
みなさんは、普段どんな油を使っていますか?
炒め物、揚げ物、ドレッシングなど、油は毎日の食事に欠かせない存在です。しかし、油と一口にいっても、その種類によって体への影響は大きく異なります。
油は大きく分けて「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分類されます。飽和脂肪酸にはバターやラード(豚の脂)などが含まれ、動物性の脂に多いのが特徴です。一方の不飽和脂肪酸は、植物性の油や魚の油に多く含まれ、さらに「一価不飽和脂肪酸」と「多価不飽和脂肪酸」に分かれます。
一価不飽和脂肪酸にはオリーブオイルやなたね油などがあり、多価不飽和脂肪酸には魚に多いオメガ3脂肪酸(アマニ油、魚油など)や、サラダ油・コーン油などに多いオメガ6脂肪酸があります。
日本では昔からサラダ油やごま油をよく使いますが、近年は健康志向の高まりとともに、オリーブオイルを日常的に使う人が増えてきました。
オリーブオイルは、古代から地中海沿岸で健康食材として重宝されてきました。とくに「地中海食」と呼ばれる食事法の中心にある油で、健康長寿の秘密として世界中から注目を集めています。
なかでも「エキストラ・バージン・オリーブオイル」は、オリーブの果実を搾っただけの自然な油で、ビタミンEやポリフェノールなどの抗酸化成分を豊富に含んでいます。
これらの成分には「細胞の老化を防ぐ働き」や「炎症を抑える力」があり、体を内側から守ってくれると考えられています。
そのため、オリーブオイルを食生活に取り入れることで、心臓病や高血圧、肥満などの生活習慣病の予防につながるといわれています。
そして最近では、それだけでなく「がんの予防効果」も注目されるようになっています。
エキストラ・バージン・オリーブオイルには「オレオカンタール」という成分が含まれています。これは、オリーブオイルのピリッとした辛み成分の一つですが、実験の結果、この成分ががん細胞を攻撃し、死滅させる働きを持つことが確認されています。
つまり、自然の食品であるオリーブオイルの中に、がんの発生や再発を抑える可能性を秘めた成分があるということです。もちろんこれは薬ではありませんが、毎日の食事の積み重ねが健康を守る力になるといえるでしょう。
実際に人を対象にした研究でも、オリーブオイルのがん予防効果が報告されています。
スペインで行われた約7,500人を対象とした大規模な研究では、参加者を3つのグループに分けて、食事内容と健康状態を長期間にわたり比較しました。
その結果、オリーブオイルを多く摂取していたグループでは、乳がんの発症リスクがなんと68%も低かったという驚くべき結果が得られました。
さらに、イギリスで行われた研究でも、オリーブオイルの主成分「オレイン酸」を最も多く摂取していた人は、最も少なかった人に比べて膵臓がんのリスクが71%低いという報告もあります。
このように、オリーブオイルを日常的に取り入れることで、がんの発症を防ぐ可能性があることが次第に明らかになってきています。
反対に、摂りすぎに注意が必要なのが「飽和脂肪酸」を多く含む油です。
バターやラード、ココナッツオイルなどがこれにあたります。これらは風味がよく、料理にコクを出すため人気がありますが、摂りすぎると健康リスクが高まることが報告されています。
フランスで約4万4千人を対象に行われた研究では、飽和脂肪酸の摂取量が多い人は、全体的ながんのリスクが44%、さらに乳がんのリスクに関しては98%も高いという結果が出ています。
また、別の研究では、飽和脂肪酸からの摂取カロリーをわずか5%減らし、その分をオリーブオイルなどの植物性の油に置き換えるだけで、がんによる死亡リスクが11%下がると推定されています。
つまり、油をまったく避ける必要はありませんが、「どんな油を選ぶか」が非常に大切なのです。
オリーブオイルは、加熱しても生でも使える万能な油です。
ただし、高温で長時間加熱するとせっかくの栄養成分が壊れてしまうため、できれば炒め物は軽く火を通す程度、ドレッシングや仕上げに生で使うのがおすすめです。
たとえば、
といった簡単な方法でも、毎日の食生活に無理なく取り入れることができます。
また、オリーブオイルは香りや風味が豊かなので、食事をおいしく、満足感のあるものにしてくれます。

「油は体に悪い」と思われがちですが、実際には油の種類と摂り方が重要です。
がんをはじめ、生活習慣病の予防という観点から考えると、飽和脂肪酸を多く含む動物性の油を控え、オリーブオイルのような不飽和脂肪酸を中心にした食生活が理想的です。
エキストラ・バージン・オリーブオイルに含まれる抗酸化成分やオレオカンタールは、細胞を守り、体の炎症をやわらげる働きがあります。
そして日々の積み重ねが、将来の健康を支える力になるのです。
「何を食べるか」を少し意識するだけで、体は確実に変わっていきます。
今日の料理から、バターの代わりにオリーブオイルを使ってみる——そんな小さな一歩が、がんの予防や再発防止につながるかもしれません。