にんにくを食べ続けた結果、「がん」が・・・

今回は「にんにくを食べ続けた結果、がんがどうなるのか?」というテーマについて、最新の研究結果をもとにお話ししていきます。

◆ にんにくと「がん予防」の関係

◆ にんにくと「がん予防」の関係

がんを予防するためには、野菜を多く摂取することが一般的に推奨されています。ですが、一口に野菜といっても、その種類によって含まれる成分や働きはさまざまです。
中でも注目されているのが「アリウム属」の野菜――つまり、にんにく、玉ねぎ、ニラ、ネギ、らっきょうなどです。これらの共通点は、切ると目にしみたり鼻を刺激する「ツーンとした匂い」。あの匂いの正体こそ、がんを抑える可能性を持つ“硫黄化合物(硫化アリルなど)”なんです。

特に、にんにくはアメリカ国立がん研究所が発表した「デザイナーフーズ計画」というがん予防食材のリストでも、頂点に位置づけられています。つまり、世界的に見ても「がん予防の王様」といってよいほど評価されている食材なのです。

◆ 胃がんを防ぐ力 ― 世界規模の研究が証明

2022年、医学誌『ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・キャンサー』に掲載された「ストッププロジェクト」という国際共同研究があります。これは世界中の研究者が集まり、胃がんの原因を解析した大規模な研究です。

約6000人の胃がん患者と13000人の健康な人を比較した結果、にんにくを最も多く摂取するグループでは、最も少ないグループに比べて胃がんの発症リスクが17%低下していました。

さらに興味深いのは、アジア人と欧米人の差です。欧米では統計的な効果があまり見られなかったのに対し、日本人を含むアジアの人々では、なんと胃がんリスクが半減(約50%減少)していたのです。
これは、アジア人の腸内細菌や食文化、代謝の違いが影響している可能性があると考えられています。つまり、日本人にとってにんにくは、特にがん予防効果を発揮しやすい食材なのです。

◆ にんにくサプリメントでも効果あり?

2019年に『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)』に報告された中国の研究では、にんにくのサプリメントを使ったランダム化比較試験が行われました。
その結果、サプリメントを摂取した人では胃がんによる死亡リスクが34%も低下していたのです。
もちろん、サプリよりも自然の形で摂る方が望ましいですが、これほどはっきりと数値で差が出るのは驚くべき結果です。

◆ 大腸がんのリスクも下がる?

◆ 大腸がんのリスクも下がる?

胃がんだけではありません。2022年の『オンコロジー・レターズ』誌に掲載された論文では、過去の9件の研究をまとめた結果が報告されています。
そこでは、にんにくを多く食べる人は大腸がんのリスクが25%減少していたと示されました。
つまり、にんにくを継続的に摂ることで、胃がんや大腸がんといった「消化管のがん」の発症率を下げる可能性があるということです。

◆ どうしてにんにくががんを抑えるのか?

その理由には、にんにくに含まれる複数の有効成分が関係しています。主なものを挙げると――

  • アリシン:にんにくを刻むと生まれる強力な抗酸化物質。細胞の酸化ストレスを抑え、DNAの損傷を防ぎます。
  • フラボノイド:免疫力を高め、がん細胞の増殖を抑制。
  • セレニウム:体内の酵素を活性化して発がん物質を分解。
  • 硫化アリル:がん細胞の分裂を止め、アポトーシス(細胞の自然死)を誘導します。

これらの成分が複合的に働き、がん細胞の増殖をブレーキしたり、正常細胞の修復を促したりすると考えられています。

◆ 微生物との関係 ― 腸内環境を整えるにんにく

最近の研究では、にんにくを食べることで体内の微生物環境にも変化が起こることがわかってきました。
たとえば、血液中に含まれる細菌DNAを分析した結果、にんにくをよく食べる人では「コリネバクテリウム属」など特定の細菌が増えていたという報告があります。

この変化が直接がんを抑えているのかはまだ研究段階ですが、にんにくによって腸内フローラや免疫反応が変化し、がんの発生を防いでいる可能性がある――そんな新しい仮説も浮かび上がっています。

◆ 食べ方と注意点 ― 「薬」になる量を守る

◆ 食べ方と注意点 ― 「薬」になる量を守る

どんなに健康に良い食材でも、摂りすぎは禁物です。にんにくのアリシンは強い刺激を持つため、過剰に摂ると胃や腸を荒らすことがあります。
目安としては1日1〜2片(2〜5g程度)が適量です。

生で食べると効果が高い反面、刺激も強いので、炒めたり、スープに入れたりして軽く加熱すると胃にも優しく、吸収もよくなります。
また、空腹時に食べると胃を痛めることがあるので、食後や調理した料理と一緒に摂るのがおすすめです。

にんにくを食べる習慣を持続することで、血流が良くなり、冷えや肩こりが改善したという声もありますが、一方で臭いが気になるという人も少なくありません。その場合は、加熱や発酵黒にんにくなどを利用するのもよいでしょう。

◆ まとめ ― 「毎日のひとかけ」が未来を変える

ここまでの研究を総合すると、にんにくを継続的に食べることで、胃がん・大腸がんを中心とした消化器系のがんリスクが明らかに下がることが示されています。
そのメカニズムは、アリシンや硫黄化合物が細胞の酸化を防ぎ、腸内環境や免疫の働きを整えることで、がん細胞の発生や増殖を抑えていると考えられています。

「薬になる食材」とは、まさにこのこと。
にんにくは、日々の食卓に少し加えるだけで、体の中から守ってくれる頼もしい味方なのです。

ですから、がん予防のためにも、ぜひ毎日の食事の中に“ひとかけのにんにく”を取り入れてみてください。
未来の健康は、今日のひと口から始まります。