【人体マジック(解答編)】人体の重心とその不思議を解説

不思議な人体マジックを科学で解く ― 体の構造を知れば納得!

皆さま、こんにちは。
本日は、前回ご紹介した「人体に関する3つの不思議な現象」の答え合わせをしていきたいと思います。前回、私は皆さんに次の3つの質問を出しました。

  1. 壁に向かって立つと、なぜ片足立ちができないのか?
  2. 額を軽く押さえられると、なぜ椅子から立ち上がれなくなるのか?
  3. 指を組んだ状態で、なぜ薬指だけ離せないのか?

一見、どれも単純な動作に思えますが、実は人間の体の「重心」や「筋肉・腱の構造」が深く関係しています。それでは、ひとつずつ丁寧に答えを見ていきましょう。

第1問:壁に向かって片足立ちができない理由

第1問:壁に向かって片足立ちができない理由

最初の問題は、壁の横に立ち、腕や肩を壁につけた状態で片足立ちができるかどうか、というものでした。見た目には簡単にできそうですが、実際に試してみると、誰もがバランスを崩してしまいます。

なぜこのポーズが不可能なのか。その答えは「体の重心」にあります。
人間の体の重心は、へその少し上あたりに位置しており、通常はその重心の真下に両足があることで安定しています。しかし、壁に寄りかかった状態では、重心の真下に支える足が来ないため、力のバランスが崩れて倒れてしまうのです。

もし壁がなければ、重心を内側に寄せてバランスを取ることができますが、壁が邪魔をして体を傾けることができません。そのため、片足立ちは物理的に不可能になるのです。

つまり、第一問の答えは「重心の位置と支点が合わないため、体を支えられない」ということになります。

第2問:額を押さえられると椅子から立ち上がれない理由

第2問:額を押さえられると椅子から立ち上がれない理由

次の問題は、椅子に座った状態で、他の人に額を指で軽く押さえられると立ち上がれなくなる、という現象です。これもまた、重心の移動が深く関係しています。

人は立ち上がるとき、無意識に体を少し前に倒し、重心を足の真上に移動させてから立ち上がります。しかし、額を押さえられると頭を前に倒すことができず、重心を移動させられません。その結果、どんなに力を入れても、体は椅子から浮き上がらないのです。

横から見ると一目瞭然で、座っているときの重心はおへその上にあります。立ち上がるにはその重心が足の位置まで前方に移動しなければなりません。ところが、額を押さえられると、重心線が足の位置よりも後ろに残ったままになるため、力が下方向ではなく後方に逃げてしまい、立ち上がることができないのです。

この問題も、第一問と同様に「重心の移動」がカギでした。人間が動作を行うときには、筋力だけでなく、重心と支点の関係が非常に重要であることがわかります。

第3問:薬指だけが離れない理由

さて、最後の問題は少し難易度が高いものです。中指の第2関節同士を合わせ、他の指を軽く曲げながら合わせるポーズを取ってみましょう。その状態で親指、人差し指、小指は離せるのに、なぜか薬指だけは離せません。

この現象の理由は、「指を伸ばす腱(けん)の構造」にあります。
人間の手の甲には、指を反らすための腱がそれぞれ伸びています。親指、人差し指、小指にはそれぞれ2本の腱が存在し、片方が動かなくてももう片方の腱が動作を補うため、自由に指を反らすことができます。

ところが、中指と薬指には、1本しか腱が通っていません。しかも、その腱は両者で共有されており、ひとつの筋肉から分かれて動いています。そのため、中指を固定すると、その腱全体が動かなくなり、結果的に薬指の動きも制限されてしまうのです。

親指や小指のように独立した腱を持たないため、薬指は中指と連動して動く構造になっています。つまり「薬指が離れない」のは筋力の問題ではなく、手の構造そのものに原因があるのです。

この構造を理解すると、普段何気なく行っている指の動きが、実は複雑に連携した筋肉と腱の働きによって成り立っていることがわかります。人体の精密さに改めて驚かされますね。

まとめ:人体は合理的な構造の積み重ね

まとめ:人体は合理的な構造の積み重ね

今回の3つの問題は、一見「不思議なマジック」や「トリック」のように見えますが、すべては人間の体の構造と物理法則によって説明できる現象です。

  • 片足立ちができない理由:重心が支点の真上にないため
  • 立ち上がれない理由:頭を前に倒せず、重心を移動できないため
  • 薬指が離れない理由:中指と薬指が同じ腱でつながっているため

このように、人体は見た目以上に理にかなった構造で成り立っており、その精密な仕組みを知ることで、自分の体をより理解し、日常の動作にも新たな気づきを得ることができます。

身体の仕組みを学ぶことは、単に「知識を得る」ことではなく、「自分の体を大切に扱う第一歩」です。今後もこうした「人体の不思議」を楽しく学んでいきましょう。