筋痙攣【ワンポイントトリビア】

夜中に突然「足がつって」目が覚めた経験はありませんか?
ふくらはぎが激しく硬直し、思わずベッドの上でうずくまってしまう
――そんな痛みを引き起こすのが、

筋痙攣(きんけいれん)

です。

一見、単なる「足のつり」と思われがちですが、実は

筋痙攣は体のさまざまなバランスが
崩れたときに起こるサインでもあります。

今回は、その原因や仕組み、そして効果的な対処法について、わかりやすく解説していきます。

■ 筋痙攣とはどんな状態?

■ 筋痙攣とはどんな状態?

筋痙攣とは、

筋肉が自分の意思とは関係なく急に収縮し、強い痛みを伴う状態

のことを指します。

「足がつる」
「こむら返り」


などと呼ばれるのは、この筋痙攣の代表的な例です。

一度けいれんが起こると、筋肉が硬くなって動かせなくなり
数十秒から数分ほど強い痛みが続きます。

多くはふくらはぎ(下腿三頭筋)に起こりますが、
太ももの裏(大腿二頭筋)や足の裏、指、腕などに起こることもあります。

■ 筋痙攣の種類

筋痙攣は大きく分けて、次の2つのタイプに分類されます。

  1. 明らかな理由がなく起こるもの(特発性)
     夜間、寝ているときや安静時に突然起こるタイプです。
     高齢者や冷え性の方、運動不足の方に多く見られます。
  2. 運動に伴って起こるもの(運動誘発性)
     スポーツ中や運動直後に発生します。
     長時間の運動による疲労や、発汗による水分・電解質のバランスの崩れが関係しています。

この2つはどちらも痛みを伴いますが、原因や対策には少し違いがあります。

■ なぜ筋肉がけいれんするの?

■ なぜ筋肉がけいれんするの?

実は、筋肉自体に明確な異常があるわけではありません。
筋肉の収縮をコントロールしている

神経の信号伝達

に問題が生じていると考えられています。

● 神経の異常信号が原因?

筋肉は、「運動神経」と「感覚神経」のやりとりによって動いています。
通常、筋肉が伸びすぎたり縮みすぎたりしないよう、

**腱紡錘(けんぼうすい)**


というセンサーが筋肉の状態を感知し、神経を通じてバランスを取っています。

ところが、脱水やミネラル不足、疲労などでこの神経の働き
が乱れると、脊髄(せきずい)から筋肉への信号が誤作動を起こし、

「筋肉を縮めろ!」という命令が止まらなくなります。
その結果、筋肉が硬直してしまう
――これが筋痙攣の正体です。

■ どの筋肉に起こりやすい?

■ どの筋肉に起こりやすい?

筋痙攣が特に起こりやすいのは、次の2つの筋肉です。

  1. 下腿三頭筋(かたいさんとうきん)
     ふくらはぎの筋肉で、立つ・歩く・走るときに常に使われています。
     最も「こむら返り」が起こりやすい部位です。
  2. 大腿二頭筋(だいたいにとうきん)
     太ももの裏側にあり、膝を曲げたり股関節を伸ばしたりする筋肉です。
     スポーツ選手など、運動中の痙攣でよく見られます。

■ 筋痙攣を起こしやすくする要因

筋痙攣は、さまざまな要因が重なって起こります。
中には病気が隠れている場合もあります。

  • 脱水や電解質(ナトリウム・カリウム・カルシウム・マグネシウム)不足
  • 冷えによる血行不良
  • 長時間の立ち仕事や運動による筋疲労
  • 甲状腺機能低下症
  • 糖尿病や腎機能低下
  • 利尿薬の服用によるミネラル喪失

ただし、実際には

「明らかな原因が特定できない」

ケースがほとんどです。
年齢とともに筋肉量が減り、神経の調整力も低下するため
高齢になるほど起こりやすくなります。

■ 筋痙攣が起きたときの対処法

痙攣が起こったときは、焦らずにストレッチを行いましょう。
痛みが強いときは動かすのが難しいですが、少しずつ筋肉を
「伸ばす方向」に働きかけることが重要です。

● ふくらはぎ(下腿三頭筋)のストレッチ

  • ポイント:膝をまっすぐ伸ばす
  • 方法:足首を手でゆっくり上に反らせ(背屈)、つま先を自分の方に引き寄せます。

これにより、硬直したふくらはぎの筋肉が伸ばされ、痛みがやわらぎます。

● 太ももの裏(大腿二頭筋)のストレッチ

  • ポイント:膝を伸ばし、股関節を軽く曲げる
  • 方法:椅子に浅く腰かけ、片脚を前に伸ばしてつま先を上に向ける。
     上体を前に倒し、太ももの裏をじんわり伸ばすイメージで行いましょう。

ストレッチ後は、マッサージや温湿布で血流を促すとより効果的です。

■ 予防のための生活習慣

■ 予防のための生活習慣

筋痙攣は、日頃の体調管理である程度予防できます。

  • 水分をこまめにとる(特に運動時や入浴後)
  • ミネラルをバランスよく摂取する(バナナ、ナッツ、魚など)
  • 冷えを防ぐ(寝る前に靴下やレッグウォーマーを)
  • 適度な運動とストレッチを習慣に

寝る前に軽く足首を回したり、ふくらはぎを
揉むことで夜間の

「こむら返り」


を防げることもあります。

■ 漢方薬「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」の効果

筋痙攣の治療としてよく使われるのが、漢方薬の

**「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」**

です。

この薬に含まれるペオニフロリンという成分には、
筋肉の収縮に必要なカルシウムの流入を抑える作用があります。
その結果、筋肉の異常な収縮(けいれん)を鎮め、痛みをやわらげてくれます。

夜中のこむら返りが頻繁に起こる人には、この薬が処方されることも多いです。
ただし、漢方薬にも副作用がありますので、自己判断での
使用は避け、医師に相談することが大切です。

■ 「全身のけいれん」との違い

ここで注意したいのは、筋痙攣と

「てんかんなどの全身けいれん」


は全く別のものだという点です。
全身のけいれんでは、脳の異常な電気信号が原因で
体全体が硬直し、意識を失うこともあります。

一方で筋痙攣は、

局所的な筋肉と神経のトラブル

であり、意識障害を伴うことはありません。

■ まとめ:体の小さなサインを見逃さないで

筋痙攣は、命に関わる病気ではありませんが、体の
「バランスが崩れている」というサインでもあります。
脱水、ミネラル不足、筋肉疲労、冷え――

こうした要因が積み重なることで、
夜中のこむら返りとして現れるのです。

「たかが足がつる」と侮らず、
水分補給や栄養バランス、ストレッチなどを見直してみてください。

もし頻繁に起こる場合は、甲状腺や腎臓の病気が
隠れている可能性もあるため、早めに医療機関を
受診することをおすすめします。