高ナトリウム血症にはこの輸液!ブドウ糖輸液を投与する理由について解説!

 高ナトリウム血症は、血清ナトリウム濃度が145mEq/L以上になる状態で、体内の水分バランスに異常が生じる疾患です。この状態は、細胞内外の浸透圧の不均衡を引き起こし、身体にさまざまな影響を与えます。

 高ナトリウム血症の治療には5%ブドウ糖液が用いられることが多いですが、その使用理由について理解しているでしょうか?

 この記事では、高ナトリウム血症の原因や症状、ブドウ糖輸液が選ばれる理由、看護師が注意すべきポイントについて詳しく解説します。


高ナトリウム血症とは?—基礎知識とその原因

 高ナトリウム血症は、血液中のナトリウム濃度が正常範囲(135~145mEq/L)を超える状態です。ナトリウムは、体内の水分調整や神経伝達、筋肉の収縮などに重要な役割を果たす電解質であり、その濃度が適切に保たれることで身体の恒常性が維持されています。

高ナトリウム血症の原因

 高ナトリウム血症は、以下のような原因によって引き起こされます:

体内の水分損失下痢や嘔吐、発汗の増加、発熱などで体液が失われると、
血液中のナトリウム濃度が相対的に上昇します。
飲水行動の制限高齢者や小児では、口渇感があっても自発的に飲水行動が取れない場合があります。意識障害のある患者も同様です。
高張性輸液の過剰投与ナトリウム濃度が高い輸液や薬剤の過剰投与が、
高ナトリウム血症の原因となることがあります。
特定の疾患尿崩症や糖尿病など、一部の疾患が原因で体内の水分喪失が促進され、
高ナトリウム血症を引き起こすことがあります。

高ナトリウム血症のメカニズムと症状

①細胞内外の浸透圧バランスの崩れ

 高ナトリウム血症になると、血液中のナトリウム濃度が上昇し、細胞外液の浸透圧が高まります。この状態では、細胞内の水分が細胞外に引き出されるため、細胞が脱水状態になります。

②体が起こす代償反応

体は、浸透圧バランスを保つために次のような反応を引き起こします:
 • 口渇感の誘発:体は飲水行動を促して浸透圧を調整しようとします。
 • 抗利尿ホルモン(ADH)の分泌:腎臓での水分再吸収を促進します。
 しかし、高齢者や小児ではこれらの反応が十分に働かない場合があり、脱水状態が進行しやすくなります。

③主な症状

高ナトリウム血症の症状は、軽症から重症までさまざまです:
 • 軽症:口渇、倦怠感、筋肉のけいれん
 • 中等症:頻脈、血圧低下、混乱
 • 重症:意識障害、けいれん発作、昏睡状態
重症化すると生命を脅かすため、早期の診断と治療が不可欠です。


高ナトリウム血症の治療にブドウ糖輸液を使う理由

 高ナトリウム血症の治療の基本は、「体内の水分を補充し、血液中のナトリウム濃度を低下させること」です。この目的のために使用されるのが5%ブドウ糖液です。

①5%ブドウ糖液の特徴

電解質を含まない5%ブドウ糖液にはナトリウムやカリウムなどの電解質が含まれていないため、
投与後にナトリウム濃度を上昇させるリスクがありません。
代謝されて水になる投与されたブドウ糖は体内で代謝され、水と二酸化炭素に変わります。このため、5%ブドウ糖液を投与することは「真水を投与する」のと同じ効果を持ちます。
体中に水分を行き渡らせる5%ブドウ糖液は体内で均一に分布し、細胞外液だけでなく細胞内液にも水分を補給します。これにより、細胞内脱水を改善し、全体的な浸透圧の正常化を促します。

②なぜ5%ブドウ糖液が選ばれるのか

 高ナトリウム血症の治療では、5%ブドウ糖液が以下の理由で適しています:

血液中のナトリウム濃度を希釈体内に水分を補充することで、血液中のナトリウム濃度が薄まり、
浸透圧が調整されます。
細胞内脱水の改善細胞内に水分を補充することで、細胞の機能が回復し、
全身の健康状態が改善します。
安全に使用可能5%ブドウ糖液は、急激にナトリウム濃度を低下させることがなく、安全性が高いです。ただし、投与速度には十分な注意が必要です。

看護師が注意すべきポイント

 高ナトリウム血症の治療では、看護師が患者の状態を正確に把握し、適切なケアを提供することが重要です。以下のポイントを押さえましょう。

①患者状態の観察

 • バイタルサインのチェック
  血圧、心拍数、体温、尿量などを定期的に測定し、異常がないか確認します。
 • 脱水症状の改善確認
  嘔吐や口渇感の軽減、皮膚のツルゴールの回復などを観察します。
 • 神経症状のモニタリング
  けいれんや意識レベルの変化がないか注意深く観察します。

②輸液の管理

 • 投与速度の調整
  ナトリウム濃度を急激に下げると、脳浮腫やその他の神経症状を引き起こす可能性があります。そのため、輸液の速度は医師の指示に従い慎重に調整します。
 • 過剰投与の防止
  過剰な水分補給により、低ナトリウム血症が引き起こされるリスクがあります。輸液量を管理し、患者の状態を随時確認します。

③患者への指導

 • 飲水の重要性
  患者が自宅で水分摂取を継続できるよう、適切な水分補給の重要性を説明します。
 • 再発予防のアドバイス
  特定の薬剤や疾患が原因の場合、その管理方法について患者や家族にアドバイスを行います。


まとめ

 高ナトリウム血症は、血清ナトリウム濃度が上昇することで細胞内外の水分バランスが崩れ、全身に影響を及ぼす疾患です。その治療には、5%ブドウ糖液が適切に使用されます。この輸液は電解質を含まず、体内で水として利用されるため、ナトリウム濃度の調整に安全で効果的です。

高ナトリウム血症のポイント

  1. 主な原因:体内の水分損失、高張性輸液の投与、飲水行動の制限など。
  2. 治療の基本:水分補給によるナトリウム濃度の希釈。
  3. 看護師の役割:患者状態の観察、輸液速度の管理、再発予防の指導。

高ナトリウム血症の治療には、適切な知識とケアが求められます。

看護師として、そのメカニズムと治療法を理解し、患者の回復を支える質の高いケアを提供しましょう。