詐欺被害に遭うことは、誰にとっても辛い経験です。しかし、特にASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)を持つ方々は、その特性ゆえに詐欺に巻き込まれやすいと言われています。今回は、発達障害の方が詐欺被害に遭いやすい理由、その背後にある特性、そして防止のための対策について考察します。

ASDの方は、特性上「言葉を文字通りに受け取る」傾向があります。このため、詐欺師が巧みに仕掛ける言葉の裏の意図を読み取ることが難しい場合があります。
例えば、「おめでとうございます!1000万円が当たりました!」というメッセージが携帯に届いたとしましょう。このような内容を現実的に怪しいと判断できる人もいれば、「本当にラッキー」と信じてしまう場合もあります。ASDの方にとっては、こうした巧妙な言葉のトリックが理解しづらく、詐欺師の思惑通りに行動してしまうリスクが高まるのです。
一方、ADHDの方は「衝動性」が強い特性があります。これは素早い行動力を生むポジティブな側面もありますが、反面、判断を下す前に行動してしまうことで詐欺被害につながる可能性も高まります。
例えば、「簡単な副業で月収30万円!詳しくはこちら!」といったメッセージに対し、「よし、やってみよう」と即座に行動してしまうことがあります。振り込みを求める手口や個人情報を盗む詐欺に引っかかりやすいのは、この衝動的な行動パターンが要因です。
詐欺師は、ターゲットの特性や状況を巧みに利用します。ASDの方には「真面目で素直な対応」を求め、ADHDの方には「今すぐ行動することが大切」と煽ります。さらに、これらの特性を持つ方の周囲の支援体制が不十分である場合、詐欺師の狙いは的中しやすくなるのです。
令和元年版の消費者白書によると、「障害を持つ方に関する消費者相談件数」はこの10年間で約1.5倍に増加しています。2018年のデータでは、相談件数は20,919件。そのうち約60%が契約者本人ではなく、家族や支援者からの相談でした。
この数字からもわかるように、被害者本人が自ら相談する割合が低いことが特徴的です。これは、被害に遭ったことに気づきにくい、または周囲に伝えることが難しい状況が背景にあると考えられます。

詐欺被害を防ぐためには、以下の3つの心構えを持つことが重要です。
ASDやADHDの特性は詐欺被害のリスクを高める一方で、大きな強みにもなります。ASDの方は「言葉通りに素直に行動できる」ことが得意です。この特性を生かせば、明確な指示に基づく作業やタスクを得意とする場面で活躍できるでしょう。ADHDの方は「即行動に移せる行動力」があります。この行動力は適切な方向に向ければ、創造的で積極的な結果を生むでしょう。
詐欺被害を防ぐためには、自分の特性を理解し、リスクを回避する心構えを持つことが大切です。そして、自身の特性を「弱み」と捉えるのではなく、「強み」として生かす視点を持つことで、前向きな生活を送ることができます。
皆さんの大切なお金や時間を守り、より良い未来に向かって歩んでいきましょう。