【がんと生活習慣病】血糖が高い人は「がん」死亡率が40%アップ:糖尿病コントロールの重要性

今回は、「血糖値が高い人はがんの死亡率が40%高くなる」という、少し気になるお話です。

■ 糖尿病とがんの関係

■ 糖尿病とがんの関係

日本ではいま、糖尿病の人が急速に増えています。
すでに治療を受けている人は300万人を超え、糖尿病が疑われる人まで含めると、1,000万人以上にものぼるといわれています。

糖尿病そのものは、きちんと治療して血糖値をコントロールすれば、すぐに命にかかわる病気ではありません。
しかし、最近の研究では、糖尿病の人はそうでない人に比べて「がんになりやすい」傾向があることがわかってきました。

たとえば、糖尿病のある人では、ない人よりもがんの発症リスクが約20%高いという報告があります。
さらに、肝臓がん・すい臓がん・大腸がん・乳がん・子宮体がんなどでは、リスクが最大で2倍になることもあるといわれています。

そして、もっと怖いのは「がんにかかったあとの死亡率」にも差があるということ。
血糖値が高いままの状態では、がんの治療がうまくいきにくく、結果として命にかかわるリスクが上がるという研究がいくつも発表されています。

■ がん死亡率が約40%高くなるという研究

2023年2月、海外の研究雑誌『Cancer Epidemiology Biomarkers & Prevention』に発表された、オランダの大規模調査があります。
この研究では、糖尿病をもつ人たちのうち、のちにがんと診断された人を対象に、がん発症前の血糖コントロールの状態と、その後の死亡率の関係を調べました。

結果は非常に明確でした。
血糖値がうまくコントロールできていなかった人、つまり血糖値が高い状態が続いていた人は、
・乳がんの場合、死亡リスクが40%高い
・大腸がんでは45%高い
・前立腺がんでは39%高い
という結果が出たのです。

このことから、「糖尿病の人ががんになった場合、血糖値が高いままだと死亡率が約40%高くなる」と結論づけられました。

■ なぜ血糖値が高いと死亡率が上がるのか?

■ なぜ血糖値が高いと死亡率が上がるのか?

では、なぜ血糖値が高いとがんの進行や死亡リスクが高まるのでしょうか?
その理由はいくつか考えられています。

① がんの“エサ”は糖

よく「がん細胞のエサはブドウ糖」といわれますが、これは事実です。
血糖値が高い状態では、がん細胞にとっての栄養が常に豊富な状態になり、がんの成長や転移を助けてしまうのです。
実際、実験ではがん細胞に糖を多く与えると、動きが活発になって増殖しやすくなることがわかっています。

② インスリンの影響

血糖値が上がると、体はそれを下げようとして「インスリン」というホルモンを分泌します。
このインスリンは血糖を下げる役割を持っていますが、同時に「細胞を増やすスイッチ」を押す作用もあります。
そのため、インスリンが多く出る状態が続くと、がん細胞の増殖までも促してしまうのです。

③ 炎症による悪影響

長いあいだ血糖値が高いと、体の中で慢性的な炎症が起こります。
このとき、体内では「炎症性サイトカイン」と呼ばれる物質が増え、がん細胞を刺激して成長を早めてしまうことが知られています。
つまり、血糖値の高さは体の中に“がんが育ちやすい環境”をつくってしまうということなのです。

■ 自覚症状が少ない糖尿病

糖尿病のやっかいなところは、初期にはほとんど自覚症状がないことです。
「なんとなくだるい」「喉が渇く」「トイレが近い」といったサインが出ても、疲れやストレスのせいにして見過ごしてしまう人も多くいます。

しかし、放っておくと血糖値がどんどん上がり、知らないうちに体の中ではさまざまなトラブルが進行してしまいます。
そのため、健康診断などで定期的に血糖値をチェックすることがとても大切です。

■ 血糖値を知るための検査

糖尿病の検査では、主に次のような項目が使われます。

  • 空腹時血糖値:朝食を抜いた状態で測る血糖値
  • 尿糖検査:尿の中に糖が出ていないかを調べる
  • HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー):過去1〜2か月の平均的な血糖状態を反映する数値

このHbA1cが特に重要で、日本糖尿病学会では「4.6~6.2%」が正常範囲とされています。
糖尿病と診断された人の治療目標は、一般的に「7%未満」とされています。

■ 自分でできる血糖コントロール

糖尿病と診断されたら、まずは医師の治療方針にしっかり従うことが基本です。
しかし、日常生活の中で自分でできる工夫もたくさんあります。

運動を取り入れる

軽い筋トレやウォーキングなど、体を動かす習慣をもつことが大切です。
筋肉を動かすと血糖がエネルギーとして使われ、自然と血糖値が下がりやすくなります。

食べすぎ・糖質の摂りすぎに注意

白ご飯やパン、甘いお菓子など、糖質を多く含む食品を控えめにすることで、血糖の急上昇を防げます。
ただし、極端な食事制限はかえって体に悪いので、バランスよく食べることが大切です。

ストレスと睡眠も大切

意外かもしれませんが、強いストレスや睡眠不足も血糖値を上げる原因になります。
心身をリラックスさせ、十分な休息をとることも立派な血糖対策です。

■ まとめ:血糖値を整えることが「がん予防」につながる

■ まとめ:血糖値を整えることが「がん予防」につながる

今回の研究で示されたように、血糖値が高い人では、がんの死亡率が約40%高くなるという結果が出ています。
つまり、糖尿病の治療や血糖のコントロールは、単に糖尿病のためだけでなく、「がんから命を守る」ためにも重要なのです。

「自分は甘いものが好きだから」「忙しくて健康診断に行けないから」と後回しにしていると、知らないうちに大きなリスクを抱えることになりかねません。

早めの検査、そして日々の生活習慣の見直し。
これが、がんやさまざまな病気から身を守る第一歩です。
血糖値を整えることは、あなたの健康寿命を延ばすもっとも確実な方法のひとつなのです。