命を奪う「がん」の進行(転移・再発)パターン3つ

命を奪う「がん」の進行(転移・再発)パターン3つ

命を奪うがんの進行パターン3つについて知っておきたいこと

がんは、私たちの体に深刻な影響を及ぼす病気のひとつです。その進行は個人差が大きく、たとえ転移や再発が見つかったとしてもすぐに命に関わる状態になるわけではないケースもあります。しかし、一方で急速に悪化し、生命の危険に直結する進行パターンも存在します。今回は、その中でも比較的多く見られる、命を奪う可能性のあるがんの進行パターンを三つご紹介します。なかには予防や対策が可能なものもありますので、最後までお読みいただくことで、理解を深め、今後の生活や医療の判断に役立てることができるでしょう。

1. がんの浸潤による管の閉塞・穿孔

がんは成長する過程で周囲の臓器に広がることがあります。このとき、腸や胆管など、体内の「管(くだ)」と呼ばれる通り道が塞がってしまうことがあります。たとえば腸が塞がると、食事や水分を摂取できなくなる腸閉塞を引き起こします。場合によってはバイパス手術によって一時的に食べ物を通せることもありますが、広範囲にわたる閉塞や複数箇所の閉塞では手術が難しいこともあります。その場合、点滴による栄養補給で対応することになりますが、栄養状態は徐々に悪化し、最終的には生命に関わる状態となることがあります。

また、胃や腸に発生したがんが大きく成長すると、消化管の壁が破れる「穿孔(せんこう)」を起こすことがあります。穿孔が発生すると、腸内の便や消化液が腹腔内に漏れ出し、腹膜炎や敗血症を引き起こす危険があります。これも非常に重篤な状態となり、命に関わることがあります。

さらに、がんが胆管にできると、胆汁の流れが妨げられ「閉塞性黄疸(へいそくせいおうだん)」を引き起こすことがあります。この状態では血液中のビリルビンが増加し、皮膚や眼が黄色くなる症状が現れます。治療としては手術や内視鏡で胆汁の流れを確保する方法がありますが、進行が進むと肝臓や腎臓への負担が増し、命に関わることもあります。

2. がん転移増大による臓器不全

2. がん転移増大による臓器不全

がんは、もともと発生した部位だけでなく、血液やリンパの流れを通じて他の臓器に転移することがあります。生命維持に重要な臓器に転移して増大すると、その臓器の機能が低下し、最終的に臓器不全を引き起こすことがあります。

たとえば、肺に転移した場合、がんが肺の大部分に広がると十分な呼吸ができなくなり、呼吸不全で命を落とすことがあります。胸水がたまることもあり、これが呼吸をさらに困難にする原因となります。肝臓に転移した場合も同様で、がんによって肝臓の正常な組織が置き換わると肝不全を起こし、生命に関わります。

臓器の一部が不全に陥ると、他の臓器にも影響を及ぼし、複数の臓器が同時に機能不全に陥る「多臓器不全」に進展することもあります。さらに、血液凝固のシステムに異常が出て、小さな血栓が全身の血管に多発する「播種性血管内凝固症候群(DIC)」という状態に陥ることもあります。この状態では救命の可能性が極めて低くなります。

3. がん悪液質による栄養障害・感染症

3. がん悪液質による栄養障害・感染症

がんの進行に伴い、体内の栄養状態が悪化することがあります。がんは体から栄養を奪い、筋肉や脂肪を減少させるため、体重減少や食欲不振、倦怠感などの症状が現れます。この状態を「がん悪液質(カヘキシア)」と呼びます。

悪液質が進行すると、栄養状態の低下によりがんの進行が加速することがあります。また、免疫力が低下するため、肺炎などの感染症にかかりやすくなり、重症化すると命に関わることがあります。悪液質の発症メカニズムは完全には解明されていませんが、がんによる炎症性サイトカインの分泌が、筋肉や脂肪、肝臓、脳などに悪影響を及ぼすことが関与していると考えられています。

悪液質は一度進行すると元に戻すのが難しいのですが、予防の観点では可能性があります。具体的には、運動、特に筋力を使うトレーニングや筋トレを行うこと、タンパク質を中心とした栄養補給、オメガ3脂肪酸を含むフィッシュオイルの摂取などが有効とされています。また、一部のがんでは悪液質に対して「アナモレリン(エドルミズ)」という薬が使用可能で、臨床試験では悪液質の改善や進行を遅らせる効果が確認されています。

がん進行の理解と対策の重要性

がん進行の理解と対策の重要性

以上の三つは、命に関わる可能性があるがんの進行パターンです。

  1. がんの浸潤による管の閉塞・穿孔
  2. がん転移増大による臓器不全
  3. がん悪液質による栄養障害・感染症

これらはいずれも非常に深刻な状態を引き起こすことがありますが、進行の仕方や対策によって、ある程度予防・回避できることもあります。たとえば、閉塞や黄疸の早期対応、栄養状態の維持や適切な運動、医療機関での定期的な診察や治療介入が、症状の進行を遅らせる助けになります。

がんの進行を100%防ぐことは難しいものの、早期発見や適切な医療の介入、生活習慣の工夫によって、患者さんのQOL(生活の質)を守り、命のリスクを減らすことは可能です。気になる症状や不安がある場合には、必ず主治医と相談し、適切な対応をとることが重要です。

がんの理解を深めることは、治療や生活の選択肢を広げる第一歩となります。命に関わる可能性のある進行パターンについて知ることは、決して恐れるためではなく、正しい知識をもとに日々の生活や治療方針を考えるために必要なことです。健康管理や医療との連携を意識しながら、少しでも安心して生活できる環境を整えていきましょう。