
私たちの生活の中で、欠かせないのが「睡眠」です。体と心を休ませ、エネルギーを回復させるために必要な時間ですが、実はその「眠り方」ひとつで、健康状態が大きく変わることがわかってきています。
多くの研究から、良い睡眠習慣を保つことは病気を防ぎ、長生きにつながることが示されています。特に注目されているのが「がん」との関係です。
今回は、がんになりやすくなると報告されている“危ない睡眠習慣”を3つ紹介します。どれも日常生活の中でついやってしまいがちなことですが、少し意識を変えるだけで、健康のリスクを減らせるかもしれません。
仕事で疲れた日や、夜遅くまで活動していて「夕飯を食べたらそのまま眠くなって寝てしまう」ということ、ありませんか?
昔から「食べてすぐ寝ると牛になる」と言われるように、体に良くないとされてきましたが、実際に研究でも“がんのリスクが高くなる”という結果が出ています。
スペインで行われた調査では、夕食を食べてから2時間以上たってから寝る人に比べて、食後すぐ寝る人は乳がんのリスクが16%、前立腺がんのリスクが26%も高くなっていたそうです。
また、中国の研究では、夕食から寝るまでの時間が短い(3時間未満)人は、大腸がんのリスクが2.5倍にまで上がるという結果も報告されています。
これは、食後すぐに寝ることで消化が十分に進まないうちに体が休息モードに入り、体内の代謝リズムが乱れることが原因のひとつと考えられています。
そのため、できれば夕食のあと2〜3時間はあけてから眠ることが大切です。
どうしても夕食が遅くなる日は、消化の良い軽めの食事にしたり、少し体を動かしたりしてから布団に入るようにしましょう。
食後の軽い散歩は、血糖値の上昇をおさえる効果もあり、がん予防にもつながるといわれています。
「寝る子は育つ」と言われるように、睡眠は体の修復に欠かせませんが、長く眠りすぎるのも問題です。
意外に思うかもしれませんが、睡眠時間が短い人だけでなく、長すぎる人もがんのリスクが高まるという研究結果があります。
海外のある研究では、1日の平均睡眠時間が6〜9時間の人を基準にしたとき、
・6時間未満の短い睡眠の人は、大腸がんのリスクが約2倍
・9時間以上眠る人は、なんと約4倍
という結果が出ています。
また、女性を対象にした別の調査では、7〜9時間眠る人に比べて9時間以上眠る人は、乳がんや子宮体がんなど、女性ホルモンに関係するがんの発症率が22%高かったそうです。
なぜ長時間の睡眠がリスクになるのかというと、長く眠りすぎることで体内時計のリズムが乱れたり、日中の活動量が減って代謝が落ちることなどが関係していると考えられています。
もちろん個人差はありますが、夜の睡眠は7〜8時間がちょうど良いといわれています。
寝だめをせず、できるだけ毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きることが、体のリズムを整えるポイントです。
「昼寝が健康に良い」と聞いたことがある方も多いでしょう。
実際、短時間の昼寝は頭をスッキリさせ、午後の集中力を高める効果があります。
ところが、長すぎる昼寝や毎日のように長時間眠る習慣は、逆に病気のリスクを高めるという報告もあります。
日本の研究で、およそ5万人の中高年を対象にした調査があります。
その結果、昼寝の習慣がある人は、ない人に比べて肝臓がんのリスクが60〜90%も高かったそうです。
また、別の研究では、昼寝をする人は胃がんのリスクが14%高く、特に夜の睡眠が6時間未満と短い人では、昼寝によってリスクがさらに66%上がっていました。
つまり、夜の睡眠が足りないことを昼寝で補おうとしても、必ずしも健康に良い結果にはならないということです。
特に、1時間以上の長い昼寝を続けていると、体内時計が狂いやすくなり、夜の睡眠にも悪影響を与えます。
一方で、昼寝自体を完全にやめる必要はありません。
大切なのは「昼寝の長さ」です。
海外の研究では、30分以内の短い昼寝であれば、心身のリフレッシュ効果が得られ、がんのリスクも高めないとされています。
もし昼寝をするなら、「昼食後すぐの20〜30分程度」を目安にするとよいでしょう。
また、横にならずにソファや椅子で軽く目を閉じる程度でも、十分に効果があります。

がんのリスクを高める「危ない睡眠習慣」は、次の3つでした。
もちろん、必要な睡眠時間や生活リズムは人によって違います。
あくまでこれらは研究から見えてきた“傾向”であり、「こうでなければいけない」というわけではありません。
大切なのは、自分の体の声に耳を傾け、無理のない範囲で少しずつ生活を整えることです。
夜の食事のタイミング、眠る時間、昼寝の長さ。
どれもすぐに見直せることばかりです。
毎日の睡眠習慣を少し工夫するだけで、がんをはじめとする病気のリスクを下げることができます。
心と体がすっきりと休まる「質の良い眠り」を味方につけて、健康的な毎日を送りましょう。