたらどうでしょうか。今回は、そんな少し怖いお話をしたいと思います。

■ たばこを吸わないのに肺がんが増えている?

■ たばこを吸わないのに肺がんが増えている?

がんの原因には、食事や運動不足、ストレス、遺伝などさまざまな要因があります。その中でも長年「肺がんの最大の原因」とされてきたのが「たばこ」です。喫煙によって肺の細胞が傷つけられ、長い年月をかけてがんを引き起こす――この仕組みは多くの研究で明らかになっています。

ですから、「たばこを吸わないこと」はがん予防の基本の一つです。
しかし、近年ではたばこを吸わない人、いわゆる「非喫煙者」にも肺がんが増えていることが問題になっています。とくに「腺がん」と呼ばれるタイプの肺がんが増加傾向にあります。

では、たばこを吸わないのに、なぜ肺がんになる人が増えているのでしょうか。

■ 空気の中の見えない敵、PM2.5とは?

その原因の一つとして注目されているのが「大気汚染」です。
なかでも「PM2.5(ピーエム2.5)」と呼ばれる、ごく小さな粒子が問題になっています。これは「2.5マイクロメートル以下」という、髪の毛の30分の1ほどの小さなほこりのような粒で、工場の煙や車の排気ガス、建設現場の粉じんなどから発生します。

PM2.5の厄介な点は、目に見えないほど小さいため、吸い込んだときに肺の奥まで入り込んでしまうことです。体の防御機能では排出しきれず、細胞を傷つけたり炎症を起こしたりすることで、長い年月をかけてがんを発症させるおそれがあるのです。

日本でも、たばこを吸わない女性に肺の腺がんが増えており、その一因としてPM2.5が関係している可能性が指摘されています。

■ 世界の9割が「汚れた空気」の中で生活している

世界保健機関(WHO)の報告によると、世界の約90%の人々が、汚染された空気の中で暮らしているといわれています。
アフリカや中東、中国などでは特に大気汚染のレベルが高く、健康への影響が深刻です。

一方で、日本やヨーロッパ、北米などは比較的きれいな空気に恵まれていますが、それでも「ゼロ」ではありません。都市部では、車の交通量や工場の排出ガスが多いため、PM2.5の濃度が一時的に上がることがあります。東京や大阪などでは、日によって基準値を超えることもあるのです。

最近の報道では、台湾で肺がんが急増しており、なんと患者の3人に2人が「たばこを吸ったことがない」とのことでした。これは、PM2.5による影響が大きいと考えられています。日本と同じ東アジアの地域ですから、私たちも決して無関係ではありません。

■ 肺がんだけじゃない、他のがんにも影響が

■ 肺がんだけじゃない、他のがんにも影響が

さらに最近では、PM2.5が肺がんだけでなく、さまざまながんの発症にも関係しているという報告が相次いでいます。

2024年にアメリカで行われた研究では、長期間PM2.5にさらされた人は、すい臓がんのリスクが約20%も高かったとされています。
また、9万人以上を対象に行われた別の大規模調査では、PM2.5の濃度が少し上がるだけで、次のようながんのリスクが上昇していました。

  • 肺がん:約1.7倍
  • 乳がん:約1.5倍
  • 膀胱がん:約1.5倍
  • 前立腺がん:約1.4倍
  • すべてのがんの合計で約1.5倍

つまり、空気中のPM2.5は、体のさまざまな臓器に悪い影響を与える可能性があるということです。
呼吸によって体の中に入る以上、完全に避けることは難しいですが、日常の中でできる対策をしていくことが大切です。

■ PM2.5から身を守るためにできること

■ PM2.5から身を守るためにできること

日本の空気は世界的に見ればきれいな方ですが、油断は禁物です。特に春先の「黄砂」や冬の「逆転層(大気がこもる現象)」の時期は、PM2.5の濃度が高くなることがあります。

日常生活の中でできる対策としては、次のようなものがあります。

  1. PM2.5情報をチェックする
    気象庁や環境省のサイト、天気アプリなどで、地域のPM2.5の濃度を確認できます。
    濃度が高い日は、できるだけ外出を控えるか、外での活動を短時間にするのがおすすめです。
  2. マスクを上手に使う
    一般的な布マスクではPM2.5を防ぎきれません。外出が必要な日は、「微粒子対応」と書かれたマスク(不織布やN95など)を使用するとよいでしょう。
  3. 室内の空気をきれいに保つ
    空気清浄機を使うことで、屋内に入り込んだPM2.5をある程度減らすことができます。
    フィルターの掃除や交換を定期的に行うことも忘れずに。
  4. 換気のタイミングを選ぶ
    PM2.5が多い時間帯(朝夕の交通量が多い時間など)は窓を閉め、昼間の比較的少ない時間に短時間の換気を行うと効果的です。

もちろん、すべてを完璧に防ぐことはできません。けれども、少し意識するだけでも、体に取り込む量を減らすことができます。

■ 定期的な検診も忘れずに

空気の汚れは、私たちがコントロールしにくい要因です。だからこそ、自分の体の変化に早く気づくことが重要です。

40代・50代以降の方は、たばこを吸わない人でも、定期的に肺がん検診を受けておくと安心です。
胸のレントゲンやCT検査などで、早期の段階でがんを見つけることができれば、治療の成功率も高まります。

また、生活習慣を整えることも空気汚染の影響を受けにくくするために役立ちます。
バランスのとれた食事、適度な運動、十分な睡眠は、体の「修復力」を高める基本です。
体の中の炎症を抑えるような生活を意識することで、がん全体のリスクを減らすことができます。

■ 息をするたびに思い出したいこと

私たちは一日に2万回以上も呼吸をしています。
空気は生きるために欠かせないものですが、その空気の中に「目に見えないリスク」があるというのは、少し怖い話です。

ただ、恐れるだけでなく、「知る」ことが第一歩です。
そして、できることを一つずつ積み重ねていけば、がんのリスクを減らすことは十分に可能です。

息をするだけでがんが増える――。
そんな時代にならないように、私たち一人ひとりが空気の質に関心をもち、健康を守る意識を高めていくことが大切です。

というわけで、今回は「ただ息をするだけでがんが増加する?」というお話でした。
身の回りの空気にも気を配りながら、日々を元気に過ごしていきましょう。