コーヒーはがんの再発や健康にどのような影響を与えるのでしょうか。
最近の研究では、
「コーヒーを飲む人のほうが、がんの再発リスクや死亡率が低い」
という報告が相次いでいます。
今回は、科学的根拠をもとに、がん手術後と
コーヒーの関係をわかりやすく解説していきます。

コーヒーにはポリフェノールという抗酸化物質が豊富に含まれています。
特に「クロロゲン酸」という成分は、体内の活性酸素を減らし、
炎症を抑える働きがあると知られています。
近年の研究では、コーヒーをよく飲む人は、肝臓がんや
糖尿病などの生活習慣病の発症リスクが低いことが報告されています。
では、「がんを経験した人」にとっても、
この効果は期待できるのでしょうか?
最初に紹介するのは、アメリカで行われた
大腸がん患者を対象とした大規模な臨床研究です。
対象となったのは、ステージⅢの大腸がんを経験し、
手術後に抗がん剤治療(術後補助化学療法)を受けていた953人の患者さんです。
研究チームは、治療中および治療終了6か月後に、
その結果、コーヒーの摂取量と再発・死亡率の間に興味深い関係が見つかりました。
なんと、1日に4杯以上コーヒーを飲む人は、
まったく飲まない人に比べて、大腸がんの再発または死亡リスクが42%も低かったのです。
さらに、カフェイン入りコーヒーに限定すると、リスクの低下率は**52%**にも達しました。
一方で、カフェインを含まないコーヒーやお茶の摂取量は、
再発や死亡率との明確な関連が見られませんでした。
このことから、カフェインそのもの、もしくはカフェインと
他のコーヒー成分の組み合わせが、がんの進行に
影響している可能性があると考えられます。

次に紹介するのは、アメリカの医療従事者を対象とした大規模な追跡研究です。
ここでは、ステージⅠ〜Ⅲの大腸がん患者1599人を対象に、診断から
6か月〜4年の間におけるコーヒー摂取量を調査しました。
追跡期間中に、大腸がんによる死亡およびすべての原因による死亡を比較したところ、
1日に4杯以上コーヒーを飲む人では、
また、カフェイン入りかどうかは結果に大きな影響を与えず、
カフェイン入り・カフェインなしのどちらの
コーヒーでもリスク低下が見られたという点も興味深い発見です。
つまり、カフェインだけでなく、ポリフェノールや
その他の抗酸化成分が複合的に作用していると考えられます。
これら2つの研究をまとめると、コーヒー摂取が
大腸がんの再発や死亡率を下げる可能性がある
ことがわかります。
ただし、なぜそのような効果が生まれるのかという
「メカニズム(作用機序)」
は、まだ完全には明らかになっていません。
考えられている主な理由は以下の通りです。
このように、コーヒーは単なる嗜好品ではなく、
「体を整える機能性飲料」としての側面も注目されています。

コーヒーが健康に良いと聞くと、つい多く飲みたくなりますが、
やはり“量”や“タイミング”には注意が必要です。
まず、1日4杯という量は、研究上の基準ではありますが、
実生活ではやや多いと感じる方も多いでしょう。
コーヒーには胃酸の分泌を促す働きがあり、
空腹時に飲むと胃が荒れる
ことがあります。
また、夕方以降に飲むと、カフェインの覚醒作用で
夜の眠りを妨げる可能性もあります。
したがって、コーヒーを楽しむなら、
午前中〜午後3時ごろまでの間
に、食後や休憩時間に飲むのが理想です。
ミルクや豆乳を少し加えると胃への刺激もやわらぎますし、
甘いお菓子を一緒に楽しむことで、リラックス効果も高まります。
コーヒーを飲むことが直接的にがんを治すわけではありません。
しかし、研究結果からは、がんの再発リスクを下げたり、
長期的な健康維持に役立つ可能性が示されています。
また、コーヒーを飲む時間は、ほっと一息つける「心の休息」の時間でもあります。
がんの治療後は、体だけでなく心の回復もとても大切です。
その意味でも、無理のない範囲でコーヒーを
生活に取り入れることは、穏やかな日常を取り戻す一助になるでしょう。
・コーヒーには抗酸化・抗炎症作用のあるポリフェノールが豊富。
・1日4杯以上飲む人は、大腸がんの再発・死亡リスクが40〜50%低下したという報告あり。
・カフェインの有無に関係なく、コーヒー自体に予防的な効果がある可能性。
ただし空腹時や夜間の摂取は控える。
・コーヒーは「制限すべき飲み物」ではなく、
「上手に取り入れることで再発予防にも役立つ可能性がある飲み物」。
がん手術後の生活では、「何を食べてはいけないか」ばかりに目が行きがちですが、
実は「どうすれば前向きに楽しめるか」を考えることも大切です。
コーヒーは、そうした“前向きな日常”を取り戻すきっかけになるかもしれません。
空腹を避けて、香りを味わいながら、ゆっくりと1杯を楽しんでみてください。