
フルーツの中でも、リンゴは日本人にとってとても身近な存在です。朝食やおやつにそのまま食べたり、ヨーグルトに添えたりと、日常の中で親しまれている果物ではないでしょうか。
昔から「1日1個のリンゴで医者いらず」といわれるように、リンゴは健康によい果物として知られています。実際に、動脈硬化や骨粗しょう症、高血圧といった生活習慣病を防ぐ効果があることも、多くの研究で報告されています。
では、「がん」との関係はどうでしょうか?
今回は、リンゴを食べ続けることで、がんのリスクにどのような変化があるのか、いくつかの研究結果をもとに見ていきたいと思います。
2016年にオーストラリアで行われた大規模な調査があります。対象となったのは、60歳以上の女性およそ1400人。その方々の食生活、特にフルーツの摂取量を詳しく調べたうえで、15年以上にわたって健康状態や死亡原因を追跡しました。
その結果、1日100グラム以上のリンゴを食べていた人たちは、ほとんど食べていなかった人たちに比べて、がんによる死亡のリスクが約半分に減っていたというのです。
100グラムというのは、ちょうど中くらいのリンゴの半分ほど。つまり、「1日にリンゴを半分食べるだけで、がんで亡くなる可能性が半減した」という驚くべき結果でした。
次に紹介するのは、同じく2016年に報告された、約40件の観察研究をまとめた分析です。これは世界各地のデータを総合的に調べたもので、「リンゴの摂取とがんのリスク」に関する最も信頼性の高い研究のひとつといえます。
この分析によると、リンゴを最も多く食べていたグループは、最も少なかったグループに比べて、肺がんのリスクが25%、大腸がんが34%、乳がんが21%低かったことがわかりました。
リンゴに含まれるポリフェノールや食物繊維が、細胞の酸化ストレスを防いだり、腸内環境を整えたりすることが、こうした結果につながっているのかもしれません。
「リンゴの効果は大人になってからでもあるの?」という疑問を持つ方も多いでしょう。
実は、若い頃から果物をしっかり食べていた人ほど、がんのリスクが低くなるという報告もあります。
同じく2016年、アメリカの有名な医学誌に掲載された研究では、9万人以上の女性を対象に、13〜18歳の頃の食生活とその後の乳がん発症との関係を調べました。
結果は、若い頃にフルーツを多く食べていた女性は、そうでない女性に比べて乳がんの発症リスクが25%低かったというものです。さらに、効果が大きかった果物として「リンゴ」「バナナ」「ぶどう」が挙げられています。
つまり、リンゴは大人にとってだけでなく、成長期の子どもや若い世代にとっても、将来の健康を守る“投資”になるといえるかもしれません。
ここまで「リンゴを食べるとがんリスクが下がる」という明るい話をしてきましたが、実は注意すべき点もあります。
それが、「リンゴジュース」です。
2020年に発表されたアメリカの研究では、乳がんを患っている約9000人の女性を対象に、がんの診断後の食事内容と生存率との関係を調べました。
すると、診断後にフルーツジュースを最も多く飲んでいた人たちは、乳がんによる死亡リスクが33%も高かったのです。
なかでも、アップルジュース(リンゴジュース)を多く飲んでいた人ほど、生存率が低下していたという結果でした。
一方で、オレンジジュースではこのような傾向は見られなかったといいます。
この違いの理由ははっきりしていませんが、ジュースにすると果糖(フルーツの糖分)が濃縮されてしまい、血糖値が上がりやすくなることや、食物繊維が取り除かれてしまうことが関係していると考えられています。
つまり、リンゴは「飲む」より「かじる」ほうが断然おすすめということですね。
最後に気になるのが「農薬」です。リンゴは、皮の部分に農薬が残りやすい果物として知られています。
では、皮をむくと栄養が減ってしまうのでしょうか?
2023年にフランスで行われた研究では、「皮つき」と「皮なし」のリンゴを比較して、農薬の残留量や栄養価を調べました。
結果は次のようなものでした。
つまり、農薬が気になる人は皮をむいて食べても十分健康効果が得られるということです。
もちろん、できればしっかり洗ってから食べるようにしましょう。

今回は、「リンゴを食べ続けるとがんが…?」というテーマで、いくつかの研究を紹介しました。
要点をまとめると次の通りです。
昔から言われてきた「1日1個のリンゴで医者いらず」ということわざは、どうやら迷信ではなさそうです。
リンゴはスーパーでも手に入りやすく、価格も手ごろで、保存もしやすい万能フルーツ。
今日からでも、食後やおやつの時間に「リンゴ半分の習慣」をはじめてみてはいかがでしょうか。
その一口が、あなたの未来の健康を守るかもしれません。