【がん食事療法】糖質オフ+〇〇で、死亡リスクが・・・乳がん患者の最新研究より

糖質オフ+植物性食品で「がんの再発リスク」が下がる?

~診断後の食事で差がつく生き方~

はじめに

はじめに

がんと診断されたとき、「何を食べたらいいのか」「どんな食事が自分に合っているのか」と悩む人は少なくありません。
「好きなものを食べたほうがストレスがなくていい」という考え方もありますし、「がんと闘うためには、食べ物にも気をつけるべきだ」という意見もあります。
実際のところ、どちらが正しいのでしょうか。

長年、がん患者さんの食生活を見てきた経験や多くの研究結果を総合すると、「がんの診断後に何を食べるか」はとても重要です。食事の内容によって、その後の体調や治療効果、そして生存率までも変わってくる可能性があるのです。

では、がん患者さんにとって“理想の食事”とはどのようなものでしょうか。

糖質オフは本当に効果がある?

近年、「糖質制限」や「糖質オフ」という言葉をよく耳にします。糖質を控えると、体重のコントロールがしやすくなったり、血糖値が安定したりするということは広く知られていますが、実はがんの分野でも注目が集まっています。

糖質を多く摂ると、体の中で血糖値が上昇し、それを下げるために「インスリン」というホルモンが分泌されます。このインスリンが多い状態が続くと、細胞が増えやすくなり、がんの成長を後押しする可能性があることが分かってきました。
そのため、「糖質を控えめにすることで、がんの進行を遅らせられるのではないか」と考えられるようになっています。

とはいえ、「ただ糖質を減らせばいい」という単純な話ではありません。糖質を減らした分、代わりに何を食べるかがとても大切なのです。

最新研究で明らかになった“組み合わせ”の大切さ

2023年3月、アメリカの医学雑誌「Cancer」に興味深い研究が掲載されました。
対象となったのは、ステージⅠからⅢまでの乳がんと診断されたアメリカ人女性およそ9600人。研究チームは、がんの診断後にどのような食事をしていたのかを詳しく調べ、その後12年以上にわたり健康状態を追跡しました。

その結果、糖質を控えめにした食事を続けていた女性たちは、糖質を多く摂っていた人たちに比べて、すべての死因を合わせた死亡リスクが18%も低かったのです。

さらに注目すべきは、「糖質を減らすだけ」ではなく、「植物性の食品を多く取り入れた人」では、そのリスクがさらに下がり、死亡率が27%も低かったということ。
一方で、糖質を控えつつも「肉や卵などの動物性食品を中心にしていた人」では、リスクの低下は見られませんでした。
むしろ卵を多く食べていた女性では、乳がんによる死亡率が少し上がっていたという結果も出ています。

この結果から分かるのは、「糖質オフ」そのものよりも、「糖質オフ+植物性食品」という組み合わせが鍵になるということです。

植物性食品が持つ“力”

植物性食品が持つ“力”

植物性の食品とは、野菜、果物、豆類、全粒穀物、ナッツなどのことです。これらには、ビタミン、ミネラル、食物繊維、そして体の炎症を抑える成分がたっぷり含まれています。
これらの栄養素が、がんの進行を防ぐサポートをしてくれる可能性があるのです。

実際に、以前の大腸がん患者を対象とした研究でも、「糖質オフ+植物性食品」の組み合わせが、生存率の向上につながることが報告されています。
乳がんの研究でも同じような結果が得られたということは、がん全体に共通する“食のヒント”になるのかもしれません。

なぜ糖質を控えるとよいのか?

では、どうして糖質を控えると、がんの進行が抑えられるのでしょうか。
その理由は、主に次の3つの仕組みにあると考えられています。

① インスリンを増やさない

糖質を摂ると血糖値が上がり、それを下げるためにインスリンが分泌されます。
このインスリンが多く分泌され続けると、細胞が増えるスピードを早めてしまい、がん細胞も例外ではありません。
そのため、糖質を控えてインスリンの分泌を抑えることが、がんの進行を穏やかにする一助になると考えられています。

② 慢性的な炎症を防ぐ

血糖値が高い状態が続くと、体の中に“炎症”が起きやすくなります。
この炎症が長く続くと、がん細胞が広がりやすくなることが知られています。
糖質を控えることで、血糖値を安定させ、体の中の炎症を減らすことが期待できます。

③ ケトン体のはたらき

糖質を減らすと、体はエネルギー源を「糖」ではなく「脂肪」から作り出すようになります。
そのときにできるのが「ケトン体」という物質です。
最近の研究では、このケトン体が、がん細胞の増殖を抑える働きを持つ可能性があると報告されています。
つまり、糖質を減らしてケトン体を上手に使うことが、がんと闘う体づくりにつながるかもしれないということです。

すべての人に当てはまるわけではない

すべての人に当てはまるわけではない

もちろん、こうした研究結果はすべての人にそのまま当てはまるわけではありません。
がんの種類や進行の段階、治療内容、そして体の栄養状態によって、必要な食事は変わってきます。
また、糖質を極端に減らしすぎると、体調を崩したりエネルギー不足になったりすることもあります。

もし糖質を控える食事を試してみたい場合は、必ず主治医や管理栄養士と相談して、自分に合った方法を見つけることが大切です。

まとめ

今回は、「糖質オフ+植物性食品」の食事が、がん患者さんの生存率を高める可能性があるという研究を紹介しました。
糖質を控えることは、血糖値やインスリンを安定させ、体の中の炎症を抑えることにつながります。
そして、植物性の食品を積極的に取り入れることで、体に必要な栄養を補いながら、がんの再発や進行を防ぐサポートができるかもしれません。

大切なのは、「がんとともに生きる時間を、できるだけ健康で穏やかに過ごす」ことです。
そのための第一歩として、食事を見直してみることは大きな意味があります。
無理をせず、自分の体に合ったペースで、少しずつ「糖質オフ+植物性食品」の生活を取り入れてみてはいかがでしょうか。