肝臓がん(肝癌)のリスクを低下させる食品3選:全粒穀物、トマト、コーヒー

肝臓がん(肝癌)のリスクを低下させる食品3選:全粒穀物、トマト、コーヒー

はじめに

はじめに

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるように、かなりのダメージを受けても症状が出にくい臓器です。そのため、気づいたときには病気がかなり進んでいた、ということも少なくありません。そんな肝臓にできる「肝臓がん」は、これまで多くの人の命を奪ってきました。
幸い近年は、治療法の進歩やウイルス性肝炎の対策によって、患者さんや死亡者の数は少しずつ減ってきています。しかし、それでも日本では依然として、がんによる死亡原因の上位に入る、予後(治りにくさ)の悪いがんの一つです。

今回は、そんな肝臓がんのリスクを少しでも下げることが期待できる「3つの食品」について、わかりやすく紹介します。

肝臓がんが増える原因とは?

肝臓がんの大きな原因として、これまで中心だったのは「肝炎ウイルス」の感染でした。
しかし最近では、ウイルスに感染していない人が肝臓がんを発症するケースが増えています。
1990年代初めには、ウイルスが関係しない肝臓がんは全体の1割ほどしかありませんでしたが、今では3割以上を占めるようになっています。

その背景にあるのが「NASH(ナッシュ)」と呼ばれる状態です。
これはアルコールが原因ではないのに、肝臓に脂肪がたまり、炎症を起こしてしまう病気のことです。
肥満や糖尿病、高血圧、脂質異常など、いわゆる生活習慣病と深く関係しています。

こうした脂肪肝やNASHを放置していると、肝臓が硬くなり(肝硬変)、やがて肝臓がんへと進行していくことがあります。
つまり、肝臓がんを防ぐには、普段の食生活を整えることがとても大切なのです。

肝臓がんのリスクを減らす食品3選

① 全粒穀物(ホールグレイン)

まず1つ目は「全粒穀物」です。
全粒穀物とは、精白していない穀物のことで、お米でいえば玄米、小麦なら全粒粉のパンなどがそれにあたります。
外側の皮や胚芽などが残っているため、食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富に含まれています。

日本では白米を食べる習慣が根強いですが、最近は健康志向の高まりとともに、玄米や発芽玄米、オートミールなどを食卓に取り入れる人が増えてきました。

全粒穀物と肝臓がんの関係を調べた大規模な研究では、驚くような結果が出ています。
アメリカで行われた12万人以上を対象とした調査では、全粒穀物を最も多く食べていた人たちは、ほとんど食べていなかった人たちに比べて肝臓がんになる確率が約4割も低かったというのです。
また、別の48万人を超える研究でも、全粒穀物の摂取量が多い人は2割ほどリスクが減っていました。

こうした結果から、全粒穀物は肝臓の健康を守るうえで非常に有効であると考えられています。
毎日の白米を少しずつ玄米や雑穀米に変える、パンを全粒粉のものにするなど、無理のない範囲から始めてみるのも良いでしょう。

② トマト

2つ目は「トマト」です。
トマトといえば、健康に良い食材としてすでに人気がありますが、肝臓にも嬉しい働きがあることがわかっています。

アジアの6万人以上を対象にした長期の追跡調査では、トマトをたくさん食べていた人たちは、あまり食べなかった人たちに比べて肝臓がんの発症率が約4割低かったという結果が出ています。
特に、肝炎ウイルスに感染していない人ほどその効果が強く現れていました。

トマトには「リコピン」という赤い色の成分が含まれています。
このリコピンは強い抗酸化作用を持ち、体の中で発生する“サビ”のような物質(活性酸素)を取り除いてくれます。
肝臓は体の中の毒素を処理するため、酸化ストレスを受けやすい臓器です。
そのため、リコピンのような抗酸化成分は肝臓を守るサポート役としてとても頼もしい存在といえるでしょう。

生のトマトだけでなく、トマトジュースやトマトソースなど加熱したものでもOKです。
むしろ、リコピンは加熱によって吸収率が上がるため、パスタソースやスープに使うのもおすすめです。

③ コーヒー

3つ目は「コーヒー」です。
コーヒーは世界中で飲まれている飲み物ですが、じつはがんのリスクを減らす効果があるという研究が数多く発表されています。

日本人約9万人を対象とした研究では、コーヒーをほとんど飲まない人に比べて、毎日飲む人の肝臓がん発症リスクが約半分になっていました。
さらに、1日に5杯以上飲む人では、リスクが4分の1まで減っていたという結果もあります。

その後の複数の研究をまとめた解析でも、コーヒーを1日1杯増やすごとに、肝臓がんのリスクが約3割減るという報告があります。
一方で、同じようにカフェインを含む緑茶では、こうした予防効果は確認されていませんでした。

コーヒーには、クロロゲン酸と呼ばれるポリフェノールが多く含まれています。
この成分が肝臓の炎症を抑えたり、脂肪の蓄積を防いだりすることが、リスク低下の理由と考えられています。

もちろん、飲みすぎには注意が必要です。
カフェインの摂りすぎは眠れなくなったり、胃に負担をかけることもありますので、1日2〜3杯程度を目安にしましょう。

まとめ

まとめ

肝臓がんは、発見が遅れやすく、進行してからでは治療が難しいことも多いがんです。
しかし、日々の生活習慣を整えることで、そのリスクを少しでも減らすことができます。

今回紹介した

  • 全粒穀物(玄米・発芽玄米・全粒粉パン・オートミール)
  • トマト(リコピンを含む食品)
  • コーヒー(1日2〜3杯程度)

の3つは、いずれも無理なく取り入れられる身近な食品です。

特別なサプリや高価な食材でなくても、毎日の食事を少し工夫することで肝臓を守ることができます。
「食べて予防する」という意識を持って、今日からできる小さな一歩を始めてみませんか。

あなたの肝臓は、きっと静かに喜んでくれるはずです。